活動データ
タイム
06:17
距離
20.6km
のぼり
1293m
くだり
1240m
活動詳細
すべて見る雲竜渓谷の氷瀑。私が山に目覚める数年前、何かのTV番組で偶然目にしブラウン管を通してでも伝わってくるその迫力に心を奪われ、いつかは生で見てみたいと思っていた。そして今年、山に目覚めて迎える初めての冬、このシーズン中に行くべきだと思いつつ、ここ1ヵ月様々なヤマッパーさんの活動日記で上がる素敵な氷瀑の写真を悶々と眺めながら過ごしていた。本当なら先週に行く予定ではあったが、雪の丹沢を優先させてしまった。そうこうしている内に氷瀑も今週で最後かな?的な雰囲気が漂ってきたので、仕事を後輩ちゃんに押し付け年休をブッ込んで行ってきた。 しかし、人間というのは欲深いもので、せっかく日光まで行って氷瀑を見て帰ってくるだけでは勿体ないと思い始め、そういえば冬の湯西川温泉で絶賛開催中のかまくら祭の事もずっと前から気になってました!という事で、氷の滝行の後は湯西川温泉まで足を伸ばすことにした。 湯西川温泉は、鬼怒川温泉より奥の川治温泉のその更に山奥にある温泉郷なので日光からでもかなり遠い。17時過ぎの温泉郷行きの最終バスに乗ろうと思うと、15時過ぎには東武日光を出発しないと間に合わない。そして、雲竜渓谷ハイキングの平均的なコースタイムは6時間前後。 これらを踏まえて行動計画を立てると、東武線浅草駅の5時前の始発に乗ると東武日光着が7時半頃。そして8時に歩き始めたとしても7時間をハイキングに使う事ができ、余裕で15時までに東武日光に戻って来れそうだ。という事で計画もバッチリである。 そして当日。朝3時半起きで身支度を整え予定通り5時前の東武線浅草駅の始発に乗り込む。順調に電車を乗り継いで7時半頃東武日光に到着。ちなみに栃木を過ぎると電車の扉の開閉で流れ込んでくる冷気が半端なくクソ寒かった。それと今回は現地であらゆる乗り物が顔パスで利用でき、料金もお得な日光・鬼怒川フリーパスを使用する。 雲竜渓谷ハイキングのスタート地点の滝尾神社までは駅から4km程。時間節約のためタクシーを利用する予定だったが、運ちゃんに金額を確認したところ2000円は超えるよとの回答。浅草~日光まで1350円なのにラスト4kmが2000円越えかよ!と思うと乗る気が失せたので往路は徒歩によるアクセスに計画変更。 という事で、駅からスタート地点滝尾神社までひたすら歩く。東照宮前の神橋までは順調そのもの。神橋前の三差路を右に曲がり川沿いの舗装路をひたすら歩く。が、川沿いの道はスケートリンク状態で地味~な上り坂。転倒に気をつけながらも可能な限り早歩きをした結果、早くも俺つゆだく。悪路と戦う私の無様をあざ笑うかの様に通り過ぎていく自家用車使いハイカーやタクシーハイカーを恨めしく見送る。 苦節1時間弱で滝尾神社に到着。ここで汗で湿気たダウンジャケットを脱ぎ上はインナーとミドルウェアのみ、下は沢の渡渉に備えアウターパンツ、スパッツを装着。水を一口飲んで先を急ぐ。よくよく考えたら滝尾神社からの往復が平均6時間なのだから、駅から往復している私には時間の余裕など全くないのだ。俺アホ過ぎ。。。 20分程歩くとゲートに到着。道が2本に分岐しており、左側(山側)に登る道は工事用道路、直進がハイキング用ルート。工事用道路は一般人通行禁止なのでハイキングルートの一択。しかし、色んな人のブログや活動日記を調べると工事用道路を使っている人ばかりだったが、禁止されたのは最近の事なのだろうか。 ゲートから更に20分程で大きな橋に到着。この橋の袂で団体さんがアイゼンを装着していたので、随分装着のタイミングが早いけど路面状況が悪いのかな?と思い私も装着。が、橋を渡っている途中で激しく後悔。橋の中心部の床が数か所が鉄格子になっておりアイゼンが引っかかって歩きにくかった。個人的にはセオリー通り洞門岩までアイゼンは必要なかったと思うが、もしここで装着して行くのなら橋を渡ってからつけた方が良いだろう笑 橋を渡ってからも、稲荷川を見下ろしながらしばらく緩い登りの林道歩きが続く。途中、路面凍結、泥濘、落石跡に雪が積って歩きにくい箇所があった。20分程歩くと大きな砂防堰堤の下に到着。ここは砂防堰堤右側の山の斜面を登ってダムの上に出なければならない。けっこうな急勾配なので凍っていたり、ぬかるんでいたら危ないかもしれない。ロープもあるので慎重に登りたし。 斜面を登り切ると砂防堰堤の上に出る。すると、左手に女峰山へ続く黒岩尾根、右手の巨大な岩壁、正面奥には女峰山がデーンと鎮座する幅数百mの大雪原が拡がっており、このコース屈指の絶景ポイントだろう。この素晴らしい雪原を渡り切ると雲竜渓谷と書かれた道標があり、そこから九十九折の坂道を登っていく。坂の上で工事用道路と合流する。ハイキングコースは随分と遠回りだなぁと思う。そこからは再び平坦な林道歩き。。。 林道を20分程歩くと洞門岩に到着。周りを見渡すが何が洞門岩なのかわからなかった。対岸の岩壁の事かな。洞門岩前の広場から沢に下りていく。ようやくそれっぽい雰囲気になってきたのでテンションは上がる。特に何も考えずに奥の谷の方に進んで行ったがこれは道間違い(間違う人多数でトレースが濃い)。しばらく歩くと行き止まりにぶち当たる。正解は谷に入る直前の左側の斜面を登る、である。が、そんな事は知る由も無く、目の前の本日最初の巨大氷柱、本日最初の渡渉に歓喜する私であった。。。しかし15分後、最深部でこれ以上どこにも行けない現実を知り、そういえば誰かのブログでこの間違いルートの事を読んだなーと失笑しながら来た道を引き返す。撤退中にすれ違った人には、この先は行き止まりである事を伝えながら歩いた。 ルート復帰し急斜面を登るとまた林道歩き。しばらく歩くと雲竜渓谷入口を見下ろす広場に到着。ここで手すりに腰かけて昼食をとる。昼食の間もアウターが要らない程の陽気。持ってきたお湯も使わず、なっちゃんオレンジをグビる。 この広場から再度沢へ下る。しかし下るための階段は傾斜が急な上、雪で埋まって踏み固められ滑り台状態である。手すりに掴まりつつ、先人の足跡を慎重になぞる。冗談抜きにこのルート一番の危険個所かもしれない。 沢へ下りて谷の方へ向かうとすぐに最初の巨大氷柱群が現れる。その巨大さと美しさに圧倒される。本当に氷の柱である。この太さ巨大さはまさに柱である。と氷柱の語源に納得。そして周りを見回すと狭い谷の両側に同じような氷柱が沢山ぶら下がっており、凄いところに来てしまったと大感動。本当に来て良かった。しかし、この陽気のせいか氷柱の氷解が始まっており地面に崩壊した長さ数mの氷柱がゴロゴロ転がっていた。まるでギリシャの神殿の遺跡の様だと思った。こんな極太の柱が直撃したら人間なんてペシャンコである。ヘルメットも気休めにしかならないであろう。氷瀑手前の巨大氷柱の直下を歩かなければならない箇所は最高に恐ろしくダッシュで走り抜けた。 それと谷に入ってからは何度か渡渉をする必要がある。流れも速く、氷で滑る箇所もあるので、ストックで確認しながら慎重に渡渉した方が良いだろう。 そして最深部の雲竜瀑へ到着。クソデカい。落差100mもある滝が凍っているという目の前の現実が信じ難かった。 氷瀑へ更に近づくには、氷瀑の右横の急斜面を登らなければならない。かなり急だし途中数か所は凍結しているのでアイゼンは必須だろう。慎重に登る事10分で氷瀑の滝つぼへ出る。そこから見る氷瀑は下から見るよりも大迫力である。恐らく最盛期に比べると大分溶けてしまっているのだろうがそれでも十分凄いと思った。できる事ならアイスクライミングをしている人を見てみたかったが、ここまで溶けると無理なんだろうな。 氷瀑に見とれているうちに自分で設定した下山開始リミットの12時近くになってしまったので速やかに撤退開始。温泉、ビール、山の幸を希望に、来た道を往路の倍速ぐらいで引き返す。復路はずっと緩い下りでサクサクと足が進み13時にはゲート、14時には神橋に到着。そして神橋で信号待ちをしているとタイミング良く東武日光行きのバスが来たので飛び乗る。すると14時10分には東武日光に到着、14時12分の下今市行きの電車に間に合ってしまった。つまりこれは湯西川温泉行の最終一つ前のバスに乗ることができ、明るい内に温泉郷に到着できるという事である。そして私は、東武日光駅~雲竜瀑までをすべて自分の足で歩き切った満足感と、これから始まる温泉郷での楽しい夜への期待に胸を膨らませ湯西川温泉へ向かった。 2月も中旬にさしかかり雲竜渓谷の氷瀑と氷柱は最盛期を過ぎかなり氷解が始まっていた。今週で見納めだったかもしれない。それでも十分に素晴らしかったが、来年にでも最盛期のベストな状態を見てみたい。そのためなら、また私は後輩ちゃんに躊躇なく仕事を押しつけ有休をブッ込む覚悟はできているぜ。何度でも! という事で、眠くなってきたので湯西川温泉の活動日記は次回で。。。
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