秋ノ『美ガ原熔岩台地(尾崎喜八氏)』を歩きました。

2015.09.12(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
5 時間 36
休憩時間
2 時間 6
距離
10.3 km
のぼり / くだり
261 / 256 m

活動詳細

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 美ヶ原は自分にとって、思い出深い場所です。  10年以上前は麓の三城にある標高1,500mのキャンプ場を訪れるのが夏の恒例行事でした。当時6~7歳だった子どもたちと三城牧場から百曲り登山道で何度も登ったのが、この美ヶ原。標高2,000mに限りなく広がる大草原、咲き乱れる高山植物、長閑に草を食む牛たち、そして周囲を取り囲む南、中、北の3アルプスと名山の数々…。最初に訪れた時「日本にこんなところがあったのか!」と衝撃を受けたのを鮮明に覚えています。  子どもたちが成長し、学校生活や部活動に忙しくキャンプに行かなくなって10数年。 秋晴れの予報に誘われ、懐かしいあの場所へ、夫婦で出かけてみるかと思い立ったのです。 ……本当は百曲り登山道で登るつもりでした。しかし、カミさんはかれこれ2週間ほどブランクがあるという不安があります。また以前はまだ整備されていなかった遊歩道「アルプス展望コース」をゆったり歩いてみたいこと、そして王ヶ鼻に足を伸ばさないと勿体ないのでその往復時間も加えて考え、無難にクルマでビーナスラインを登り、山本小屋から王ヶ鼻を往復するハイキングを選択しました。たまには、こういうのも良いですね。  山本小屋から20分、遭難防止の霧鐘塔である「美しの塔」に着きます。ここには尾崎喜八氏の詩『美ガ原熔岩台地』が彫られています。戦前に詠まれたこの詩を、今回ちゃんと読んでみたら、なんと快晴の秋の美ヶ原を詠っていたんですね!(『日本百名山』で深田久弥氏がこの詩を引用しつつ、5月に登った旨が書かれていたので、尾崎氏も春に登ったものと勘違いしていました) ……そうなると、はるか昔、尾崎氏の見た風景が眼の前に広がっているような気がして(単純だなぁ)、今日の風景が、一層愛おしくなってきました〜。  塩クレ場から分岐して「アルプス展望コース」方面に進むとすぐに公衆トイレが。10数年前には道もトイレもなかったので、こういう変化は非常にありがたいですね。  百曲り園地から烏帽子岩を経て王ヶ頭までの遊歩道「アルプス展望コース」は、台地の端部を通っていくもので、浅間山、蓼科山、霧ヶ峰、八ヶ岳といった近くの山々から、富士山、南アルプス、中央アルプス、御嶽、乗鞍岳、北アルプスまでを見渡せる大パノラマコース! この大展望を2.2kmの行程中、堪能し続けられる贅沢な道でした。しかも足元には高山植物が花をつけ、右手には台上に広がる大高原の爽やかな風情が広がる…。のんびり歩いても王ヶ頭まで40分程度のコースタイムですが、立ち止まり景観や花を愛で、写真を撮り、語りながらゆったり1時間以上かけて歩きました。途中、危険箇所も全くなく快適そのもの。ただ台上の端部ですので始終強風が吹いています。この日は快晴で問題ありませんでしたが、悪天候時は途中逃げ場がないのでその点は留意した方が良いと思いました。  王ヶ頭が近づくと一気に人が増えます(王ヶ頭ホテルの宿泊客の方たちも散策されています)。道を右折し、王ヶ頭ホテル直下を登ると(今日、唯一の登りらしい登り!)王ヶ頭の山頂に到着します。  ご存知のように山頂は電波塔と王ヶ頭ホテルが建ち、山岳信仰の神仏が立ち並ぶ独特の雰囲気があります。 ここから20分ほど歩けば、断崖の絶景ポイント・王ヶ鼻です。快晴ならばここに立ち寄らない手はありませんよね! さっきまで居た王ヶ頭にはじまり、アルプス展望コースでは見渡せなかった北アから立山方面の山々まで、まさに360度の大パノラマが眼前に広がります。天空に突き出した断崖には段差のある岩々で構成され、都合よくテーブルや椅子の代わりになってくれます。空に突き出た絶景の真っ只中でお昼をいただける、最高のランチスポットです(あんまり端っこに行くと落ちるので注意!)。  王ヶ鼻から王ヶ頭を経て、帰りは牧草地の中の一本道を歩いて帰りました。道は非常に綺麗に整備され、柵にも危険なところは見当たりませんでした。  かつて家族4人で何度も歩いた道。今日のような快晴の日も、雨と霧と強風の日もあったなぁ…。 懐かしさを味わっていると、サックの上にご機嫌の赤ちゃんを乗せた家族連れや、登山スタイルの小さな子どもを連れた家族とすれ違い、いつかこの家族も今日の日を懐かしく思い出すんだろうなと思ったり…。  今回は登山ではありませんでしたが、美ヶ原の魅力を存分に再確認できました。 次は、再度「百曲り登山道」での登山にチャレンジしたいと思います!

美ヶ原 山本小屋前の無料駐車場は40〜50台分。朝8時前で8割方埋まっていました。
山本小屋前の無料駐車場は40〜50台分。朝8時前で8割方埋まっていました。
美ヶ原 濃い霧に包まれていたのが嘘のように、八ヶ岳の山々が現れてきました。
濃い霧に包まれていたのが嘘のように、八ヶ岳の山々が現れてきました。
美ヶ原 花の季節は終わっていますが、まだハクサンフウロが健気にそこここで咲いていました。
花の季節は終わっていますが、まだハクサンフウロが健気にそこここで咲いていました。
美ヶ原 ノアザミの花もまだ健。以前はいつも8月に訪れていたのですが、顔に群がる大量の虫に閉口した覚えが…。今回、花の季節を過ぎたせいでしょうか、まったく虫が気になりませんでした。
ノアザミの花もまだ健。以前はいつも8月に訪れていたのですが、顔に群がる大量の虫に閉口した覚えが…。今回、花の季節を過ぎたせいでしょうか、まったく虫が気になりませんでした。
美ヶ原 蓼科山、北八ヶ岳とお馬さん。牧場にもかすかに秋の風情が…。
蓼科山、北八ヶ岳とお馬さん。牧場にもかすかに秋の風情が…。
美ヶ原 美しの塔(霧鐘塔)。山本小屋の基をつくった故山本俊一氏を記念して建てられた美ヶ原のシンボルです。
美しの塔(霧鐘塔)。山本小屋の基をつくった故山本俊一氏を記念して建てられた美ヶ原のシンボルです。
美ヶ原 塔の前面には、詩人・尾崎喜八氏の詩集「高原詩抄(1942)」の一編『美ガ原熔岩台地』が刻まれています。美ヶ原の晴天の秋を詠っていたんですね…。
塔の前面には、詩人・尾崎喜八氏の詩集「高原詩抄(1942)」の一編『美ガ原熔岩台地』が刻まれています。美ヶ原の晴天の秋を詠っていたんですね…。
美ヶ原 『美ガ原熔岩台地』の「…空ハ青ト白トノ目モ覚メルダンダラ…」とはこんな感じだったのでしょうか。
『美ガ原熔岩台地』の「…空ハ青ト白トノ目モ覚メルダンダラ…」とはこんな感じだったのでしょうか。
美ヶ原 この時間はまだほとんど人が居らず、聞こえるのは吹き抜ける風の音のみ。尾崎喜八氏が詠んだ戦前の静かな美ヶ原も、こんな感じだったのではと想像を膨らませてみる…。
この時間はまだほとんど人が居らず、聞こえるのは吹き抜ける風の音のみ。尾崎喜八氏が詠んだ戦前の静かな美ヶ原も、こんな感じだったのではと想像を膨らませてみる…。
美ヶ原 塩クレ場。牛に塩を与えた岩々は、牛になめられて無数のくぼみができています。牛、おそるべし!
塩クレ場。牛に塩を与えた岩々は、牛になめられて無数のくぼみができています。牛、おそるべし!
美ヶ原 塩クレ場から左折し「アルプス展望コース」へ続く道へ入りました。この辺りは牛たちがまだ放牧されています。夢中で牧草を食べてますが、もうじき彼らも麓の牧場の牛舎に戻り、冬を越すのでしょう。まさにハイジの世界(あっちはヤギだけど)ですね。
塩クレ場から左折し「アルプス展望コース」へ続く道へ入りました。この辺りは牛たちがまだ放牧されています。夢中で牧草を食べてますが、もうじき彼らも麓の牧場の牛舎に戻り、冬を越すのでしょう。まさにハイジの世界(あっちはヤギだけど)ですね。
美ヶ原 雲が湧き、陽は輝く。聴こえるのは高原を吹き抜ける風の音だけ…。
雲が湧き、陽は輝く。聴こえるのは高原を吹き抜ける風の音だけ…。
美ヶ原 台地の端部に近づくと、中央アルプス、御嶽、乗鞍岳が姿を現します。
台地の端部に近づくと、中央アルプス、御嶽、乗鞍岳が姿を現します。
美ヶ原 ススキと蓼科山、八ヶ岳。秋の風情ですねぇ…。周囲の山々も10月には美しく色づくのでしょうね。
ススキと蓼科山、八ヶ岳。秋の風情ですねぇ…。周囲の山々も10月には美しく色づくのでしょうね。
美ヶ原 三城牧場から登ってくる「百曲り登山道」の終点、百曲り園地。ここから右に折れると台地の端部を王ヶ頭まで辿る「アルプス展望コース」が始まります。
三城牧場から登ってくる「百曲り登山道」の終点、百曲り園地。ここから右に折れると台地の端部を王ヶ頭まで辿る「アルプス展望コース」が始まります。
美ヶ原 台地側に向けば大草原に鳥が飛ぶ。『美ガ原熔岩台地』の最後の一行、「一羽ノ鷲ガ流レ矢ノヨウニ落チテ行ッタ」の風情。
台地側に向けば大草原に鳥が飛ぶ。『美ガ原熔岩台地』の最後の一行、「一羽ノ鷲ガ流レ矢ノヨウニ落チテ行ッタ」の風情。
美ヶ原 断崖方向に向けば中央アルプスが眼前に。この日は蓼科山、八ヶ岳、霧ヶ峰から南ア、中ア、御嶽、乗鞍岳、北アまでぐるりと見渡せました。
断崖方向に向けば中央アルプスが眼前に。この日は蓼科山、八ヶ岳、霧ヶ峰から南ア、中ア、御嶽、乗鞍岳、北アまでぐるりと見渡せました。
美ヶ原 百曲り園地から王ヶ頭までの2.2km、3つのアルプスを望む大パノラマが延々と続きます。贅沢です!
百曲り園地から王ヶ頭までの2.2km、3つのアルプスを望む大パノラマが延々と続きます。贅沢です!
美ヶ原 王ヶ頭へ延々と続く小道が「アルプス展望コース」。初めて歩きましたが、これ、素晴らしいの一言です!
王ヶ頭へ延々と続く小道が「アルプス展望コース」。初めて歩きましたが、これ、素晴らしいの一言です!
美ヶ原 ウメバチソウが可憐に咲いていました。
ウメバチソウが可憐に咲いていました。
美ヶ原 強風のせいか、シーズン終わりのせいか、背の低いマツムシソウが咲いています。。
強風のせいか、シーズン終わりのせいか、背の低いマツムシソウが咲いています。。
美ヶ原 カワラナデシコもそこここに咲いていました。
カワラナデシコもそこここに咲いていました。
美ヶ原 振り返ると、烏帽子岩が。台地の端部なので当然ですが「アルプス展望コースは」強風を避ける場所があまりありません。好天時は最高ですが、悪天候時はよく考えた方がよいと思います。
振り返ると、烏帽子岩が。台地の端部なので当然ですが「アルプス展望コースは」強風を避ける場所があまりありません。好天時は最高ですが、悪天候時はよく考えた方がよいと思います。
美ヶ原 プラスチックのような鮮やかなツヤを持つバッタの仲間。この日はいたるところでギシギシと鳴いていました。
プラスチックのような鮮やかなツヤを持つバッタの仲間。この日はいたるところでギシギシと鳴いていました。
美ヶ原 麓を見下ろして。少し色づき始めた程度で、紅葉にはまだまだ早いですね。
麓を見下ろして。少し色づき始めた程度で、紅葉にはまだまだ早いですね。
美ヶ原 ここから王ヶ頭まで200mの登りが、今日唯一の登りかも。
ここから王ヶ頭まで200mの登りが、今日唯一の登りかも。
美ヶ原 王ヶ頭ホテルの前。山本小屋方面の牧草地を望む。昼には周囲のテーブルで食事をする方々で大賑わいに。
王ヶ頭ホテルの前。山本小屋方面の牧草地を望む。昼には周囲のテーブルで食事をする方々で大賑わいに。
美ヶ原 王ヶ頭ホテルから100mの場所がピークの王ヶ頭。登頂の風情はありませんが、御嶽、乗鞍をバックにした絶好の記念撮影ポイントです。
王ヶ頭ホテルから100mの場所がピークの王ヶ頭。登頂の風情はありませんが、御嶽、乗鞍をバックにした絶好の記念撮影ポイントです。
美ヶ原 王ヶ頭から王ヶ鼻をめざします。前方の電波塔の向こう側が王ヶ鼻、ほぼ平地を20分程度の行程。
王ヶ頭から王ヶ鼻をめざします。前方の電波塔の向こう側が王ヶ鼻、ほぼ平地を20分程度の行程。
美ヶ原 王ヶ鼻。電波塔を超え、針葉樹林と笹原を抜けると一気に展望が開けます。
王ヶ鼻。電波塔を超え、針葉樹林と笹原を抜けると一気に展望が開けます。
美ヶ原 王ヶ頭から北アまでのパノラマ写真。さらに右方向、立山方面まで本当は一度に見渡せます。展望が広すぎてパノラマでも収まりきらない!
王ヶ頭から北アまでのパノラマ写真。さらに右方向、立山方面まで本当は一度に見渡せます。展望が広すぎてパノラマでも収まりきらない!
美ヶ原 さっきのパノラマ写真の右は、このように立山方面まで眺望が繋がっております。
さっきのパノラマ写真の右は、このように立山方面まで眺望が繋がっております。
美ヶ原 王ヶ鼻の断崖にほとんど高さのないマツムシソウが。なんとも健気です。
王ヶ鼻の断崖にほとんど高さのないマツムシソウが。なんとも健気です。
美ヶ原 王ヶ鼻らしい写真です。王ヶ頭や王ヶ鼻のたくさんの石仏は、御嶽信仰のもので、すべて御嶽の方向を向いているのだそうです。
王ヶ鼻らしい写真です。王ヶ頭や王ヶ鼻のたくさんの石仏は、御嶽信仰のもので、すべて御嶽の方向を向いているのだそうです。
美ヶ原 先っちょで石積んだの誰や〜、コワっ! 断崖眼下は、麓の三城方面でしょうか。
先っちょで石積んだの誰や〜、コワっ! 断崖眼下は、麓の三城方面でしょうか。
美ヶ原 王ヶ鼻方面から戻る途中の王ヶ頭。ほんの少し紅葉が始まっていました。
王ヶ鼻方面から戻る途中の王ヶ頭。ほんの少し紅葉が始まっていました。
美ヶ原 帰りは、王ヶ頭から牧草地の真ん中を歩いていきます。
帰りは、王ヶ頭から牧草地の真ん中を歩いていきます。
美ヶ原 牛さんがのどかに草を食む…。まさに高原の牧場の風情ですね。
牛さんがのどかに草を食む…。まさに高原の牧場の風情ですね。
美ヶ原 お昼を過ぎ、結構な人出のはずですが、とにかく広いので人が分散するのでしょう。王ヶ頭や王ヶ鼻以外は静かな風情を堪能できます。…ハイシーズンの7月、8月はこうはいかないでしょうが。あと、10数年前より格段に道が歩きやすくなっている気がしました。
お昼を過ぎ、結構な人出のはずですが、とにかく広いので人が分散するのでしょう。王ヶ頭や王ヶ鼻以外は静かな風情を堪能できます。…ハイシーズンの7月、8月はこうはいかないでしょうが。あと、10数年前より格段に道が歩きやすくなっている気がしました。
美ヶ原 この長閑さが愛おしく、ついつい牛を撮ってしまいます(笑)。
この長閑さが愛おしく、ついつい牛を撮ってしまいます(笑)。
美ヶ原 王ヶ頭と牛たち。もはや牛の追っかけ状態です(笑)。…夏はこのあたりにも花が咲き乱れているのでしょうね。
王ヶ頭と牛たち。もはや牛の追っかけ状態です(笑)。…夏はこのあたりにも花が咲き乱れているのでしょうね。
美ヶ原 今日は牛の撮影会かーッ(笑)。でも好き。
今日は牛の撮影会かーッ(笑)。でも好き。
美ヶ原 雲で隠れていた富士山が、うっすらと姿を現してくれました。
雲で隠れていた富士山が、うっすらと姿を現してくれました。
美ヶ原 振り向けば風の中に佇む美しの塔。さようなら、秋の『美ガ原熔岩台地』…。
振り向けば風の中に佇む美しの塔。さようなら、秋の『美ガ原熔岩台地』…。
美ヶ原 山本小屋でソフトクリーム(350円)。コケモモとミルク。ミックスもできます(値段は同じ)。ミルクはかなり濃厚、コケモモは甘酸っぱい味わいでした。
山本小屋でソフトクリーム(350円)。コケモモとミルク。ミックスもできます(値段は同じ)。ミルクはかなり濃厚、コケモモは甘酸っぱい味わいでした。

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