チェックポイント

DAY 1
合計時間
6 時間 2
休憩時間
54
距離
10.0 km
のぼり / くだり
1030 / 1020 m
1 47
3 20

活動詳細

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東北地方を南北に貫く『奥羽山脈』のほぼ中央部に位置する、『面白山(おもしろやま)』。神仏習合の思想によって誕生した権現信仰が、積雪期におけるその姿の美しさをとらえ、『面の白い山』、すなわち『面白山』の呼び名が生まれたとされている。   そんな『面白山』の南側に、対を成すようにそびえ立つのが、その名も『南面白山』だ。山頂部の標高は1225mで、『面白山』より40mほど低いものの、景観の良さは勝るとも劣らないもので、『面白山』同様に多くの登山者を魅了しているのだ。   一方、ゴールデンウィークの大型連休前半において、北アルプスは立山への山行を敢行した筆者ではあったものの、その疲れが祟ってか、5月初日に熱発し、連休後半の予定を棒に振るという不運に見舞われたのである(なお、中日の5月1日および2日は仕事であったが、2日は午前中で早退せざるを得なくなった)。幸い、その後急速に体調は回復し、迎えた連休明け。真っ先に思うのは、この週末に為すべき、リハビリ登山の事であった。そんな中で目を付けたのが、この『南面白山』であったという訳である。『面白山』の方は今年の3月に登頂したものの、『南面白山』はノータッチだったため、興味を惹かれていた所だったのだ。   ともあれ、前回の『面白山』への山行は雪が多く残る時期であった一方、此度は既に春の新緑の季節に彩られた山歩きとなる。雪山とは趣を大きく変えたこの山系は、如何なる姿を魅せてくれるのか。期待に胸を膨らませつつ出発だ。     <注意事項> ・此度の下山ルートとして歩んだ『権現沢』ならびに『紅葉川』沿いのコースは、足場が不良な箇所が連続し、かなりの緊張感を強いられる難所であった。整備状況も良好とはいえず極めて危険であるため、心して踏み込むこと。   ・国土地理院の地形図とは登山道がずれている箇所が多い事に注意。YAMAPアプリを使用していても、自己位置情報以外は当てにならないことも多いため、ルートファインディングにあたっては、まず第一に踏み跡を探すこと。   ・登山口の『面白山高原駅』は『Suica』等交通系ICカードの適用範囲外にあり、しかも無人駅である。ICカードを利用して乗車した場合でも、車内で車掌を呼び止めれば精算は可能であるが、可及的にあらかじめ硬券を購入したうえでの乗車を推奨。

面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 当日の朝はJR仙山線に乗り込み、登山口である『面白山高原駅』へ。当駅の利用者は、ほぼ登山客のみに限られており、いわゆる『秘境駅』のひとつとなっている。しかしながら、当日は筆者以外にも多くの人々が本駅へ降り立っている様子だった。
当日の朝はJR仙山線に乗り込み、登山口である『面白山高原駅』へ。当駅の利用者は、ほぼ登山客のみに限られており、いわゆる『秘境駅』のひとつとなっている。しかしながら、当日は筆者以外にも多くの人々が本駅へ降り立っている様子だった。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 駅前からは、しばしアスファルトの舗装路を進む。
当駅南側にはスキー場『スノーパーク面白山』が整備されており、かつては年間1万人ほどの利用客が訪れていたそうだが、平成21年のリフト故障以来、現在に至るも営業を休止中である。従って登山道周辺には、索道やレストランなどといった施設が、荒廃した姿で佇んでいた。
駅前からは、しばしアスファルトの舗装路を進む。 当駅南側にはスキー場『スノーパーク面白山』が整備されており、かつては年間1万人ほどの利用客が訪れていたそうだが、平成21年のリフト故障以来、現在に至るも営業を休止中である。従って登山道周辺には、索道やレストランなどといった施設が、荒廃した姿で佇んでいた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 冬季は積雪に覆われゲレンデとなるこの地だが、秋季における秋桜の名所でもあるとのこと。登山道もしばしゲレンデ伝いの斜面となる。
写真奥が、今回目指す『南面白山』。
冬季は積雪に覆われゲレンデとなるこの地だが、秋季における秋桜の名所でもあるとのこと。登山道もしばしゲレンデ伝いの斜面となる。 写真奥が、今回目指す『南面白山』。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 ゲレンデ沿いの道から一旦、木々の間へ踏み込むこととなるが、この先にはまたすぐに、ひらけた道が続いている。
ゲレンデ沿いの道から一旦、木々の間へ踏み込むこととなるが、この先にはまたすぐに、ひらけた道が続いている。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 この日は新緑の季節らしい気候であったが、道端には未だ残雪を留める箇所も。
この日は新緑の季節らしい気候であったが、道端には未だ残雪を留める箇所も。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 スキー場トップ付近より、登山道はいよいよ草木が生い茂る、山路らしいエリアへ突入だ。
スキー場トップ付近より、登山道はいよいよ草木が生い茂る、山路らしいエリアへ突入だ。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 その先のブナ林は森林浴にもってこいの雰囲気で、木々の梢を見上げても、足元のシダを眺めても楽しめる。
その先のブナ林は森林浴にもってこいの雰囲気で、木々の梢を見上げても、足元のシダを眺めても楽しめる。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 ……が、少々歩くと、今度はやや急な岩稜帯が待ち受けている。足の置き場を見定めつつ、涸れ沢状の斜面を登ってゆく。
……が、少々歩くと、今度はやや急な岩稜帯が待ち受けている。足の置き場を見定めつつ、涸れ沢状の斜面を登ってゆく。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 さらに、行く手を残雪をが覆っている箇所も。こちらは特に危険なわけではないが、踏み抜いてしまうと余計な体力を消耗してしまい厄介なため、歩行にはやや慎重さを求められた。
さらに、行く手を残雪をが覆っている箇所も。こちらは特に危険なわけではないが、踏み抜いてしまうと余計な体力を消耗してしまい厄介なため、歩行にはやや慎重さを求められた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 この斜面を登り切れば、山頂はあと少しだ。
この斜面を登り切れば、山頂はあと少しだ。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 しかる後に、『南面白山』山頂へ到着。写真奥にそびえ立つのは、宮城県側の『大東岳』。
しかる後に、『南面白山』山頂へ到着。写真奥にそびえ立つのは、宮城県側の『大東岳』。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 南方向には、『山形神室』をはじめ、遠方の蔵王連峰を望むことが出来る。
南方向には、『山形神室』をはじめ、遠方の蔵王連峰を望むことが出来る。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 山頂でかなり早めの昼食を摂った後、下山の途に就くこととした。帰りは、登りとは別のルートをとり、出発点の『面白山高原駅』へ戻る、周回ルートを辿ることした。
山頂からはしばらく、先述の『大東岳』を眺めながら、東側の斜面を下る。
山頂でかなり早めの昼食を摂った後、下山の途に就くこととした。帰りは、登りとは別のルートをとり、出発点の『面白山高原駅』へ戻る、周回ルートを辿ることした。 山頂からはしばらく、先述の『大東岳』を眺めながら、東側の斜面を下る。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 当初は順調かと思われた下山の道のりも、この辺りからやや様相が異なってくる。
例えば、写真の沢は横切るのが正解なのだが、対岸側は藪に覆われていて踏み跡らしきものが見つからず、最初はうっかり沢伝いに下ってしまったのである。
すぐにおかしい事に気付いて引き返したが、その後正しいルートの探索に少々手間取った。
当初は順調かと思われた下山の道のりも、この辺りからやや様相が異なってくる。 例えば、写真の沢は横切るのが正解なのだが、対岸側は藪に覆われていて踏み跡らしきものが見つからず、最初はうっかり沢伝いに下ってしまったのである。 すぐにおかしい事に気付いて引き返したが、その後正しいルートの探索に少々手間取った。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 そんな訳で多少の苦戦に見舞われつつも、最初のチェックポイントである『権現様峠』に到着。これでもう大丈夫だと一安心する筆者であったが、本当の困難はここからであった。
そんな訳で多少の苦戦に見舞われつつも、最初のチェックポイントである『権現様峠』に到着。これでもう大丈夫だと一安心する筆者であったが、本当の困難はここからであった。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 少し下ると、面白山の大権現様を祀る碑が現れた。
この時点で、何だか少し嫌な予感を抱き始めた筆者は、それが杞憂であることをひたすら山神に祈るばかりであった。
少し下ると、面白山の大権現様を祀る碑が現れた。 この時点で、何だか少し嫌な予感を抱き始めた筆者は、それが杞憂であることをひたすら山神に祈るばかりであった。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 引き続き、幾度か沢を横切る。
引き続き、幾度か沢を横切る。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 この沢を渡り終えたあたりから、雲行きは怪しくなってきた。まず、踏み跡を探すのに一苦労し、登山道を示すピンクリボンテープもややこしい位置に張られている。
なお、下山中に他の方とすれ違ったのはこの箇所のみであった。
この沢を渡り終えたあたりから、雲行きは怪しくなってきた。まず、踏み跡を探すのに一苦労し、登山道を示すピンクリボンテープもややこしい位置に張られている。 なお、下山中に他の方とすれ違ったのはこの箇所のみであった。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 さらに悪い事には、何とか見つけた登山道は、沢から落差10数メートルの崖っぷちで、それだけならまだしも、足場も狭くて滑りやすい難路であった。
写真のように、ゆるゆるのロープを頼りに岸壁をトラバースするような箇所もあり、通過には大変な緊張感を伴った。
さらに悪い事には、何とか見つけた登山道は、沢から落差10数メートルの崖っぷちで、それだけならまだしも、足場も狭くて滑りやすい難路であった。 写真のように、ゆるゆるのロープを頼りに岸壁をトラバースするような箇所もあり、通過には大変な緊張感を伴った。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 何かがきしむような音に気付き、そちらへ目をやると折れ曲がった樹の幹が。冬季の積雪の重みに耐えかねたのであろうか。
何かがきしむような音に気付き、そちらへ目をやると折れ曲がった樹の幹が。冬季の積雪の重みに耐えかねたのであろうか。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 渡渉も続く。雪解け水の影響からか、水面からのぞいている石が少なく、靴底が水に漬かる場面も少なくなかった。
渡渉も続く。雪解け水の影響からか、水面からのぞいている石が少なく、靴底が水に漬かる場面も少なくなかった。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 さらに渡渉後、崖下に臨む『雷神瀑布(らいじんばくふ)』。先ほど渡り終えたばかりの沢が、崖下へなだれ落ちる様に圧倒される。
さらに渡渉後、崖下に臨む『雷神瀑布(らいじんばくふ)』。先ほど渡り終えたばかりの沢が、崖下へなだれ落ちる様に圧倒される。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 さらに、沢沿いの道を下った先に『大黒縁』。一瞬、砂防堤かと錯覚させられたが、自然に形成された地形のようである。
滝壺は少し登山道から外れるが、この険しい道程の中では絶好の休憩スポットだ。
さらに、沢沿いの道を下った先に『大黒縁』。一瞬、砂防堤かと錯覚させられたが、自然に形成された地形のようである。 滝壺は少し登山道から外れるが、この険しい道程の中では絶好の休憩スポットだ。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 こちらの沢を渡っている最中、とうとう靴内に浸水してしまった。
以後の山行に致命的な事態ではないものの、その後しばらく、右足首にまとわりつく水気に辟易させられることとなった。
こちらの沢を渡っている最中、とうとう靴内に浸水してしまった。 以後の山行に致命的な事態ではないものの、その後しばらく、右足首にまとわりつく水気に辟易させられることとなった。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 この写真は、カメラを傾けて撮影したわけではない。カメラの水準器機能を使い、重力に垂直な向きから撮影した状態で、登山道は御覧の有様なのである。
この写真は、カメラを傾けて撮影したわけではない。カメラの水準器機能を使い、重力に垂直な向きから撮影した状態で、登山道は御覧の有様なのである。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 神経をすり減らされる難路の末に、北側の『面白山』へ向かうルートとの分岐点へ到着。ここから先はよく整備された登山道となり、ゴール地点の『面白山高原駅』までもう一息だ。
神経をすり減らされる難路の末に、北側の『面白山』へ向かうルートとの分岐点へ到着。ここから先はよく整備された登山道となり、ゴール地点の『面白山高原駅』までもう一息だ。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 なお、ここに至るまで幾度となく渡渉した沢は『紅葉川』、およびその源流の数々である。
ちなみにこの写真の撮影箇所にはしっかりとした鉄骨の橋が架かっていた。
なお、ここに至るまで幾度となく渡渉した沢は『紅葉川』、およびその源流の数々である。 ちなみにこの写真の撮影箇所にはしっかりとした鉄骨の橋が架かっていた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 索道の下を横切ったら、ゴールはもう目の前だ。
索道の下を横切ったら、ゴールはもう目の前だ。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 そして、無事に『面白山高原駅』前のリフト小屋脇へ下山完了。これにて、此度の山行は締めくくりだ。
そして、無事に『面白山高原駅』前のリフト小屋脇へ下山完了。これにて、此度の山行は締めくくりだ。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 下山後は、駅前の民宿の自販機で購入したコーラを一気飲み。ここ最近、この手の飲み物は三ツ矢サイダーを除いて身体が受け付けなくなっていたものの、疲れ切った下山直後においてはその限りでない。
下山後は、駅前の民宿の自販機で購入したコーラを一気飲み。ここ最近、この手の飲み物は三ツ矢サイダーを除いて身体が受け付けなくなっていたものの、疲れ切った下山直後においてはその限りでない。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 『面白山高原駅』ホームのはずれに建っていた石碑。旧鉄道省のマークが刻まれており、どうやら同駅手前の隧道工事における殉職者の方々の慰霊碑のようである。
現在に至るも花束やお賽銭が捧げられており、筆者も立ち止まって手を合わせた。
『面白山高原駅』ホームのはずれに建っていた石碑。旧鉄道省のマークが刻まれており、どうやら同駅手前の隧道工事における殉職者の方々の慰霊碑のようである。 現在に至るも花束やお賽銭が捧げられており、筆者も立ち止まって手を合わせた。
面白山・神室岳・大東岳・雨呼山 本数の少ない列車を待つことしばし、ようやく仙台方面への電車がやってきた。
思いもよらぬ苦戦を強いられた山行ではあったものの、ひとまずは無事終えられた事で、ほっと一息だ。
本数の少ない列車を待つことしばし、ようやく仙台方面への電車がやってきた。 思いもよらぬ苦戦を強いられた山行ではあったものの、ひとまずは無事終えられた事で、ほっと一息だ。

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