深山(宮城県)

2018.06.09(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
2 時間 14
休憩時間
6
距離
5.1 km
のぼり / くだり
343 / 340 m
3
1
1 3

活動詳細

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茨城県北部から福島県を貫き、宮城県南部へ連なる『阿武隈山地』。その北端付近にそびえ立つ峰の一つが『深山(しんざん)』だ。周辺の峰々とはなだらかな稜線を形成しているため目立たない山容ではあるものの、麓の人々にとっては馴染み深い里山となっている。 そんな『深山』を戴く『山元町』は先の震災において、津波により大きな被害を受けた地域の一つでもある。しかしながら、その5年後となる平成28年に、JR常磐線の町内区間が復旧、町内の駅も営業を再開し、町全体としても、少しずつながらも着実に復興の道を歩みつつあるようだ。また、『深山』の頂には平成27年春に『鎮魂の鐘』が設置され、未来への祈りを託された山として、ますます人々からの崇敬を集めつつある。 ともあれ、上述の通り地域から親しまれている『深山』には、複数のハイキングコースも整備されており、最短1時間程度で登れるお手軽さから、地元の小学生らが遠足で足を運ぶことも多いそうだ。一方で、筆者の居住地からは少々離れているため、これまでは少々敬遠していたものの、一度は押さえておきたいという思いもあったため、この度、一念発起して山行を決意。1時間半ほどの鉄路を経て、麓の『山元町』へ降り立つ筆者であった。     <注意事項> ・山と渓谷社の『分県登山ガイド』には、最寄り駅のJR『山下駅』から登山口まで徒歩1時間程度と記されているが、実際には30分強で到達可能である。被災前の『山下駅』は、現在の物よりも沿岸寄りに設置されていたため、おそらくその頃の情報かと思われる。   ・此度の下山ルートとして利用したコースは後述の通り、国土地理院の地形図にも記載が無い。

深山 JR『山下駅』よりタクシーに乗り込み、『深山山麓少年の森 菱沼の郷』に到着。ここは、BMXコースや、アスレチック遊具、イベント広場なども整備された、自然学習施設だ。
なお館内では、分かりやすい登山コースの案内パンフレットも配布されている。
JR『山下駅』よりタクシーに乗り込み、『深山山麓少年の森 菱沼の郷』に到着。ここは、BMXコースや、アスレチック遊具、イベント広場なども整備された、自然学習施設だ。 なお館内では、分かりやすい登山コースの案内パンフレットも配布されている。
深山 『少年の森』の職員から朝食をもらう野良猫。
『少年の森』の職員から朝食をもらう野良猫。
深山 『少年の森』から林の中に入った『深山神社』の境内が登山道の入り口だ。山行の安全を祈願し、いざ出発。
『少年の森』から林の中に入った『深山神社』の境内が登山道の入り口だ。山行の安全を祈願し、いざ出発。
深山 深山には一般向けの登山道として、大きく分けて『駒がえしコース』、『かめいしコース』、『たかうちコース』の3コースが整備されているが、今回の登りでは最も北側を通る『駒がえしコース』を辿ることとした。
登山口からしばらくは、遊歩道らしい趣の、ゆるやかな山路が続く。
深山には一般向けの登山道として、大きく分けて『駒がえしコース』、『かめいしコース』、『たかうちコース』の3コースが整備されているが、今回の登りでは最も北側を通る『駒がえしコース』を辿ることとした。 登山口からしばらくは、遊歩道らしい趣の、ゆるやかな山路が続く。
深山 『駒がえしコース』は上述の通りよく整備されているが、分岐も多い。
もっとも、分岐点ごとに地図付きの案内板が設置されているため、迷うことはまずない。ちなみに、写真の分岐は右折する。
『駒がえしコース』は上述の通りよく整備されているが、分岐も多い。 もっとも、分岐点ごとに地図付きの案内板が設置されているため、迷うことはまずない。ちなみに、写真の分岐は右折する。
深山 途中からしばし登山道に並行する、『山寺川』の源流『涸沢』を渡る。
途中からしばし登山道に並行する、『山寺川』の源流『涸沢』を渡る。
深山 ベンチも設置された、その名も『一服坂』。山頂までのほぼ中間地点となる。
ベンチも設置された、その名も『一服坂』。山頂までのほぼ中間地点となる。
深山 さらにもうしばらく登ると、『峰の清水』と呼ばれるチェックポイントへ。その名の通り、この付近には水場が存在するが、水質の関係上、実際のところ飲用には適さないとのこと。
さらにもうしばらく登ると、『峰の清水』と呼ばれるチェックポイントへ。その名の通り、この付近には水場が存在するが、水質の関係上、実際のところ飲用には適さないとのこと。
深山 『峰の清水』を過ぎると、それまでとは一転して急な上り坂となる。『駒がえしコース』最大の頑張り所だ。
『峰の清水』を過ぎると、それまでとは一転して急な上り坂となる。『駒がえしコース』最大の頑張り所だ。
深山 急坂を登りきった先の『鳥越峠』へ。ここは南北へ登山道が分岐しているが、深山山頂へは南側(写真左側)へ進む。
急坂を登りきった先の『鳥越峠』へ。ここは南北へ登山道が分岐しているが、深山山頂へは南側(写真左側)へ進む。
深山 『鳥越峠』からは一旦下り、コル状の『お太鼓峠』を経て、山頂への登り返しへ。
『鳥越峠』からは一旦下り、コル状の『お太鼓峠』を経て、山頂への登り返しへ。
深山 しかる後に、本日のハイライトである深山の山頂へ到着だ。
しかる後に、本日のハイライトである深山の山頂へ到着だ。
深山 山頂には、東日本大震災における犠牲者を悼む、『鎮魂の鐘』が設置されており、その音は太平洋まで届くそうだ。
筆者も鐘を鳴らして、しばし黙祷。
山頂には、東日本大震災における犠牲者を悼む、『鎮魂の鐘』が設置されており、その音は太平洋まで届くそうだ。 筆者も鐘を鳴らして、しばし黙祷。
深山 山頂より東側には、天気が良ければ太平洋まで見渡せるとの事だが、この日は微妙な曇り空で、残念ながら展望は限られていた。
山頂より東側には、天気が良ければ太平洋まで見渡せるとの事だが、この日は微妙な曇り空で、残念ながら展望は限られていた。
深山 また反対の西側にも、天候次第で蔵王連峰が望めるそうだが、生憎こちらも同様であった。
比較的手ごろな見晴らしスポットだけに、また機会があれば、天気の良い日に足を運んでみたい所である。
また反対の西側にも、天候次第で蔵王連峰が望めるそうだが、生憎こちらも同様であった。 比較的手ごろな見晴らしスポットだけに、また機会があれば、天気の良い日に足を運んでみたい所である。
深山 しばし山頂の景色を楽しんだ後、下山の途に就くこととしたが、山頂でお会いしたおじいさんが案内してくれるという。麓の町の登山サークルの方で、この山にもよく登られているとの事なので、ご一緒させていただくことにした。
まずは南側へ少々下った後、峠の分岐からさらに南へ登り返して、『鷹討山』へ向かう。
しばし山頂の景色を楽しんだ後、下山の途に就くこととしたが、山頂でお会いしたおじいさんが案内してくれるという。麓の町の登山サークルの方で、この山にもよく登られているとの事なので、ご一緒させていただくことにした。 まずは南側へ少々下った後、峠の分岐からさらに南へ登り返して、『鷹討山』へ向かう。
深山 再びの急坂を経て辿り着いた『鷹討山』の頂きは、『深山』よりも標高が高いものの、周囲が刈り払われていないため、木々の間から東側の景色をわずかに望めるばかりだ。
なお、当初下山ルートとして計画していたのは、『たかうちコース』であり、てっきり案内して頂けるのもそちらとばかり思っていた。『たかうちコース』は『鷹討山』から先程の峠へ引き返し、そこから東へ下る道になる。
再びの急坂を経て辿り着いた『鷹討山』の頂きは、『深山』よりも標高が高いものの、周囲が刈り払われていないため、木々の間から東側の景色をわずかに望めるばかりだ。 なお、当初下山ルートとして計画していたのは、『たかうちコース』であり、てっきり案内して頂けるのもそちらとばかり思っていた。『たかうちコース』は『鷹討山』から先程の峠へ引き返し、そこから東へ下る道になる。
深山 ところが、彼が「では、行きますか」と誘ってくれたのは、そちらとは全く逆方向の、さらに南の道。少々びっくりしつつも、後を付いてゆく。
写真は、道中の『馬船峠』。深山山頂にも負けない良好な展望が開けた休憩スポットで、普段はここで仲間とお昼にすることも多いと話してくださった。
ところが、彼が「では、行きますか」と誘ってくれたのは、そちらとは全く逆方向の、さらに南の道。少々びっくりしつつも、後を付いてゆく。 写真は、道中の『馬船峠』。深山山頂にも負けない良好な展望が開けた休憩スポットで、普段はここで仲間とお昼にすることも多いと話してくださった。
深山 さらに下ると、登山道は藪の中へ。
足元に気を付けるように、と注意された進行方向左側は急斜面で、草藪に覆われた細い踏み跡を慎重に進んでいく。
ふとYAMAPに目をやると、地図には現在歩いている道の記載がない。これは、完全なバリエーションルートのようである。
さらに下ると、登山道は藪の中へ。 足元に気を付けるように、と注意された進行方向左側は急斜面で、草藪に覆われた細い踏み跡を慎重に進んでいく。 ふとYAMAPに目をやると、地図には現在歩いている道の記載がない。これは、完全なバリエーションルートのようである。
深山 この山域は生憎、丁度花の時期から外れていた。
写真の『ハナイカダ』も、この時は葉の中央に小さな蕾を戴くばかりであった。
この山域は生憎、丁度花の時期から外れていた。 写真の『ハナイカダ』も、この時は葉の中央に小さな蕾を戴くばかりであった。
深山 引き続き、藪をかき分けながら進んでいくが、時々展望の開けた箇所にも差し掛かる。
さらに秋から冬にかけては、最高の見晴らしを楽しみながら歩けるコースなのだそうだ。
引き続き、藪をかき分けながら進んでいくが、時々展望の開けた箇所にも差し掛かる。 さらに秋から冬にかけては、最高の見晴らしを楽しみながら歩けるコースなのだそうだ。
深山 ようやく藪も拓けた登山道のど真ん中に伸びる淡竹(はちく)。
さすがにこのサイズになるとアクが強いため食べづらいが、まだ背の低い個体は煮物にすると美味しいらしい。
ようやく藪も拓けた登山道のど真ん中に伸びる淡竹(はちく)。 さすがにこのサイズになるとアクが強いため食べづらいが、まだ背の低い個体は煮物にすると美味しいらしい。
深山 しかる後に辿り着いた沢状の地形は、砂礫に埋もれていた。
ここはかつては清流が下っていたそうだが、数年前に土砂崩れで埋まってしまったのだそうな。
しかる後に辿り着いた沢状の地形は、砂礫に埋もれていた。 ここはかつては清流が下っていたそうだが、数年前に土砂崩れで埋まってしまったのだそうな。
深山 その後は小さな沢を渡りつつ、『たかうちコース』との合流点へ向かう。
なおこのすぐ先で車道に出るが、スタート地点までのショートカットとして、再び登山道へ入る形となる。
その後は小さな沢を渡りつつ、『たかうちコース』との合流点へ向かう。 なおこのすぐ先で車道に出るが、スタート地点までのショートカットとして、再び登山道へ入る形となる。
深山 『駒がえしコース』以来の歩きやすい道程を経て、最後のチェックポイントである東屋へ到着、一休み。
おじいさんからは、「よく鍛えてますね。その体力は若さだけのものではないでしょう」と何故か感心されたが、ご本人も御年70過ぎなのだそうで、筆者にとっては、険しい山路をすいすい進んでいくその姿の方が驚異であった。
『駒がえしコース』以来の歩きやすい道程を経て、最後のチェックポイントである東屋へ到着、一休み。 おじいさんからは、「よく鍛えてますね。その体力は若さだけのものではないでしょう」と何故か感心されたが、ご本人も御年70過ぎなのだそうで、筆者にとっては、険しい山路をすいすい進んでいくその姿の方が驚異であった。
深山 東屋から10分ほど下ると、スタート地点である『少年の森』へ到着。ここで、案内して頂いたおじいさんとはお別れとなった。
手軽なお散歩で終わるはずだった山行の後半を、楽しい冒険に変えてくださった彼との出会いに、ただただ感謝である。
東屋から10分ほど下ると、スタート地点である『少年の森』へ到着。ここで、案内して頂いたおじいさんとはお別れとなった。 手軽なお散歩で終わるはずだった山行の後半を、楽しい冒険に変えてくださった彼との出会いに、ただただ感謝である。
深山 行きは駅から登山口までタクシーを利用したが、帰りはのんびり徒歩で駅へ向かうことにした。
道中から望む写真中央の、森林が小さくコの字状に切れ落ちている箇所が深山の頂きだ。
行きは駅から登山口までタクシーを利用したが、帰りはのんびり徒歩で駅へ向かうことにした。 道中から望む写真中央の、森林が小さくコの字状に切れ落ちている箇所が深山の頂きだ。
深山 JR常磐線『山下駅』に到着。
同駅は先の震災後、防災対策による常磐線の内陸部移設に伴い西側へうつり、高架化されたうえで平成28年末に営業を再開した。駅前には防災コミュニティセンターが建設されたほか、住宅や商業施設なども徐々に建ち並び、少しずつではあるものの、新たな街並みが築かれつつある。
JR常磐線『山下駅』に到着。 同駅は先の震災後、防災対策による常磐線の内陸部移設に伴い西側へうつり、高架化されたうえで平成28年末に営業を再開した。駅前には防災コミュニティセンターが建設されたほか、住宅や商業施設なども徐々に建ち並び、少しずつではあるものの、新たな街並みが築かれつつある。

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