北日高神威岳(1456.6m) ~戸蔦別川八の沢遡行から神威岳、そしてカタルップ沢下降へ~ 沢登り編

2009.09.14(月) 日帰り

活動詳細

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山にも行けず、なので、思い入れのある過去山行の日記を更新してます。 元写真は見当たらず、ブログからコピーですので、画像は縮小されて荒いです。 備忘録其の14・・・沢登り編 2009年9月14日(月)の記録 2日前に富良野岳、三峰山沢遡行したばかりで少し疲れていたが、Gさんから再びお誘いが・・・ 追記・・・ 今度、発刊予定の沢本写真撮影を兼ねた遡行ということだった。 のちに沢本が出版されています。 この本、ganさんの「北海道の沢登り独断ガイドブック」にその記録が掲載されています。 ・・・ 某駐車場に昼過ぎに、いつものGさんと待ち合わせ、札幌を出発、一路芽室町へと車を走らせる。 途中、芽室町郊外の川北温泉に入り、翌日の遡行に備え骨休めする。 普通は下山後に入るのが常だが、翌日の遡行はかなりハードで、帰宅途中で入る余裕はないとの事だ。 ここの温泉は、モール温泉で、あとからじわっ~と効いてきて、身体がよく温まる。 その後、戸蔦別林道沿いの戸蔦別ヒュッテに向う。 小屋には、事前に来るとの連絡で、すでに帯広のMさんとトダテのMちゃんが宴会準備を整え、出迎えてくれていた。 う~ん、ジンギスカンに枝豆などのご馳走に感激の雨霰この上ない…ありがとうお二人さん。 そして、20時頃まで楽しい宴会は続き、MさんとMちゃんは自宅へと帰っていった。 その後、すぐに就寝するも、あっという間に起床時間の夜中の2時半になった。 小屋の外に出てみると、まるでダイヤモンドを無数に散りばめたような満天の星空だった。 すぐに準備を済ませ、車で林道奥のびれい橋を渡り、6号砂防ダムゲート前の広場に着く。 早速、ラテルネをヘルメットに装着して、暗闇の林道を自分が先頭になり、 目的の8の沢出合いへと歩き出す。 先を歩く自分は、朝露で下半身が濡れてくる…どうせ、沢に入れば濡れるからいいかっ! あとは、熊さんに出会わないことだけに神経を尖らせる。 途中、エサオマントッタベツ川出合い、カタルップ沢出合いを通過しながら歩くが、 カタルップ橋を過ぎた辺りから藪が濃くなり、廃道化しつつ、 少し迷い道となるが慎重に歩けば問題なさそうだ。 その後は、道も荒れて所々決壊していた。 まぁ~よくあるパターンだけれども… 5時丁度くらいに、8の沢出合いに着く。 そしてそのまま入渓していく。 先日の雨で増水が心配されたが、大丈夫のようだ。 ここからは、Gさんを先行して、自分はカメラマンに徹する。 途中、昨夜の手付かずの「おでんときし麺」で豪華な朝食タイムを頂く。 寒い中でのおでんは、最高の食材で、身も心も温まるわぁ~。 その後、再び歩きだすと小滝が連続してくる。 入渓してしばらくは、ゴーロ帯が続き、途中で読図しながらの歩きだ。 今日の天気はすこぶる良好だ。 遥か彼方に、目的の神威岳がモルゲンロートの彩りで見えてくる。 Gさんも初めてだという、この8の沢遡行。 二人とも緊張の色を隠せない、まぁ~何とかなるだろう。 Co1020m二股分岐に出る。 Gさんしばらく読図しながら考え込むが、ここは、左股を往く。 やがて滑床の滝や小滝が連続する。 Co1100m付近からは、怒涛の雨霰「滑床の滝」が、Co1500m過ぎまで延々と続くのである。 8mの滝を過ぎると今度は、綺麗な滑滝が連続する。 滝の上では、Gさん万歳をして雄叫びする。 それをすかさず写真に納める。 迫力ある「連続する滑床の滝」は、右側を直登。 滑りやすい滑に苦戦モード突入だ。 かなり手こずりながらフリーで攻めるが、次の一手が怖い。 とにかく、よく滑る。 落ちれば、大怪我も免れないだろう。 時々撤退を繰り返しながらも、潅木に掴まるなどして何とか登りきる。 熊に糞??? 途中、大きな糞が足元にあるではないか… 「オイオイよせよ、熊の糞かよ~」・・・ でも、今日のものではないようだ。 だからと言って安心はできない。 久々に見る熊の糞…「う~ん、なんだかなぁ~」 遥か向こうにピパイロ岳と伏美岳 いよいよ次は、この8の沢最大の核心部に近づいていた。 それは、Co1400m付近の滝だ。 その滝を手前の下流側から遠巻きに見上げると、一瞬度肝をを抜かれた。 「あ~、もうダメか~」ある意味、絶望的だった。 その滝は約10m以上で垂直に切立っているのだが、周囲は見るからに絶壁の崖… まるで巨大な函そのもの。 これで撤退するしかないのか… Gさんも同じ考えだったようだ。 とりあえず滝まで近づいてみたら、「ん?何とか高巻けそう。」少しだけ一抹の望みがあった。 Gさんが先回りして、枝沢を登り潅木帯からトラバースしていくが、 その上にも微妙な滝が連続していて止む無くさらに高巻く。 そして2つ目の滝上に降りるのだが、これが厄介… 崖状の尾根を伝って降りるのに苦戦するが、何とか無事に降りた。 ここまではいいが、果たしてこの先も同じような場面が想定される… まだまだ気を抜けず、不安がよぎる。 不安をよそに、時折後ろを振り返ると、遥か向こうには紅葉に映えた「ピパイロ岳と伏美岳」が見えている。 まさかこの時点では、翌週その伏美岳を6の沢から登るとは思ってもみなかった。 とにかく歩く、下山の事を考えるとあまり時間に余裕がない。 さらに登りつめていく。 追記…「最大のミスを犯したことに気付くも、時すでに遅し…」そうです、 最大の核心部であるCo1400m付近の滝の写真が何故か無い? いいえ、無いのではなく、あまりにも絶望的だったために撮り忘れていたのだった。 「あ~!大失態しでかしたぁ~!」…と後の祭りだった。 「また来ればいいかっ!とは言うものの、もうこの沢から遡行することもないだろう 。 次から次へと連続する途切れる事のない滝がCo1550mまで延々と続いていた。 途中、Co1520m二股分岐は水流の多い5mの滝がある左に進路をとる。 右は、谷間が深く切り込んでいるが、本流ではなさそう。 その後、Co1540m分岐は、水流が同じだが右に往く。 次のCo1660m分岐は、かなり小さい分岐で、左を往く。 もう殆ど、源頭になりつつあった。 いつしか、その流れが途絶える頃、潅木の藪こぎが始まる。 潅木帯の藪漕ぎは、僅か10分ほどで終り、殆ど狂いも無くドンピシャでいきなり山頂の 三角点に10時35分に辿り着く。 まさに、これぞ直登と言っても過言ではない。 山頂の南正面には、エサオマントッタベツ岳と北カールが見えている。 この神威岳山頂から見る360度の大パノラマは、 自分にとっては生涯忘れる事のない絶景となった。 まして、この頂に立つ事など思いもしなかったのだから… これぞ「感無量」…とはこの事だろう。 Gさんと無事登頂を分かち合い握手する。 山頂は、快晴無風でとても暖かい。 早速、いつものように山頂ラーメンで昼食。 今回はチーズ入りのラーメンだが、まるで牛乳ラーメンそのもの。 味はどうかな?と思ったが、栄養満天で美味しかった。 まだまだ山頂にとどまりたかったが、そうもしていられない。 下りのカタルップ沢も時間がかかるという。 名残惜しい神威岳山頂を後に、藪こぎの支稜線から下り始める。 そのうち、沢筋を経てカタルップ沢源頭まで下る。 Gさん曰く、このカタルップ沢は一枚岩盤の滑床と滝が多く、かなり滑るので要注意だと言う。 案の定、滑る滑と滝に苦戦を強いられ、フェルト底の沢靴でさえ、さすがによく滑り、 へっぴり腰で何度転んだか知れない。 下手に転べば、滝つぼへと流されていくような場面もあるのだ。 そして、4回の懸垂下降もおまけに付いてきたのだ。 私のザイル1ピッチ(30m)では足りず、Gさんの20mザイルを繋いでの懸垂も2回ほどあったと思う。 とにかく、最後まで気を抜けないほどの緊張の連続だった。 やや疲れが見え始めた頃、下方の遠くに橋らしきものが見えてくる。 「あっ!カタルップ橋だ!」… 一気に緊張が薄らいでいく。 Gさんの足取りが、早くなる。 Gさんに導かれるように、自分もつられて足早に沢を歩いていた。 もうすぐで林道に出られるぞ、と言う思いで… 時計は16時40分、カタルップ沢の下りは長かったようにも感じるが意外と短くも感じた。 疲労困憊気味のGさん、見るからに疲れているようだった。 という自分も多少疲れはあるが、まだ余力は充分あった。 Gさん、橋の上でPPわらじを外しながら何を思っていたのだろう… カタルップ橋からは、単調な林道をひたすら歩くことになるが、疲れはそれほど感じない。 緊張した沢歩きからの開放感でいっぱいだったからなのだろう。 Gさんの背中を見ると、妙に充実感が漂って見えたのは気のせいなのだろうか。 やがて、エサオマントッタベツ川への分岐に着く。 入林届け箱の台帳に、Gさんが、下山終了の記帳をする。 やっと、最後の砦、6号砂防ダム前のゲートに17時15分無事に辿り着いた。 Gさんと最後の祝福の握手をして無事下山完了する。 実に13時間超えの長い山行に終止符を打つ・・・ 着替えもせずに、すぐにヒュッテへ戻り、素早く着替えを済ませる。 辺りはもう暗くなってきた…時間も遅いので、いつものように温泉でも、とはいかない。 二人とも、明日は平常どおりに仕事があるので、 一目散に札幌へと運転を交代しながら帰路に着く。 あぁ~今年一番の記憶に残る沢遡行になることだろう。 充実した一日に感謝感謝…

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