活動データ
タイム
07:34
距離
19.9km
のぼり
3243m
くだり
3852m
活動詳細
すべて見る※二日目(阿曽原~欅平):https://yamap.co.jp/activity/1299997 ・日本有数の秘境、黒部峡谷。そして、黒部ダムより下流域の心臓部・『下ノ廊下』には、今を遡ることおよそ100年前、電力開発のために拓かれた道が存在する。V字谷の断崖絶壁に穿たれた登山道は、道幅が最狭部で50~60cmほどで、谷底まで数百メートル落ち込んでいる箇所も多く、歩行にはそれなりの危険を伴う。さらに例年、雪解けが遅いこともあって、一般の登山者が足を踏み入れることが出来るのは毎年、9月~10月のごくわずかな時期に限られる。しかしながら、険しい渓谷が織りなす絶景は非常に魅力的で、私にとっても憧れの場所であった。 下ノ廊下は今年で二度目となるが、初挑戦となる昨年は体力的に精一杯で、その景観を十分に楽しむことは出来ず悔しい思いをした。今年は体力の向上に努めた上で、改めてチャレンジ。登山者だけに許された至高の紅葉狩りを、じっくり楽しむことを目的に出発した。 ・『下ノ廊下』の登山コースは、ともに富山県有数の観光名所である、『黒部峡谷鉄道』の終点・『欅平駅』から、黒部川の上流側に位置する『黒部ダム』へ伸びている。今回は黒部ダム側から出発し、途中『阿曽原温泉小屋』に宿泊、翌日、欅平へ抜けるという計画だ。 なお、このコースは大きく分けて、上流側の『日電歩道』および、写真の項に記す『仙人谷ダム』を境として、下流側の『水平歩道』に分かれている。一日目の行程は、主に上流側の『日電歩道』を進むこととなる。 ・本来は10/22~23を予定していたが、台風の接近に伴いキャンセル。10/28~29に延期した。心配なのは紅葉のタイミングであり、立山黒部アルペンルートの公式サイトによると、扇沢(立山黒部アルペンルートの長野県側の入り口)や黒部湖周辺ではすでに色褪せ始めているとのことであった。しかしながら、登山道はスタートしてすぐに黒部ダム堤体の真下、すなわち黒部湖より標高にして180mほど下がることになり、そこから歩を進めるごとに、真っ盛りの紅葉が一面に広がっていた。 昨年は一週間ほど早い時期に訪れたが、それよりも良好なタイミングであったかもしれない。 ・今回、里山以外の山行では初めてPRO TREK Smart を使用し、YAMAPのアプリにてログを記録した。本機は電池の持ちの悪さがたびたび指摘されており、筆者も以前里山でYAMAPのアプリを使用した際には、1時間で充電量の20%弱の消費が見られたため、これは本格的な山行には厳しいのではないかという認識を持っていた。が、此度の山行では7時間半ほどの使用でも充電量にはまだ40%強の残量があった。また、『みちびき』対応の恩恵からか、急峻な黒部峡谷の崖下においても自己位置の測定が可能であり(ただし高度の方は、グラフをご覧いただければお分かりいただける通り、当てにならないが)、本格的な山行においても心強いツールである可能性が示唆された。勿論、条件によりけりという可能性もあるため、今後の山行においても引き続き同機を使用し、検証を行っていく事が必要である。 <注意事項> ・落石・滑落の危険がつきまとうコースであるため、ヘルメットの着用を推奨。 ・冬季における雪崩の多発地帯でもあり、上述の通り雪解けも遅いため、コースの条件は毎年変化している。登山計画を立てる際には、必ず阿曽原温泉小屋のウェブサイトで、登山道の状況を確認すること。なお、今回は雪渓が残っている箇所があり、念のため軽アイゼンを持参したが、阿曽原温泉小屋の方々がしっかり整備してくださっていたおかげで不要に終わった。 ・かなりのロングコースであるため、日没時刻を意識する事(この登山道に限った話ではないが、日没後に歩くのは文字通りの自殺行為)。特に入山当日にトロリーバスで黒部ダムに入る際は、始発の便の時刻によって登山計画を制約されることに注意。 ・必須ではないが、事前に小説『高熱隧道』(著:吉村昭)を読んでおくことをお勧めしたい。単純に峡谷の景観を楽しむのもいいが、この険しい自然を切り開いた人々の営みに思いを馳せながら歩くと、より一層楽しめることは請け合いだ。
もしも不適切なコンテンツをお見かけした場合はお知らせください。