活動データ
タイム
55:00
距離
76.1km
のぼり
4335m
くだり
4334m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る明けましておめでとうございます‼。今年もどうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m まず、四日間の記録となっておりますので膨大な量の写真と文章になる事をお詫び申し上げます。 という訳で行ってまいりました。 初屋久島だったのですが、どうせなら真っ二つにスルーハイクしたい!と思い地図とにらめっこ…。 宮之浦港から宮之浦岳まで登り湯泊集落まで貫通するルートが、日数的に楽しめそうだったので決めました。 ただ、one shot one killを信条としていまして、綿密な計画を練って狙ったルートを一発で落としたい性格なんですが今回は厳冬期。 雪の状況は行ってみるまで本当に読めない。一晩で大量に積雪する事もあり得る。 最終日を予備日とし、ロードのみ(しかも半日)。 狙いはあくまでも湯泊歩道だけど積雪や膝の具合をみて淀川小屋で1泊後に尾之間歩道からの下山。 さらに歩行に支障をきたすトラブルがあった際は石塚小屋orヤクスギランド駐車場で幕営後に交通機関で直接安房へ下山。 二つのエスケープも用意した。本ルートは3日半でいっぱいいっぱいだけど、エスケープルートの2本はどちらも半日~1日余る計算。 さてさてやってみますか!。 海から海まで。 いわゆるsea to summit!…to seaかな? zero to zero!!だな。 好きな音楽的にはcoast to coastか? ま、そんな感じ(笑)。 ●12月30日(前日) 『兄さんに会う』 まず屋久島へのアクセスは主に4パターン。飛行機、屋久島2、トッピー、はいびすかす。最初の三つは早くても昼にしか上陸できない。 有効に時間を使いたいので昼スタートはちょっとやだな…。 必然的に夜行フェリーのはいびすかすを選択する。途中種子島に寄港停泊して夜を明かし早朝屋久島に上陸できるのです。3600円だし(笑) はいびすかすに乗るべく谷山港に向かう。 帰省ラッシュが怖かったので早朝福岡を出発し、昼前に谷山港に着くとおっくんからLINEと着信が入ってる。折り返し電話すると 「拓ちゃーん(実名w)!フェリー待ちやろ?近くにおるけんお昼食べよー♪。どうせ明日からロクなもん食わんのやろ(笑)?」 まじすかーー( ;∀;)。 谷山港に迎えに来てくれて美味しいトンカツ屋に連れていってもらった挙げ句ご馳走にもなりました(;_;)。 出発前にまさかのサプライズに完全にヴァイブスは満タン! ご馳走さまでした! 行って来ます! ●12月31日(1日目) 『海抜ゼロから1,500mへ』 この日の目標は最低高塚小屋。届けば新高塚小屋まで。しかし海抜ゼロから1500mオーバーの新高塚までの高低差は、正直やった事がない。 どれだけの時間と体力がいるのか未知の世界。こんな高低差の山、九州本土では思い付かない。 しかもこれが初日なので、ミスは許されない。 0700 宮之浦港着。 ついに屋久島の土を踏む。前日からルナサンダルだったので楠川登山口までそのまま一時間歩く。楠川歩道入り口に着く前にずっと違和感があった左足に1円玉程のblisterがorz。テン泊装備でルナサンダルはダメみたい。 登山道に入る前に登山靴を履くはめに…。 0909 楠川登山口に到着。楠川歩道は、よくある普通の登山道…で延々と急登。とても「歩道」ではない。しっかりとした登山装備で行かれて下さい。 1012 白谷雲水挟まで登ると急に普段着の人が増える。どうやら積雪が無いのでバスが来てるみたいだ。 しろたえの滝やさつき吊り橋など見ようと思っていたが、ルートを直に変更。日没までに着きたいので観光客をパスする為にスポットを全部スルーする。 1112 苔むす森。まだまだ観光客がチラホラ。 1213 楠川分かれに着き、ここから延々とトロッコ道を歩く。この辺りから帰りの登山ツアーの方達と時々すれ違う。「えっ?もうそんな時間?」ちと焦る。 10分歩くと小屋があり水も補給する。 1333 ウィルソン株。独り占め。おっさんが例のハート写真を撮りまくったった。 1451 縄文杉。なんかデッキの修理中だったけどちゃんと見れました。 1505 高塚小屋着。本日の最低ライン。 まだ時間も足も残っている。俺なら行ける!。そのままスルーして新高塚小屋を目指す。 1532 ここで人生でトップクラスの変態に会う(多分誉め言葉)。宮ノ浦岳を越えてきたという彼の手には自転車が…。この変態が!(多分誉め言葉) そしてその動揺が天を揺るがし雨を呼び、ここから傘をさして歩く。 1604 雨の中、新高塚小屋着。 中を見ようと開けたら向こうも開けようとしていてお互いビックリした。ハキハキとした青年がお出迎え。 「今10人くらいです。どうぞどうぞ中へ。」 俺「いや、何人いるのかなー?って思っただけやけん。外のデッキにテント張るね」 「え?雨すよ?」 俺「うん雨だね( ´,_ゝ`)」 「はぁ…。(チッまた変態かよ)」 無事デッキに幕営。さっさとご飯炊いて、のんびりしていたらコックリコックリ…。さぶっ!。つか今寝そうやったやんけ!。 寝る前に年越しソバ食べんと!。あんまりお腹空いてないが、無理やりソバを食べて20時には就寝した。 本日の歩行距離19.8㎞ 1月1日(2日目) 『初日からの三岳巡り』 2時に起床してモソモソとシリアルバーを食べる。 3時にパリパリに凍ったテントを撤収し宮ノ浦岳を目指す。 まだ雪は少く 0429 途中に永田岳もあるのだけれどどうしよう?。永田岳行くと宮ノ浦岳の御来光に間に合わないかな… でも永田岳は絶対に登りたい。 じゃ永田岳で初日でもいいかな? とか考えていたら、後ろに人の気配!!! めっちゃビックリして振り替えると女の子。 こんな時間にこんなとこで?。しかも俺、本気で歩いてたのに追い付かれた??幽霊??? 俺「お…お先どうぞ」 女の子(以下Mさん)「いえいえ、ついていくので先どうぞ(笑)」 俺「いや明らかに俺より早いでしょ?」 Mさん「そんな事…あー!カンパラ!あれ?傘!なんだULの人じゃーん♪」 よく見ると彼女もカンパラ提げて、ザックもゴッサマーギアのマリポサ。 彼女は鹿児島在住の屋久島中毒者。屋久島にとても詳しい。今回小屋泊で初日を見に来ていて新高塚小屋に居たらしい。 しかも同じULスルーハイカーで、脊振全山(26H)も南外輪山(22H)もやってる。てかタイムがすげえ。 「こんな時間にこんな場所で同じ少数民族に出会うとは(笑)!」 …てな話をしながら歩いていると、ミックスになりだし危険なので二人ともチェーンアイゼンを装着する。 Mさんが「宮ノ浦岳行ってどうするんですか?」聞くので先程悩んでいた永田岳の件を話す。 すると Mさん「いやっ!絶対ご来光は宮ノ浦岳がいいです!そして永田岳は明るい時に行かないと良さが解らないので勿体ないです!。よって私は貴方を宮ノ浦岳に連行します!。そのあと永田岳付き合いますから。三岳巡りでしょ?」 俺「三岳巡り?なんそれ?」 Mさん「え!?三岳巡り知らずに永田岳行こうとしてたんですか?。永田岳、宮之浦岳、くりお岳の山頂付近に隠れて祠があるんです!。その三つを巡る事を三岳巡りと言います。屋久島焼酎の【三岳】ってそれが由来なんですよ。全部祠の場所知ってるので今日三つとも案内しますよ」 0537 宮ノ浦岳直下の1つ目の祠を教えてもらう。参拝を済ますと、山頂はすぐ上みたい。 Mさん「今年宮ノ浦岳に人類一番乗りですね!。先に行きます?」 俺「二番でいいよ(笑)」 0554 宮ノ浦岳に今年人類二番目に登頂する。同時にsea to summitも達成する。 初日を待つ事一時間。気温マイナス7度。コーヒーやしょうが紅茶で暖をとりながら待ってると、30分以上前から黎明が始まる。 宇宙を見ている感じ。 九州最高峰360度のパノラマでガスは無し。これは来る…。 ハッキリと地球が見える。 0710 予定時刻ジャストに綺麗なご来光が上がる。 眩しさと寒さと感動で涙が出てしまう。 二人でお互いに写真を撮りまくる(笑)。 0730 Mさん「さっ!永田岳行きますよ!ザックここに置いて行きましょう!往復三時間だけど私達なら二時間でいけます!」 俺「お…おう…」 来た道を引き返す感じで永田岳へ向かう。ルートは新雪でトレースは無し。案内してくれる彼女が頼もしい。けど足はえぇよ( ; ゜Д゜)マジデ 0837 Mさん「二つ目の祠です」 と案内してくれたのでここでも参拝する。永田岳にもかなり詳しくて色々教えてもらった。神様が降りてくる場所や尾根の名前。眼下に海亀が産卵しにくる浜。まだまだあった。 0844 今年人類二番目に永田岳山頂を踏む。ここでも調子にのって何枚も何枚もお互いに写真を撮りまくる。お陰で大幅にタイムオーバーしそう。 実はMさん紀元杉にくる14時のバスを予定していた。 俺「時間大丈夫?」 M「宮ノ浦岳戻ったら(山頂だけ電波有り)地元の知り合いに電話します。迎えに来てもらう…か、スルーハイクについていきたいのもある…。湯泊歩道惹かれるなぁー。事前に教えてくれれば同行したのに!」 俺「あはは、テント二人用やけん寝れるよ(笑)。荷物は全部ビビイに入れて外だけど。まぁ冗談だけど」 Mさん「まじでーーー寝袋とマットは完璧よ!。ちょっと悩むー!」 俺「悩むんだ( ; ゜Д゜)?」 1010 宮ノ浦岳に再度登頂。結局2時半かかった。 ここから、くりお岳へ縦走する。こちら側はミックスではなく完全にアイス。アイゼン無かったら死ねる…。花之江河まで登りも下りもガッチガチに凍っていた。 屋久島は水の島で、地図を見ると相当数の水場が存在している。それが関係しているのか?。凍結が凄まじい。 1108 三つ目の祠へ案内される。 Mさん「これで三岳巡りが達成されました♪。焼酎三岳を飲む資格が与えられましたね!。下山したら美味しく飲んで下さい!」 俺「お…おう…」 1230 投石平にて休憩。 この先どうするの?と聞いてみる 彼女は1泊の予定だったので食料がもたないらしい。俺の予備食入れても二人ならぎりぎり。 Mさん「んー、食料も心配だし知り合いと今夜飲む予定だったので、淀川口まで迎えに来てもらうように連絡します。1日早く鹿児島に帰りますから、3日の日に鹿児島港まで迎えに行きますよ‼谷山港まで遠いでしょ(笑)」 そう。行きと帰りで港が違うんです今回。まぁそれはなんとかなると濁して出発。あんまりお世話になりっぱなしだと悪いので…。 1333 花之江河着。淀川を目指す彼女と湯泊を目指す俺はここでお別れ。 たくさんの事を教えてくれたよ。 三岳巡りとか知らないとスルーしてたので、何度もお礼を言って見送る。 1336 ここから悪名高き湯泊歩道へと突入する。 この道はよく言えば歴史を感じる大自然溢れるルート。悪く言えば荒れ果てた不明瞭なヤバスギルトレイルである。 やたらと丸太の一本橋が点在していて笑ってしまう(笑)。 笑っていられるのも束の間。笑顔は消える。ヤバい…。この道はヤバい。もう地面を踏んだ感触がフカフカなの。フカフカなトレイルはヤバい時が多い。誰も通っていない証拠。 所々に歴史を感じるプレートがあるので、その度に安堵する。 一瞬気を抜くと、そこは原生林の森に独りポツンと立っている感じ。本当にヤバい。山で滅多に思わない「怖い」感情が出てくる。 1427 なんとかデータロー岩屋 1558 ワレノの岩屋。 基本屋久島はテント泊禁止です。幕営が許されているのは運営キャンプ場か山小屋周辺のみ。 例外として各所にたくさんある岩屋は緊急時に幕営可となっている。という記述を読んだ事があった。 ここワレノの岩屋に着くと頭痛が痛くなって進退極まりビバークを余儀無くされた。あー痛い。 本日の歩行距離16.2km ●1月2日(3日目) 『summit to sea~海抜ゼロへ~』 本日の目標は湯泊歩道を抜けて海抜ゼロまで下りる。それから7㎞程歩いて尾之間集落のキャンプ場で幕営の予定です。 もっと進めて安房港(帰りのトッピーに乗る港)近くのキャンプ場で幕営して、最終日をゼロdayにしたかったのだけど尾之間から安房まで15㎞ある。俺の足では絶対に届かない。よって現実的な尾之間集落のキャンプ場に予約を入れてあった。 0530 目が覚めるがダラダラと過ごす。理由は雨。あとただでさえ不明瞭なのだから日が昇ってから出発したくて。 0730 スタートする。 雨足はどんどん強くなっていく。おまけにガスも。 0911 とあるブロガーさんが登っていた七五岳への分岐に差し掛かる。しかしどしゃ降り&ガス&気力がすり減っているのでここはパスする事に。今日の移動距離から言って幕営はギリギリ日没後なので先を急ぐ。 湯泊歩道の異常なヤバさは昨日と変わらない。そして昨日あれほど嫌だった丸太の一本橋が出てくると逆に「あ、合ってるんだ…」とホッとする。 ツラい時は空を見る…と決めていたのに、深い深い森の中で何も見えない。 1059 予定ピッタリに車道へ降り立つ。思わず涙が出た。「助かった」 しかし涙はすぐに渇れた(笑)。 この車道は道ではなかったんです。写真はほんの一例ですが、土砂崩れ、地滑り、崩落が30ヶ所は有り人間の通る道ではなかった。 そしてこの廃道は12㎞もある…。崩落した端を歩き、土砂を越えて進み心身共に疲れた。灌木だらけの土砂崩れが一番厄介で、どうやって向こうに抜けるのか考えながら越えていく。それもどしゃ降りで灌木はヌルヌル。 なんとかかんとか下っていくと遠くに海が見えてきた。念願の空もセットで見えて、ここで安堵からマジ泣きをしてしまう。 湯泊歩道は、「お勧めしません」ではなく、「ガイド無しでは絶対に行かないで下さい。」てかガイドさんにも断られるレベルです。本当に危ないです。 30年山登ってて初めて心底怖いと思いました。 荒れ果てた不明瞭な原生林の山道が7.5km、土砂崩れで道路が何度も何度も分断されている廃道が12km。 この合計19kmはちょっと安易に足を踏み入れてはいけません。 安易に足を踏み入れた僕が言う台詞ではないですが…。 1404 平内海中温泉に着く。これでやっと原始人から人間に進化できる。 でも入ってる絵面は原始人よね(笑)。海だもん。 干潮の前後数時間だけしか入れないレアな温泉。屋久島マスターのMさんがこの温泉の存在も干潮時間も知っていたのでその時間を目指して下山していた。 1527 温泉で温まり、一路尾之間集落を目指す。酷いどしゃ降りの中、何度か雨宿りしながらテクテク歩く。 1719 スーパーを発見したので夕食に彩りをつける為に刺身や惣菜を買い込む。それからコーラも!。 焼酎三岳も発見したが、横目でチラ見しただけだった。 1828 本日の幕営地「ジェリーズキャンプ場」に着く。ご主人はアメリカの方で話が大好きお酒も大好きな感じだった。いきなりリビングに通され話が始まる。 今回の旅も根掘り葉掘り聞かれて止まらない。 テント張って、納屋にカッパと靴を干させてもらいやっとの事で夕食にありつける。…て。炊飯からやん(笑)。クソ…。白ご飯も買っとくべきやった…。 そして一晩中強烈な雨が叩きつけてきてテント内が浸水する。電子機器だけは死守して朝まで水との格闘で殆ど眠れなかった。テント内の物は全て水没した。朝方5時、やっと雨が止んだので水を拭きあげ就寝。もちろんシュラフも一番にびしょ濡れになったのでバックアップに持ってきていたエスケープビビイに入って寝た。すぐに朝になった( TДT)。 本日の歩行距離24.7km ●1月3日(四日目) 『よろん坂のあけみさん』 今日のミッションは尾之間集落から安房集落までの15kmハイクです。 自販機有りーの食堂有りーのなので山に比べたら鼻唄まじりです。 しかし…きちー…。 朝っぱらからエッチラオッチラ歩いてましたが装備がクソ重い…。昨夜の浸水で綿や布や羽毛が全部水を含み体感的にプラス3㌔増えてる(笑)。 ギシギシ肩が悲鳴をあげている。こんな重い荷物背負ったのはいつ以来だろう…。 途中に誘惑のコインランドリーが…。うお!乾かしたい!でもここでゆっくりはできない(;_;)。 せめてもっと安房に近付いてから乾燥させよう。 ひたすら歩く歩く。昨日とはうって変わっての晴天。気温は20度(笑)。半袖で汗だく。蚊にも刺されます。 ウォークマンを全開で聴きながら歩いてますと「…ちゃん」「…だよ」とかすかに声が。視線を上げると左前方の売店の駐車スペースでご夫婦が手を振っている。「たくちゃんでしょ!あけみちゃんだよー!」 「え?誰て?あ!!」 あけみさん…このワードでピンときました。 実は先日下山して関係者各位にスマホで安否確認を入れていますとMさんからインスタのメッセージを受けていました。 「膝の具合はどうですか?もしも困った事があったら安房手前でよろん坂という飲食店をしているあけみさんを頼って下さい。絶対に助けて下さります。電話番号は…」 てな内容でした。そのあけみさんです。 「たくちゃーん!助けに来たよー!乗ってきな!」とめっちゃ手を振っている。 「申し訳ありません。自分で歩いて行きたいんです」と伝えると あけみさん「あははー(笑)Mの言った通りの反応だわ(笑)。わかってるよー。だけどなにかさせなさいよ!。じゃあ荷物だけ積んで行ってあげるからお店に来てねー。ご飯作っとくから♪」と荷物を車に積んで去っていった。 お店までの3㎞はカンパラとコーラだけ持って歩いた。変わらず炎天下だったがハイビスカスが綺麗な南国な道だ。 小一時間歩きよろん坂に着くとお店の前でお掃除をしてるあけみさん。 中に促され、「飛び魚ハンバーグ作ったよ!食べな!」 と凄いご馳走が出てきた。昨夜のスーパーも美味しかったが、そんなレベルじゃなく美味しかった。 あけみさん「あんたまたおいでよ!。ここにタダで泊まっていいから。Mなんていっつもタダで泊まって登山口まで送ってやってるんだ。あんたもそうしな。前日来てさ。宮之浦まで迎えに行くから」 俺「いやいやいやいや、今会ったばかりじゃないですか!( ̄□ ̄;)」 あけみさん「大丈夫あんたは大丈夫。うちはMの事を娘のように信じてるし、Mも変な奴紹介してきたりしない。あの子は普段知らない人と話もしないよ。」 もうね、なにそれ…。泣くやろ…。泣きそうな俺のツラをニヤニヤあけみさんが見ていたので出発する事にした。 あけみさんが「あ、連絡とれるようにあんたのインスタ教えなさいよ」って(笑)。若い(笑)。 時刻は12時。あと一時間半で安房港に着かなければ、今日帰れない。この旅は失敗に終わる。 「ありがとうございました。そろそろ行きます。」 あけみさん「さよならって言うんじゃないよ!行ってきますって出て行くんだよ!それがこの店の決まり。」 俺「行ってきます」 あけみさん「はい♪行ってらっしゃい♪また帰っておいで!」 …。 ずっと無口だった旦那さんが外まで送りに来てくれて、車からレイウェイを出してくれた。 ボソッと「またおいで」といってくれて握手を交わした。 泣くのをこらえて安房まで歩く。もう肩も痛いし足も痛い。止まっては空を見て止まっては空を見て歩く。 ツラい時は空を見る事にしていたから。 途中ランドリーに寄って、出港30分前に無事安房港に到着。高速船トッピーで二時間乗れば鹿児島に行ける。 Uターンラッシュで人がごった返していた。 ピッケル下げてるのなんて俺ぐらいなので慎重に歩き窓口へ。 予約をしていたので乗船手続きをすませると窓際の席にしてくれた。 館内は別れを惜しむ人達がたくさんいたが、俺にはそんな人居ないのでさっさと船内に入る。 小さな船なので揺れていて、早く乗り込んで失敗したな?とも思ったが目をつぶって休んでいた。 不意にエンジンがかかり目を覚ますといつの間にか満席でトッピーも後進していた。 トッピーは方向を変えて出口の方へゆっくりゆっくり進みだした。 ボーッと窓の外を見ていた。「やっぱたけぇなぁ」と思いながら山を見て視線を下げると…。 港や防波堤、堤防などにポツポツと人が。よく見ると割烹着着たお婆ちゃん、作業帽子を被ったお爺ちゃんなんかが満面の笑みで手を振っている。 トッピーが進んでもその人影はあちらこちらにあり手を振っている。 それを見て、我慢していたものが一気に崩れてボロボロ泣いてしまった。 色々な想いが溢れてしまった。 別に俺に手を振っている訳ではない事ぐらい知っている。 帰省してきた子供や孫を見送っているんでしょう? でもこんなね、小さい窓のトッピーの中なんて向こうから見えないんだよ?。なのに笑顔でお爺ちゃんお婆ちゃんが手を振っている。 最後の防波堤の先っちょでもお爺ちゃんお婆ちゃんが手を振っていた。 隣の韓国女性団体に指差されるくらい…もうタオルで拭かないと追い付かない程に泣いてしまった。 そしてその最後のお爺ちゃん達に手を振った。見えないだろうけど。 ありがとう屋久島。また来ます。 本日の歩行距離16.3㎞プラス鹿児島港→谷山港14.8㎞。計30.1㎞。 参考までに 夜行フェリーはいびすかす 3600円(人のみは予約不可) 高速船トッピー 8800円(要予約) 長文駄文失礼しましたm(_ _)m
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