冬の向こうへ:面白山

2018.03.11(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
5 時間 40
休憩時間
19
距離
10.9 km
のぼり / くだり
960 / 958 m
36
18
54

活動詳細

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※初挑戦(撤退):https://yamap.co.jp/activity/1597215 宮城県と山形県の県境にそびえ立つ『面白山』は、東北地方を南北に貫く『奥羽山脈』のほぼ中央部に位置する山だ。その名は、神仏習合の思想が、雪に覆われたの姿の美しさと結びつき、「面の白い山」として信仰されるようになったことに由来する、ともされている。そんな本峰は、春~秋にかけては勿論、冬季の積雪下においても、多くの登山者に親しまれているのだ。 さて、そんな面白山であるが、筆者は2週間前に一度、雪山登山のスキルアップを図る目的もあって、本峰への登頂を試みたのである。……が、頂上まであと一歩という所で、吹雪による視界不良で撤退を余儀なくされ、非常に悔しい思いをした。できれば近いうちに再び挑みたい、という思いが、それから徐々に自身の胸中で膨れ上がりつつあったのである。 一方、先週末にはツアー会社による基本的なアイゼン・ピッケルワークの講習会に参加したこともあり、早速学んだことを実戦で活用してみたいと思っていた所であった。折しも、この2週間で気象条件は大きく変化し、近傍の山稜においても、厳冬期から残雪期へと登山環境は変貌を遂げつつあり、それはこの面白山も例外ではなさそうである。そして、この時期こそアイゼンやピッケルが威力を発揮する場面が多い、というのも上述の講習会で得た情報であった。 しかるに、この間挑戦したばかりとはいえ、再び面白山を目指すのも理にかなっている。しかも、『てんきとくらす』によると、次の日曜日の気象条件は登山に最適。したがって、この機を逸する選択肢は無かろうと判断した次第だ。 ともあれ、迎えた当日の天候は朝から快晴。まだ見ぬ面白山のハイライトへ思いを馳せつつ、張り切って出発だ。 <注意事項> 面白山高原駅から天童高原キャンプ場までの登山道は、後述の通り条件が悪く、極めて歩きづらかった。やや遠回りになるが、平行する林道も利用可能なので、筆者のような雪山初心者の場合、この時期はそちらを歩いた方がよさそうである。

面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 今回のスタート地点は、JR仙山線の『面白山高原駅』。前回は、マイカーで登山口のある『天童高原スキー場』へ乗りつけたのだが、その後、本駅からも徒歩で同地へアクセス可能であるという情報を得たため、此度は鉄路を利用してみることにした次第。
今回のスタート地点は、JR仙山線の『面白山高原駅』。前回は、マイカーで登山口のある『天童高原スキー場』へ乗りつけたのだが、その後、本駅からも徒歩で同地へアクセス可能であるという情報を得たため、此度は鉄路を利用してみることにした次第。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 まずは駅から、登山口である天童高原スキー場へ至る道を目指す。
ここは舗装された車道のようだが、一見してそうとは分からないほど、深い雪に覆われていた。
まずは駅から、登山口である天童高原スキー場へ至る道を目指す。 ここは舗装された車道のようだが、一見してそうとは分からないほど、深い雪に覆われていた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 一度見落として通り過ぎてしまうも、スキー場へ至る登山道を発見。アイゼンを装着し、いざ突入だ。
一度見落として通り過ぎてしまうも、スキー場へ至る登山道を発見。アイゼンを装着し、いざ突入だ。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 しかしながら、時期的なタイミングもあってか、この道は稜線に出ると水気を含んだ雪と露出した地肌や岩肌の繰り返しという劣悪ぶりであった。
地肌の部分は、アイゼンを装着したまま通っても良いのかなあ?などと悩みつつも、慎重に足を進めていく。
しかしながら、時期的なタイミングもあってか、この道は稜線に出ると水気を含んだ雪と露出した地肌や岩肌の繰り返しという劣悪ぶりであった。 地肌の部分は、アイゼンを装着したまま通っても良いのかなあ?などと悩みつつも、慎重に足を進めていく。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 序盤から苦戦させられたものの、登山口である、天童高原スキー場東端のキャンプ場へ到着。この間見たばかりの風景に、まずは一安心。
序盤から苦戦させられたものの、登山口である、天童高原スキー場東端のキャンプ場へ到着。この間見たばかりの風景に、まずは一安心。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 天童高原キャンプ場から先の登山道は、足元の雪もよく締まっており、残雪期の登山道としては良好な条件に恵まれていた。
また本日は快晴で、歩いていると汗ばむほどの陽気。登りはアウターを脱いでも問題なかった。
天童高原キャンプ場から先の登山道は、足元の雪もよく締まっており、残雪期の登山道としては良好な条件に恵まれていた。 また本日は快晴で、歩いていると汗ばむほどの陽気。登りはアウターを脱いでも問題なかった。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 前回、行く手を阻んでいた倒木もその姿を留めていた。
前回、行く手を阻んでいた倒木もその姿を留めていた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 なお、面白山高原駅を挟んで反対側には『南面白山』という山も屹立しており、それと区別する目的で面白山は『北面白山』と呼ばれることもある。道中の標識では、おしなべて『北面白山』の表記が用いられていた。
なお、面白山高原駅を挟んで反対側には『南面白山』という山も屹立しており、それと区別する目的で面白山は『北面白山』と呼ばれることもある。道中の標識では、おしなべて『北面白山』の表記が用いられていた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 砂防堤付近の稜線への登りは、やや雪が腐り気味で注意を要した。
砂防堤付近の稜線への登りは、やや雪が腐り気味で注意を要した。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 再び稜線に出たら、チェックポイントである『三沢山』を目指す。
なお、一応ワカンも持参したものの、今回は全く出番が無かった。
再び稜線に出たら、チェックポイントである『三沢山』を目指す。 なお、一応ワカンも持参したものの、今回は全く出番が無かった。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 しかる後に、面白山を南東に臨む『三沢山』へ到着。
頂上付近では、先行していた地元の高校生と思しきグループが休憩中で、活発な彼らの姿に元気をもらうことが出来た。
しかる後に、面白山を南東に臨む『三沢山』へ到着。 頂上付近では、先行していた地元の高校生と思しきグループが休憩中で、活発な彼らの姿に元気をもらうことが出来た。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 休憩もそこそこに、いよいよ前回果たせなかった面白山への登頂を目指す。
前回とは比較にならない程良好な天候の下、姿を現すその威容に少し物怖じさせられるが、ここまで来たら行くしかない。
休憩もそこそこに、いよいよ前回果たせなかった面白山への登頂を目指す。 前回とは比較にならない程良好な天候の下、姿を現すその威容に少し物怖じさせられるが、ここまで来たら行くしかない。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 鞍部を経て、前回も苦戦させられた急坂へ。
鞍部を経て、前回も苦戦させられた急坂へ。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 この斜面を覆う雪は、前回よりもカチカチに固まっており、アイゼンなしには登れそうもなかった。
必死にアイゼンを利かせて、ド根性で登り続ける中、何故か脳内で『ヤマノススメ』の主題歌が勝手に流れ始め、極めておかしなテンションの元で突破を強いられた。
この斜面を覆う雪は、前回よりもカチカチに固まっており、アイゼンなしには登れそうもなかった。 必死にアイゼンを利かせて、ド根性で登り続ける中、何故か脳内で『ヤマノススメ』の主題歌が勝手に流れ始め、極めておかしなテンションの元で突破を強いられた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 振り返って見ると、登ってきた斜面はスキージャンプ台を彷彿とさせる斜度を呈している。
登りはまだしも、これを安全に下ることは可能なのだろうか?という不安も沸き上がるが、それはひとまず考えないことにした。
振り返って見ると、登ってきた斜面はスキージャンプ台を彷彿とさせる斜度を呈している。 登りはまだしも、これを安全に下ることは可能なのだろうか?という不安も沸き上がるが、それはひとまず考えないことにした。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 千辛万苦を乗り越え、何とか尾根へたどり着いた筆者。
そこには、快晴の空の下、純白の雪路が山頂へと延びていた。
千辛万苦を乗り越え、何とか尾根へたどり着いた筆者。 そこには、快晴の空の下、純白の雪路が山頂へと延びていた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 2週間前、吹雪で真っ白に遮られていた世界。その先へ、遂に踏み出すことが出来たのだ。
美しい景色も相まって、得も言われぬ感慨に打ち震えつつ、再び歩き出す。山頂はもう目の前だ。
2週間前、吹雪で真っ白に遮られていた世界。その先へ、遂に踏み出すことが出来たのだ。 美しい景色も相まって、得も言われぬ感慨に打ち震えつつ、再び歩き出す。山頂はもう目の前だ。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 そして遂に、念願の面白山々頂へ到着。
一度はくじけたその先であるだけに、ただただ、感無量である。
そして遂に、念願の面白山々頂へ到着。 一度はくじけたその先であるだけに、ただただ、感無量である。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 山頂からは360度どの方向を向いても、大迫力の絶景を楽しめる。
しばし、写真を撮るのも忘れて見入ってしまった。
山頂からは360度どの方向を向いても、大迫力の絶景を楽しめる。 しばし、写真を撮るのも忘れて見入ってしまった。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 もう少しゆっくりしていきたいところだったが、少々風も強くなってきたため、後ろ髪を引かれる思いで山頂を後にした。
もう少しゆっくりしていきたいところだったが、少々風も強くなってきたため、後ろ髪を引かれる思いで山頂を後にした。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 懸案だった急斜面の下りだが、スキーの如くジグザグに進むことで、何とか突破。
相当に神経を使ったが、後にログを確認してみたところ、わずか20分程度しかかかっていなかったことに驚かされた。
懸案だった急斜面の下りだが、スキーの如くジグザグに進むことで、何とか突破。 相当に神経を使ったが、後にログを確認してみたところ、わずか20分程度しかかかっていなかったことに驚かされた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 再び三沢山へ。
面白山から折り返してきた方々も、ここで大休止をとっていた。
再び三沢山へ。 面白山から折り返してきた方々も、ここで大休止をとっていた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 三沢山々頂には、一体誰の作品なのか、中々完成度の高いオラフの雪像が。
三沢山々頂には、一体誰の作品なのか、中々完成度の高いオラフの雪像が。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 吹き付けられた雪に震えつつも、木々の新芽は着実に息づいていた。
この面白山にも、やがては春が訪れるのだ。
吹き付けられた雪に震えつつも、木々の新芽は着実に息づいていた。 この面白山にも、やがては春が訪れるのだ。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 三沢山からの下りは、しばし、山稜と積雪が織りなす遠景を楽しみながらの歩きとなった。
三沢山からの下りは、しばし、山稜と積雪が織りなす遠景を楽しみながらの歩きとなった。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 その後は、多少の苦戦を伴いつつも、無事に天童高原キャンプ場へ到着。
前回は、ここでほぼ山行は終わったも同然だったが、此度はまだ駅までの道程が残っている。
その後は、多少の苦戦を伴いつつも、無事に天童高原キャンプ場へ到着。 前回は、ここでほぼ山行は終わったも同然だったが、此度はまだ駅までの道程が残っている。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 先述の通り、天童高原キャンプ場から駅までの登山道の条件は劣悪そのもの。さらに朝よりも気温が上昇したためか、より困難の度合いを増しており、ただでさえ疲労困憊していた筆者にとって、ここは極めて厳しい試練となった。
写真からはその模様は伝わらないことと思うが、もはや筆者にはカメラを構える余裕など残されていなかったのである。
先述の通り、天童高原キャンプ場から駅までの登山道の条件は劣悪そのもの。さらに朝よりも気温が上昇したためか、より困難の度合いを増しており、ただでさえ疲労困憊していた筆者にとって、ここは極めて厳しい試練となった。 写真からはその模様は伝わらないことと思うが、もはや筆者にはカメラを構える余裕など残されていなかったのである。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 ともあれ、かろうじて無事に面白山高原駅へ帰還。
これにて、此度の山行は締めくくりとなった。
ともあれ、かろうじて無事に面白山高原駅へ帰還。 これにて、此度の山行は締めくくりとなった。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 面白山高原駅の駅前には、スキー場『スノーパーク面白山』が存在するが、この周辺は、ウィンタースポーツの時期には車道も雪に閉ざされてしまうため、「日本唯一、鉄道のみでアクセス可能なスキー場」となっていた。
年間1万人ほどの利用客が訪れていたそうだが、平成21年のリフト故障以来、現在に至るも営業を休止しており、周辺の建物にも人けは一切感じられない。そのせいか、ここはさながら『秘境駅』の様相を呈していた。
面白山高原駅の駅前には、スキー場『スノーパーク面白山』が存在するが、この周辺は、ウィンタースポーツの時期には車道も雪に閉ざされてしまうため、「日本唯一、鉄道のみでアクセス可能なスキー場」となっていた。 年間1万人ほどの利用客が訪れていたそうだが、平成21年のリフト故障以来、現在に至るも営業を休止しており、周辺の建物にも人けは一切感じられない。そのせいか、ここはさながら『秘境駅』の様相を呈していた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 さて、駅へたどり着いたはいいが、次の列車は実に1時間半後。
まさにここが『秘境駅』であることを思い知らされつつ、昼食はここの待合室で済ませることにした。
さて、駅へたどり着いたはいいが、次の列車は実に1時間半後。 まさにここが『秘境駅』であることを思い知らされつつ、昼食はここの待合室で済ませることにした。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 まずはお湯を沸かそうと思った筆者だったが、持参した水は既に消耗が著しく、残りはわずかだった。乾燥した空気の中、登山中に要した補給量が思いのほか多量だったのだ。
まずはお湯を沸かそうと思った筆者だったが、持参した水は既に消耗が著しく、残りはわずかだった。乾燥した空気の中、登山中に要した補給量が思いのほか多量だったのだ。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 そこで、苦肉の策として雪から水を確保することにする。まずは、残された水をコッヘルに入れて沸騰させる。その間、周辺から、出来るだけきれいな雪を採集して、煮え立ったお湯へ投入して溶かすのだ。勿論、念のため徹底的な煮沸は忘れない。
出来れば使いたくない手段だったが、背に腹は代えられない。
そこで、苦肉の策として雪から水を確保することにする。まずは、残された水をコッヘルに入れて沸騰させる。その間、周辺から、出来るだけきれいな雪を採集して、煮え立ったお湯へ投入して溶かすのだ。勿論、念のため徹底的な煮沸は忘れない。 出来れば使いたくない手段だったが、背に腹は代えられない。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 昼食は、非常食として常備していた、モ〇ベルの『リゾッタ』シリーズ。
これは一見、普通のアルファ米のように思えるパッケージだが、開封してお湯を注ぐと、わずか3分で喫食可能という優れものなのだ(通常のアルファ米は15~20分程度必要)。そればかりか、いざとなればそのままでもサクサクとした食感で美味しく食べられる、画期的なアウトドア食品である。
商品名の通り、食べ心地はリゾットに近く、また適度に塩味も加えられているため、疲れきった身体には非常に有難い。
昼食は、非常食として常備していた、モ〇ベルの『リゾッタ』シリーズ。 これは一見、普通のアルファ米のように思えるパッケージだが、開封してお湯を注ぐと、わずか3分で喫食可能という優れものなのだ(通常のアルファ米は15~20分程度必要)。そればかりか、いざとなればそのままでもサクサクとした食感で美味しく食べられる、画期的なアウトドア食品である。 商品名の通り、食べ心地はリゾットに近く、また適度に塩味も加えられているため、疲れきった身体には非常に有難い。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 遅めの昼食を終えて待つことしばし、ようやく迎えの列車がやってきた。写真は仙山線の運行を担っている、『E721系電車』。
帰宅後、すぐに温泉へ向かおうと考えつつ、列車に揺られながらまどろむ筆者であった。
遅めの昼食を終えて待つことしばし、ようやく迎えの列車がやってきた。写真は仙山線の運行を担っている、『E721系電車』。 帰宅後、すぐに温泉へ向かおうと考えつつ、列車に揺られながらまどろむ筆者であった。

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