活動データ
タイム
00:00
距離
0m
のぼり
0m
くだり
0m
活動詳細
すべて見るニュージーランドの2月は真夏の顔が照り焼きでございます。 世界一の透明度とまで言われているブルーレイクにあるブルーレイク・ハット(山小屋)の管理人を一週間やった。国内ほとんどの山道や900近いハットを管理しているDepartment of Conservation (DoC)通称ドックの応募に通り、天国の天使になった気分で一週間を過ごした。その記録です。 一日目 最寄りのセイント・アーナードという町にあるドックのオフィスで口頭の説明を受けて、ロトイティ湖の反対側にあるセイバイン・ハットまで車とボートでビューン! ここからウェストセイバイン・ハットまでハイキング。そんなにきつい登りもなく余裕ぶっこいてた、正直。しかし、ザックに括り付けた二キロのリンゴと一週間分の食料が重いのなんの!このトラックは3000キロのロングトレイルの一部でもあって、彼らにトレイルマジックをプレゼントしたくってリンゴを持っていった。 ザックが壊れるまえに無事到着。ハットには付属の管理人の部屋があって鳥や植物の本が置いてあった。川を散策したりハットに泊まるハイカーたちとおしゃべり。前日の雨で濡れた服を持ち込んで床が濡れている。なんでそんなことするかなぁ。。 二日目 朝早く、アブが起きる前にトイレ掃除を済ませる。無線で向こう5日間の天気を入手しコルクボードに貼り付ける。ハイカーたちがみんな去るのを待ってハットの掃除。また四日後に戻ってくるのでそのときに必要になる食料をデポし、魅惑のブルーレイクへ出発。 二時間ほどして先に発ったハイカーたちに追いつく。道のりは緩やかで天気も良く気持ちが良かった。 ブルーレイクハットには四日間滞在する予定。管理人小屋は少し離れたところにあり、デッキにはピクニックテーブルと簡易シャワーがあり、屋根にはソーラーパネル付きで携帯も充電できる。 テアラロアを歩いているスルーハイカーに何人か会う。リンゴを渡せた喜びがすごい。自分が喜んでどうするんだよ。ロストキーウィという名の彼はまだ先に進むらしい。すでに峠を一つ越えてきたのにまだ行くか。タフガイじゃ。達者でな。 三日目 この日はワイオ・パスという峠まで探索に行く。ランチと救急用具、無線とカメラを担いでいざ出陣。もちろん、管理人としての仕事もちゃんとやっておるぞ。ブルーレイクの隣、少し上にいったところにレイク・コンスタンスがある。それはそれはまた美しい池でして、写真が映える。写真見て行ってね! コンスタンスを回って向こう側にワイオ・パスがあるのだけれども、その道のりがなんとも危ない。まず、砂利(英語ではスクリー)の斜面、よくわからないところをとりあえず登る。どこかに道があるはずだけど見つからない。とりあえず上に見える岩場まで行ってみる。 そこから15分の地獄。岩は思ったより大きく登りにくい。ああ、ロッククライミングやっててほんとうによかったと心底思った。これ落ちたら死ぬなあと恐怖と闘いながら登り切ったその真横にルートを示すポールが突き刺さっているのを発見。ばかやろう!お前はわたしを殺す気か!もっとシャキッと立たんかい!振り返るとす~っときれいな砂利傾斜をトラバースする一本道が。笑える。 コンスタンスの向こう側に着き池のそばまで降りていく。池は上から見るほうが池っぽい。近くで見ていてもただの水だし思ってるほどきれいでなかったりもする。恋愛と一緒だな。この辺で昼食を。 ワイオ・パスまで直球の登り勝負。わたしこういうの大好き。ニュージーランドは1000メートルを超えるとほとんどの環境はアルパイン(高山)になる。アルパインデイジーという花や岩場に潜むバッタ、もう少し高くて寒いところではシーププラント(植物羊)という白いふわふわの苔も見られる。死んでる羊の姿に見えることからデッドシープとも呼ばれたり。成長がとても遅い植物で、1メートルほどの大きさで数百歳とからしい。やばいなー、そんなに生きててもじっとしてるだけで人生どうやって楽しんでるんだろうか。 二時間ほどかかるかと思いきや、一時間で登っちゃった。上でもう少し時間を過ごしたかったけれど風が強くてすぐ引き返してきた。いつも帰りは行きよりも楽。4時ごろにハットに帰宅。3か月もあちこちの山のハットで寝泊まりしてるとほんとうに「帰る」ところに思えてくる。この日はたくさんのテアラロアハイカーたちが泊っていった。リンゴをどうぞ。 とあるハイカーの女の子、言葉を全く発さない。夜もずっと瞑想していた。たぶんそういうなにかのチャレンジ期間なのだろう。いろんなひとに会って、知らない世界を知っていく。拾った石でアクセサリーを作るひとにも会った。テアラロアを歩くために仕事をやめて家も売ったホームレスカップルにも会った。歩くことを仕事としているひとにも会った。大学を卒業して就職がいやだから現実逃避に歩いている女の子にも会った。ハネムーンで歩いている日本人カップルには会えなかったが、彼らの話も聞いた。わたしは声を大にして言いたい。ほんとうにたくさんの生き方がある。だから行き詰っても選択肢は必ずほかにある。ハイカーたちはお互いを助け合って、励まし合って、声を掛け合って歩いていく。ひとはひとりでは生きられないから。頼っていい。泣いていい。助けを求めていい。迷惑をかけていい。大丈夫。必ず手を差し伸べてくれるひとがいる。だから諦めないでほしい。数えきれないほどの生き方があるから。 四日目、五日目 とくになにもせず。天気は雨。ひとと話す気にもなれなかったので、仕事をしてひとりでひたすらぐーたら。 六日目 嵐のが明日来るとの連絡入る。ハットの掃除をしてブルーレイクにさよなら。ステキな時間をありがとう。 ウェストセイバイン・ハットまで走る。東にトレバース・サドルという峠がある。そこに行きたくてしょうがない。ザックには必要なものだけ入れてカメラを担ぎ出発。670mから峠1800mまでの直球登り。酸欠でぼーっとする。それでも止まらない。楽しくって楽しくって、これがハイカーズハイというやつ。天気には恵まれた。幸運だった。ハットまでの下りのほうがきつかった。リターンで5時間、よくやった。この日の夜は楽しかった。みんなでお茶を入れたりおしゃべりしたり。次の日の嵐には気を付けるように忠告したり、危険エリアを避けるよう新しいルートのアドバイスしたり。 最終日 ほんとうはこの日はセイバイン・ハットまで戻ってそこからいっちょ東の峠を越えた先にあるアンジェラス・ハットまで探検する予定だったが、天候が悪くわたしは一日早くボートで町に戻ることとなった。掃除をしてハットに別れをつげ、おくれそうだったからめっちゃ走ってセイバインまで行った。15キロが3.5時間で終わっちまったよ! まあそんなこんなな旅でした。読んでくれてありがとう。ニュージーランドはいいところよ。ヒッチハイクもすいすい、ひとも少ない、山はどこにでもある、海もある、リンゴはうまい。
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