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北穂高~大キレット~槍ヶ岳(テント3泊4日縦走)

wakatakeyaさん YAMAP Meister Gold

  • YAMAPマイスター:ゴールド
  • 自己紹介:小さい頃から旅が好きでした。小3のとき自転車で隣町まで20kmを走ったのを皮切りに、中2では自転車による九州横断、高2からはバイクであちこち、高校を卒業し上京してからは全国をバイクでツーリングしました。20代になって欧州をバックパッカーとして1ヶ月半フラフラしたり。30代は九州に戻り、阿蘇や四国お遍路ツーリング等を楽しんでいました。

    山はソロが多いですが、長~く歩けると嬉しいなぁ。
    http://goo.gl/4SPJbS

  • 活動エリア:福岡, 大分, 長野
  • 性別:男性
  • 生まれ年:1965
  • 出身地:福岡
  • 経験年数:10年以上
  • レベル:公開しない
  • その他 その他

穂高岳・槍ヶ岳・上高地

2015/09/27(日) 18:06

 更新

北穂高~大キレット~槍ヶ岳(テント3泊4日縦走)

公開

活動情報

活動時期

2014/09/11(木) 05:54

2014/09/14(日) 11:42

アクセス:309人

軌跡・時間・距離

軌跡データをダウンロード
累積標高上り 16,446m / 累積標高下り 16,405m
活動時間77:48
活動距離66.50km
高低差1,774m
カロリー38761kcal

写真

動画

道具リスト

文章

【前夜】
 東京での仕事をやっと終えた。今日から3泊4日の槍穂縦走だ。ホテルでスーツをぬいで着替えようとしたら、なんと山パンツを忘れている…。慌てて神保町のショップで買いなおした。そんなこんなで新宿発、上高地行きの夜行バスに乗車。でも、眠れない…。

【初日】
 上高地着、午前5時半。前日の立ち仕事と寝不足で、ふらつく。いや、これは久しぶりの積載16kgの50Lザックに身体がついていってないんだな。バスターミナルでの小雨が止まぬものかとウダウダしていて出発時間が6時半近くになってしまった。

 横尾までの平坦な散策路を眠気と戦いながら3時間歩くが、いつもの調子が出ない…。涸沢まで足が重いまま、TOTAL約8時間かけて歩いてきたけれど、こんな調子で明日は大キレットを行けるのだろうか。とは言え、雄大な涸沢カールの光景は息を呑んで見惚れてしまう。

 紅葉の時期には1000張りものテントが建つと聞く涸沢も、連休前の平日は静かなものだ。15時からのテン場受付を済ませ、ヒュッテで買った缶ビールを飲みつつ明日の行程を確認、フリーズドライの夕食を済ませて再びビール。ガスが出たので夕景は楽しめず、持ってきた本(今回は「スティルライフ」池澤夏樹)を読んでいるうちに寝落ちした(笑)

【2日目】
 午前4時にテントの外へ出てみる。月明かりの下で穂高が浮かび上がっている…美しい。山の素敵なところの一つは、夜だ。
 テントに独りで寝ていて怖くないのか、と良く訊かれる。これまで百回以上テント泊をしてきたが、テントの夜で何が一番怖いかと言えば「人」だった。僕にとって漆黒の闇や暴風雨、鋭い冷え込みや孤独、そんな自然や自分との対峙は「怖い」ものではなかった。今日のような月夜はむしろ静かに力が湧き上がる感じすらする。
 やがて空は白み、午前5時半頃から穂高の峰がモルゲンロートに輝きだす。しかし山々が赤く染まるのは、わずか20分ほど。荘厳な朝焼けをまぶたに焼付け、幸先の良いスタートに軽い足取りで北穂を目指す。

北穂高岳へは南稜を登って行くことになるが、なかなかの急登だ。ゆっくりと自分のペースで登りたいところだが、登山者の数も多くそうはいかない。中でも8名ほどの大阪のオバチャン(失礼!)グループが長い列を作っていて動きが読みづらい。先頭のリーダーさんはかなり健脚なのだが後続はゆっくりなので、進むたびに列が伸びてゆく。それにしてもメットにサングラスで、ぴったりしたウェアに身を包んだ太目のオバチャン達は、かなりの迫力があった(本当に失礼!)。

北穂に着いて(勇気あるヤマネチも撮って)、いよいよ今山行のハイライト「大キレット」に挑戦だ。九州のベンチマークとなる岩稜帯は歩いたものの、「日本の一般登山道では最難関のひとつ」とされるルートだけに期待と共に緊張が高まる。

下降点は北穂高岳山荘の脇にあった。下り始めてスグ(こいつはヤバイ…)と感じる。何がヤバイって、背中のザックだ。普通の登山道では感じなかった重心のブレや、身体をひねった時の慣性が、急峻で足場のない岩稜帯ではもの凄い恐怖なのだ。空身だったら割と気持ちよくこの岩場を楽しめたと思う。一足つまづいただけで、15kgの背中に押されて奈落の底まで転げ落ちることが、容易に想像できてしまう。この想像が身体をこわばらせるのだ。

ハシゴや鉄杭、鎖を経て下る間中、強い緊張感に痺れた。浮石の多い不安定なルンゼを抜け、長野側から岐阜側へ回り込む飛騨泣きあたりでは度々、岩にしがみついては深呼吸を繰り返す。三点支持を繰り返しながら進む時よりも、周囲を見回した時にその高度感にめまいしそうになる。

大キレットで唯一、ザックを降ろせる「A沢のコル」に着いた時には(まだ落ちていないぞ)と安堵した。変な安心の仕方だと笑いが出る。長い緊張でハイになっているのだ(笑)。ガスと風が出てきた。ガスはともかく、風は怖い。風速5~7m/sぐらいの感じで、油断をすると身体が振られそうだ。普段なら大した風速ではないが、ココでは怖いと感じる。

息を整え、Hピ-クへ向かう。ガスで下まで見下ろせないものの、痩せて切り立った岩の稜線に背中の毛がおぞける。それでも下りの時よりは余裕が出てきた。ここは下りじゃないから「つまづく」ことはない。三点支持を確実にして、踏み外さなければいいのだ。ていうか、ここは「一般登山道」でいいのか?普通に生命の危険を感じるんだけど?振り返ると滝谷の岩壁が恐ろしい姿を見せている。ここを冬季に登る人がいるなんて信じられない。

Hピ-クを越え一息ついていると、後続からきた方に声をかけられた。ん?作務衣姿っぽいんだけど…。蓬髪白髭の仙人みたいな感じのご高齢の方だ。「長谷川ピークじゃ若いもんがへばってたが、だらしないの~」と言われ、その後ひょいひょいと岩場を降りて、しばらくすると見えなくなった…。ヤマには色んな人がいる。

最後の南岳小屋への登りは鎖とハシゴのコンビもあり辛かったが、何とか登り抜けた。大キレットはもうガスで見えないが、達成感というより(本当に落ちなくて良かった)という気持ちの方が強かった。早くテントに入って寝っ転がりたい。

【3日目】
昨夜はビールに加え穂高ワインも飲んで、ぐっすり寝られた。午前5時過ぎに目を覚まし周囲を散策する。獅子鼻から大キレットを振り返ってみたら、じわじわと達成感が湧いてきた。南東を眺めると雲海に浮かぶ富士山と南アルプスが見える。今日も楽しい一日になりそうだ。

まずは南岳小屋を出発し槍ヶ岳を目指す。晴れ間が広がってきた中を、南岳・中岳・大喰岳と3000m級が続く稜線を気持ちよく歩く。すれ違う人に「どちらからですか?」と訊かれるたびに、「昨日、北穂から上がってきたんです」とちょっと誇らしげな気持ちで答える。すると「大キレットを通ったんですね!凄いな~」等と言ってもらえる。むふふ、そうなんです。

大喰岳からの下りは岩稜帯だ。慎重に降りた後、順調に槍を目指して歩いていると前方より来た登山者とすれ違ったのだが、ギョっとした。街着のコートにジーンズ、ザックはファッション系?足元はコンバースのズック…え?この格好でここまで来たの?あっけに取られて挨拶も出来なかった…。ヤマには色んな人がいる。

槍ヶ岳山荘に着いて、ザックをデポして空身になって穂先へ向かった。そうなんだよ、空身だったら岩はスゴク楽しいんだよ。あっけなく登って、ガスも出ていたのでスグ降りてきた。槍の穂先は、ハシゴや鎖が登りと下りで専用ルートに分かれているのだけど渋滞気味だったこともあり、登りの人たちを観察していたところ、ギョっとした。白いワイシャツにスーツパンツの人がいる…え?リーマン?足元こそ登山靴だったけれど、ちょっと小太りで眼鏡をかけたその方は、通勤列車の中で見かけるとても実直そうな勤め人そのものだ。ヤマには色んな人がいる。

名残惜しいが下山の時間だ。槍沢のテン場まで3時間かけて下り、テント設営。今山行最後の夜は池澤夏樹の短編「ヤーチャイカ」を読み終えて眠りに着いた。

【4日目】
テン場を6時過ぎに出発し、上高地に戻る。途中、小梨平で湯に浸かりたかったが、通過時間にはOPENしてなかった。下山着に換えたものの、4日間の山行でさぞや匂いがするのではないかと気を使いつつ、バスと列車で帰路へつく。
旅の終わりにはいつも感じることだけど、せつなさと安堵と焦りがない交ぜになった何とも言えない気持ちになる。旅の期間が長いほど、この感情も長く後を引く。今回も長引きそうだ。

【帰り着いて】
仕事が山積していて時間がない。それ以上に内面的に社会復帰できていない。そんなこんなでヤマレコアップに一週間もかかってしまった。当初は表銀座縦走のつもりだったが、上高地行きの夜行バス利用を考えてヤリホ縦走に変更。想像以上に楽しんだ(びびった)山行となった。なにより4日間とも晴れ間が広がったことは嬉しかった。おかげで首の後ろが日焼けで痛い。

南岳小屋から槍ヶ岳に向かう間、すれ違う登山者と何度「いい天気ですね!最高ですね!」と言葉を交わしただろう。誰もが汗をかき息を切らせながらも、満面の笑顔で挨拶を交わしてくれた。だから今回もコレで締めよう。

山はいいなあ。頭がからっぽになって、心がいっぱいになる。
さあ、次はどこの山に行こうか。

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