黒部峡谷下ノ廊下(二日目:阿曽原~欅平)

2017.10.29(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
4 時間 58
休憩時間
10
距離
11.9 km
のぼり / くだり
2010 / 2269 m
1 52
28
2 26

活動詳細

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※一日目(黒部ダム~阿曽原):https://yamap.co.jp/activity/1300000   ・山行後半となる二日目は、『水平歩道』を欅平を目指して進むこととなる。こちらは黒部川第四発電所の送電線の巡視路としても使用されているため、『日電歩道』よりも歩きやすく整備されているが、高度感はさらに増し、非常にスリリングなコースとなっている。     <注意事項> ・落石・滑落の危険がつきまとうコースであるため、ヘルメットの着用を推奨。   ・冬季における雪崩の多発地帯でもあり、上述の通り雪解けも遅いため、コースの条件は毎年変化している。登山計画を立てる際には、必ず阿曽原温泉小屋のウェブサイトで、登山道の状況を確認すること。   ・阿曽原の幕営場から欅平方面への登山道の入り口は、暗闇の中では少々分かりにくい。黒部ダム側から欅平へ歩く場合、大抵は二日目の未明の時間帯に阿曽原を出発することになると思われるので、前日のうちに位置を確認しておくことを推奨。   ・欅平駅からは黒部峡谷鉄道で下山することとなるが、客車の座席数に限りがあることに注意。欅平から乗車する場合、乗車券の事前予約は不可能である。特に紅葉シーズンは多くの観光客が詰めかけるため、午後からの便はすぐに満席になってしまう可能性が高い。ただ、午前中であれば座席に余裕があることが多いそうで、可及的に午前11時までには欅平へ到着できるよう、計画を立てることが望ましい(余談になるが、当日は天気の関係で観光客も比較的少なく、午後の便にも余裕があった模様)。   ・必須ではないが、事前に小説『高熱隧道』(著:吉村昭)を読んでおくことをお勧めしたい。単純に峡谷の景観を楽しむのもいいが、この険しい自然を切り開いた人々の営みに思いを馳せながら歩くと、より一層楽しめることは請け合いだ。

鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 当日は午前3時過ぎに起床。
1.5人に一枚の布団からもぞもぞと這い出すと、小屋からゆうべ用意して頂いたお弁当を掻っ込む。
当日は午前3時過ぎに起床。 1.5人に一枚の布団からもぞもぞと這い出すと、小屋からゆうべ用意して頂いたお弁当を掻っ込む。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 未明の時間帯ながら、多くの登山者が小屋主の佐々木さんに見送られつつ出発してゆく。
筆者もいそいそと身支度を整え、4時半頃に阿曽原を発った。
未明の時間帯ながら、多くの登山者が小屋主の佐々木さんに見送られつつ出発してゆく。 筆者もいそいそと身支度を整え、4時半頃に阿曽原を発った。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 阿曽原の幕営場から、再び登山道へ。
写真の沢を超えると、道は急な登りとなる。
阿曽原の幕営場から、再び登山道へ。 写真の沢を超えると、道は急な登りとなる。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 昨晩は降りしきる雨音が小屋の屋根を鳴らし続けていたが、本日の天候もかねてからの予報通り、生憎の雨模様であった。
しかしながら、懸念されていた台風接近にともなう影響はまだ少ない。これなら欅平には問題なく辿り着けるはず、と自らに言い聞かせつつ、夜明けの水平歩道を進む。
昨晩は降りしきる雨音が小屋の屋根を鳴らし続けていたが、本日の天候もかねてからの予報通り、生憎の雨模様であった。 しかしながら、懸念されていた台風接近にともなう影響はまだ少ない。これなら欅平には問題なく辿り着けるはず、と自らに言い聞かせつつ、夜明けの水平歩道を進む。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 最初のチェックポイントとなる、『折尾谷』。ここには砂防堤が設けられており、中のトンネルを進む。
最初のチェックポイントとなる、『折尾谷』。ここには砂防堤が設けられており、中のトンネルを進む。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 紅葉に覆われた岩盤に、筋のようなものがまっすぐに刻まれているのがお分かりいただけるだろうか。これが水平歩道である。
紅葉に覆われた岩盤に、筋のようなものがまっすぐに刻まれているのがお分かりいただけるだろうか。これが水平歩道である。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『水平歩道』の見所の一つである、『大太鼓』。写真奥にそびえ立つのは『奥鐘山』。
『水平歩道』の見所の一つである、『大太鼓』。写真奥にそびえ立つのは『奥鐘山』。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『仙人谷ダム』の建設史における一つのキースポット、『志合谷』。この付近にはかつて、同ダムの建設にあたって、作業員達の宿舎が建てられていた。
『仙人谷ダム』の建設史における一つのキースポット、『志合谷』。この付近にはかつて、同ダムの建設にあたって、作業員達の宿舎が建てられていた。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 しかし、着工から3年目の冬、この谷において『ホウ』と呼ばれるすさまじい雪崩が発生。件の宿舎には当時最新の雪崩対策がなされていたにもかかわらず、4階建ての建屋のうち3階から上が、実に600mも先の黒部川対岸の岸壁まで吹き飛ばされ、84名もの犠牲者を出したのである。
さらにその1年ほど後にも、同じく宿舎が建てられていた阿曽原において『ホウ』が発生し、こちらも甚大な被害を受けている。実は『阿曽原温泉小屋』が建っているのはその跡地であり、旧宿舎のコンクリート基礎部分が現在も姿をとどめている。
しかし、着工から3年目の冬、この谷において『ホウ』と呼ばれるすさまじい雪崩が発生。件の宿舎には当時最新の雪崩対策がなされていたにもかかわらず、4階建ての建屋のうち3階から上が、実に600mも先の黒部川対岸の岸壁まで吹き飛ばされ、84名もの犠牲者を出したのである。 さらにその1年ほど後にも、同じく宿舎が建てられていた阿曽原において『ホウ』が発生し、こちらも甚大な被害を受けている。実は『阿曽原温泉小屋』が建っているのはその跡地であり、旧宿舎のコンクリート基礎部分が現在も姿をとどめている。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『志合谷』にもトンネルがあるが、まっすぐ一直線の『折尾谷』のそれとはまったく異なり、距離が少々長い上に曲がりくねっており、さながら迷路の様相を呈しているため、ヘッドランプが必須。
あと天井も低いため、この箇所に限った話ではないが、ヘルメットの着用を強く推奨。特に筆者のようなどんくさい人間だと、確実に頭をぶつけて怪我をします。
『志合谷』にもトンネルがあるが、まっすぐ一直線の『折尾谷』のそれとはまったく異なり、距離が少々長い上に曲がりくねっており、さながら迷路の様相を呈しているため、ヘッドランプが必須。 あと天井も低いため、この箇所に限った話ではないが、ヘルメットの着用を強く推奨。特に筆者のようなどんくさい人間だと、確実に頭をぶつけて怪我をします。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 なお『志合谷』の崖下をよく見ると、廃墟のようなものが建っているのを確認できるそうで、筆者もしばし立ち止まって探してみたが、悔しいことに見つけることは出来なかった。なお、そちらは『ホウ』の被害に遭った上述の宿舎という訳ではなく、戦後、別の工事にあたって新たに建てられた宿舎なのだそうな。
なお『志合谷』の崖下をよく見ると、廃墟のようなものが建っているのを確認できるそうで、筆者もしばし立ち止まって探してみたが、悔しいことに見つけることは出来なかった。なお、そちらは『ホウ』の被害に遭った上述の宿舎という訳ではなく、戦後、別の工事にあたって新たに建てられた宿舎なのだそうな。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 トンネルの如き二股をなす樹木。
トンネルの如き二股をなす樹木。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 見下ろすと、終着点である『欅平駅』が姿を現し、案内アナウンスも響いてくる。
……が、実はここから先こそが、本日最大の頑張りどころなのだ。
見下ろすと、終着点である『欅平駅』が姿を現し、案内アナウンスも響いてくる。 ……が、実はここから先こそが、本日最大の頑張りどころなのだ。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 少々進むと、道は急な下りとなり、標高差350mを一気に降りることとなる。いかんせん雨が降りしきる中とあって足元も危うく、個人的に、ここの行程は今回の山行最大の難所となった。
もっとも、ここで筆者を楽々と追い抜いていく方もおり、己の実力不足を痛感させられてしまう。
少々進むと、道は急な下りとなり、標高差350mを一気に降りることとなる。いかんせん雨が降りしきる中とあって足元も危うく、個人的に、ここの行程は今回の山行最大の難所となった。 もっとも、ここで筆者を楽々と追い抜いていく方もおり、己の実力不足を痛感させられてしまう。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 一度すってんころりんしてしまうも、めげることなく進み続けた先に、ようやく終わりが見えてきた。
一度すってんころりんしてしまうも、めげることなく進み続けた先に、ようやく終わりが見えてきた。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『水平歩道』の終点、黒部峡谷鉄道は『欅平駅』。これにて、此度の山行は締めくくりとなった。
『水平歩道』の終点、黒部峡谷鉄道は『欅平駅』。これにて、此度の山行は締めくくりとなった。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 当然ながら、台風接近に伴い、欅平到着後も雨脚は強まるばかり。素早く帰りの列車の切符を確保し、売店で購入した肉まんを口にしつつ、びしょ濡れの身体を癒した。
当然ながら、台風接近に伴い、欅平到着後も雨脚は強まるばかり。素早く帰りの列車の切符を確保し、売店で購入した肉まんを口にしつつ、びしょ濡れの身体を癒した。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 写真では少々見づらいが、『仙人谷ダム』で貯めた水で発電する、『黒部川第三発電所』はここ欅平に建っている。
写真では少々見づらいが、『仙人谷ダム』で貯めた水で発電する、『黒部川第三発電所』はここ欅平に建っている。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 欅平からは、宇奈月温泉まで黒部峡谷鉄道で。宇奈月温泉についてしまえば、あとは交通に不自由しないため、何とでもなる。
写真は今回お世話になった、黒部峡谷鉄道の主力電機機関車、『EDR型』。
欅平からは、宇奈月温泉まで黒部峡谷鉄道で。宇奈月温泉についてしまえば、あとは交通に不自由しないため、何とでもなる。 写真は今回お世話になった、黒部峡谷鉄道の主力電機機関車、『EDR型』。

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