雪の道志山塊 敗退記

2018.01.28(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
7 時間 52
休憩時間
21
距離
28.4 km
のぼり / くだり
2117 / 2040 m
8
3
54
42
58
27
3
8
20
48
1

活動詳細

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「近くへ行きたい」シリーズで、しつこく道志山塊へ。今回のテーマは「雪中ファストパッキング」。  装備は最低限。シューズをゴアテックス(アシックスGT-2000 ALLROAD)にし、アンクルゲイター、軽アイゼンを持つ以外は、通常のトレイルランニングと変わらない。それでどこまで行けるか? ちょっとした実験山行だ。  起点は中央本線の四方津駅。めざすは朝日山。雪が残る市街地を足早に通り抜け、川合峠から登山道へ入る。降雪から一週間がたち、雪面はほどよく踏み固められている。序盤は軽アイゼンもつけず、サクサク登っていける。  大地峠からいちど舗装路に下りようとするが、雪景色の中で方向感覚を失い、数分のロス。戻ってルートを見つけ、ロードを尾崎地区まで駆け下りる。融雪剤のおかげか、このあたりの路面はクリーンで走りやすい。  秋山地区から再び登り始める。王の入園までは除雪されて歩きやすかったが、その先はたっぷり積もった雪に軽トラックの轍が2本あるのみ。アンクルゲイターをつけて、靴の中に雪が入るのを防ぐ。  リニア新幹線の実験線をくぐってから、あらためて登山道に入り、棚ノ入山へと登っていく。人の踏み跡はなくなり、鹿やウサギの足跡だけになる。足跡をよく見てみると、つづら折りの登山道を直線的に駆け下りている鹿がいることに気づく。「う〜ん、すごい度胸と身体能力だ」と感心する。  雪でペースダウンを余儀なくされながらも、つづら折りの間はまあまあ歩けていたのが、急登区間にさしかかると、ラッセルが苦しくなってくる。さすがにランニングシューズではグリップも効かなくなり、ついに軽アイゼンをつける。しかし、4本爪では急登区間には対応できず、滑りまくる。枯れ枝を拾い、ダブルストックにして体を引き上げるが、それでも遅々として進まず。距離にして1km、標高を180m上げるのに48分もかかる。 「これじゃあ、スローパッキングだなぁ……とほほ」と思いながら、ちびちび進むが、次第に風が強くなり、寒さで気力も奪われていく。  朝日山は谷の向こうに見えている。その東には気持ちよさそうな尾根が続いている。コンディションがよければ、尾根伝いに藤野方面へ下山しようと思っていたのだが、この状況ではさすがにしんどい。 「敗退」の二文字が頭をよぎり始める。  朝日山まで行って、道志道みちへ下りるか? しかし、それだと車道を延々移動することになる。だからといって、来た道をそのまま引き返すのは精神的にきつい。ならば、U字状に北上し、高畑山を乗り越えて中央本線まで戻るか? それはそれでけっこうな距離がある。来週の別府大分マラソンのことを考えると、脚の消耗は避けたい。う〜む、どうしたものか……  堂々めぐりの脳内対話を繰り返しながら、何とか棚ノ入山に登頂。ふぅ〜っと大きなため息をつく。 「よし、敗退だ。高畑山をめざそう」  そう決めると、急に元気が出てきた。雛鶴峠への下山は、雪面を一気呵成に滑り下りる。距離の“稼ぎ”がいいと、気分も上がる。  高畑山への登り返しは南斜面。思ったより雪が少なく歩きやすい。しかし、ラッセルでスタミナを消耗したためか、呼吸が苦しい。ゼーゼー言いながら登頂すると、先週とはうって変わり、真っ白な世界が待っていた。  なけなしのおにぎりを食べて一休みしてから、最後の下りにとりかかる。  北側のルートは踏み跡がしっかり固められていて、走りやすい。通常のトレイルランと同じような感覚で下っていく。結果的に、山頂から鳥沢駅までは49分しかかからなかった。  雪山ファストパッキングとしては、半分成功、半分失敗というところか。それでも、終わってみれば、じつに爽快な気分だ。棚ノ入山で泣きごとを言っていた自分と、「今日もいい山行だった。プハーッ」と缶ビールをあおる自分が同一人物とは思えない。喉元過ぎればなんとやら。人間というのは、じつにいい加減な生きものだ……。 ◆距離30.00km/行動時間7:52:00/累積標高D+2076m ◆行動食/おにぎり2個、シリアルバー、ポカリスエット900ml

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