活動データ
タイム
09:34
距離
14.2km
のぼり
1879m
くだり
530m
活動詳細
すべて見る昨年の秋、NHK-BSの「にっぽんトレッキング100」で、モデルの仲川希良さんが、「クラシックルート」と呼ばれる島々から徳本峠(とくごうとうげ)を経て上高地へ至る登山道を歩く番組を見た。その昔「日本アルプス」の名付け親であるウォルター・ウェストンも歩いたというルート。秋の七色に染まる峡谷の色彩が素晴らしいという。又、徳本峠から見る穂高連峰は他所から見るのとは一味違うものだという。「これは是非とも歩かなければ」と思っていたら、今年初めの島田ガイド事務所の企画の中に「水野ガイド森講座:歴史と紅葉探訪(徳本峠越え)」を見つけた。早速参加の申込をした。 今回は10/10夕方に新島々の石川旅館に集合し、前泊して翌日早朝出発する計画。朝、石川旅館の方が車で島々からの登山ルートの途中まで送っていただけるという。 島田ガイド事務所の水野ガイドと島田麻衣子ガイドに参加者7名はオッサンを除いて全て女性。いつもながら女性は積極的で元気だ。 10月11日、朝5:30石川旅館を出発、島々からの登山ルートを2つ目のゲートの更に先まで送っていただいた。1時間近く林道歩きをせずに済んだのではないかと思われる。石川旅館のご主人に感謝 ‼ 6:00、準備を終えてスタート。二俣まではV字谷の島々谷川沿いの林道歩き。日の出時間は過ぎているが太陽の光は谷の底までは届かないので、しばらく薄暗い中の林道歩きだ。上を見ると真っ青な空に月がきれいに見え、対岸の山の上部には日が当たり黄色く染まっている。好天のようだ。 二俣を過ぎると、それまでの林道歩きに変わって登山道となる。島々谷南沢に沿う昔からの古道歩きだ。人が歩きやすいところを選んで道が作られたためか、道は川を右に左にと何度も渡っていく。川の水量はたっぷりとあり、その流れる音が耳に心地良い。高度を徐々に上げて進む中、周りの風景の色の中に黄色がだんだん割合を増していく。川を流れる水も黄色く染まっているようだ。圧倒的な黄色の中に赤や橙や緑も交じって、ウォルター・ウェストンが「驚嘆すべき色彩の響宴」と評したのがよくわかった。 ワサビ沢を過ぎて少し行くと、対岸に大きなカツラの木が姿を現した。その横に小さな小屋が見える。岩魚留小屋だ。もう使われていないようで、今にも倒れそうな様子。カツラの巨木はまるでこの小屋を守っているような印象を受ける。甘いカツラの落ち葉の香りの中でランチタイムをとる。 岩魚留小屋を過ぎると、太陽の位置も南から西に変わって行くので、それまでの薄暗い谷歩きと変わって明るい登山道となる。登山道も徐々にその傾斜を増していく。時折、黄色の葉が目の前を風に舞って、花吹雪ならぬ黄葉吹雪だ。徳本峠まで1.9kmの道標を過ぎるあたりから振り返ると、後ろの山の斜面には緑の針葉樹の中にダケカンバ(?)の黄色がとてもきれいに見えた。水場の「ちから水」に到着。冷たい水で喉を潤す。この先はジグザグに切られた勾配のきつい坂が待っている。 約1時間の坂を登り切った目の前に、いきなり徳本峠小屋が現れた。最後の急坂は結構しんどかったが皆さんに遅れることもなく何とかたどり着いた。さあ、穂高は?と思って峠から西を見ると、何と穂高連峰はは雲に隠れて見えない。えーっ! 日暮れまでまだ時間はあるので、一旦小屋に入り、ザックを下ろす。着替えは要らないだろうということで車に置いてきたので、汗に濡れたシャツをそのまま着ていると急激に体が冷えてきて、指先が痺れるほどになってきた。体も少し震えてきた。水野ガイドに言うと「ちょっと低体温症の気配あり」とのことで、ダウンジャケット、さらにその上にレインウェアを着込み、湯を入れたペットボトルで手を温めるよう指示が出た。 ちから水から持ってきた水で沸かしたコーヒーを味わっていると、「穂高が見えるよー!」の声。カメラを持って外に出るとまだ雲はかかっているものの穂高連峰がその姿を見せている。写真を撮り、少し待っていると徐々に雲が晴れてきた。穂高連峰がほぼその全貌を見せ始めた。その先の笠ヶ岳も頭を見せている。見たかった絶景が目の前だ。島々からの標高差1400mを登ってきた甲斐があったというものだ。寒かったが暫く堪能するまで絶景を味わった。来て良かった。
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