活動データ
タイム
08:12
距離
14.0km
のぼり
1301m
くだり
1311m
活動詳細
すべて見る前回の谷川岳から現在まで、土日も資料作りやら何やらと捗らない家仕事を鬱々とこなさなければならない灰色の日々を送っていた。しかし、先週ようやく一つ仕事のちっちゃい山を越え、タイミング良く前回谷川岳に一緒に登った友人からどこか行こうと声がかかったので、久しぶりに山へ行ってきた。メンタルが低調の時、一人では動くのも億劫になるので連れ出してもらえるのはありがたい。 行き先は、お互いニュースを見て気になっていたという事で、噴火レベル1に引き下げられ前掛山まで行けるようになった浅間山に決定。次にアクセスプラン、東京から浅間山の当日アクセスだとスタートが遅くなってしまうので、金曜は戸隠山か四阿山にでも登り別所温泉あたりに前泊、翌朝友人にピックアップしてもらおうかと考えていたが、仕事が一段落して気が抜けたのと連日の気温差で寝込むレベルの風邪をひき断念。しかたなく当日北陸新幹線を使って小諸集合にした。しかし、ここ2年ぐらい季節の変わり目で躓く事が多くなった。風邪もやたら長引く。これが歳を取るという事か。。。 登山ルートは、友人の体力を考慮すると比較的楽そうな浅間山荘から浅間山に登るルートにしたかった。しかし、駐車場の定員が16台との事で、9時には満車になっているだろう。紅葉時期でもあるし。よって、少しハードだが高峰高原から黒斑山を経て浅間山へ登るルートに決定。コースタイムは努力目標7h、現実ライン7.5h、最終防衛ライン8hという計画。 当日。上野駅始発の北陸新幹線はくたかで6時半ごろ出発、7時半に軽井沢、しなの鉄道を乗り継いで8時には小諸に到着。新幹線、楽すぎてヤバい。小諸といえばアニメ「あの夏で待ってる」の舞台で、駅にパネルがあったので記念に写真を撮ろうと思っていたが、調度その前に友人が車を止めており、友人の目も気になり断念。これが今回唯一の心残りである。。。 小諸から高峰高原まで車で30分ぐらい。高度が上がるにつれ紅葉している植物が増え期待感が高まる。小諸駅から見た空は曇天だったが、ある高度を超えた瞬間青空になる。どうやら雲の上に出たらしい。高峰高原で既に2000mだもんな。 8時半頃、高峰高原ホテルに到着。駐車場の眼下には雲海が広がっており八ヶ岳にも良い感じに雲がかかってとても綺麗だった。ちゃっちゃと身支度を整え、9時前には車坂峠を出発。 車坂峠から黒斑山までは、平凡な山道を登っていく。久しぶりの山のせいか、何てこと無い道でも楽しくてしょうがない。ゆっくり歩いて1時間弱で槍の鞘に到着。早送りの様に流れていくガスに顔を出したり隠したりする浅間山を眺める。ここでマリオ、ルイージ、ヨッシーの被り物をした3人組に遭遇したが、何かマリオと浅間山は関係あるのだろうか。 ここでソフトシェルを脱ぐ。東京ですら秋っぽくなってきたので冬の低山用装備できたが意外と暖かい。ちなみにこの日、上はpatagpniaのcapilene3のみで行動していたが、寒さを感じる事もなく驚異の速乾性でとても快適だった。このシリーズもう1枚買おう。 小休憩後、急坂を一気に上りトーミの頭へ。いつも通り混雑していたのでスルーして黒斑山へ。黒斑山も地味山頂なのでスルーで蛇骨岳へ急ぐ。眼下に広がる赤・緑・黄色と斑に紅葉具合の湯の平が素晴らしい。そして稜線を歩き蛇骨岳まで来ると樹木は消え完全な岩稜となる。山道の変化が嬉しい。友人も喜んでくれているようで何よりである。 トーミの頭から1時間ほどで仙人岳に到着。この時点で11時、大体予定通りである。ここまで来ると浅間山が一段と大きく見える。前掛山の渕を歩く蟻、というか微生物サイズの登山者の列がその大きさを更に引き立たせる。威圧感を感じる。という事で、浅間山の登りに備えここで昼食を取る事にする。今回はミネストローネ(但しレトルト)を弁当用サーモスで持参し友人にふるまった。この季節、山頂で食べる暖かいものは本当に美味しい。隣の中高年パーティは誕生会をやっているらしくシャンパンをスポーンとやりホールケーキを喰っていた。ブルジョワめ。 30分程休憩し鋸岳下のJバンドと呼ばれる場所から湯の平に下る。鎖場ぐらいあるのかと思ったが、何てことないザレた急坂で拍子抜け。浮石にだけに気をつけてちゃっちゃと下る。楽勝ではあったが、下りてきた道を見上げると良い面構えの岩壁でカッコ良かった。赤岳の直下の岩場に似てる。 湯の平へ下ると、火山岩と鮮やかな黄色に色づいた松の樹林帯と乾燥した大地が作る異世界感がすごい。でもキレい。そして、ここから見上げる浅間山はのっぺりとした巨大な黒い壁で、もう得体の知れない何かにしか見えない。昔のSF小説によく出てくる、見ているだけで心に言いようもない不安を抱かせ、心に直接何かを問いかけてくる謎の物体的な何かである。この黒い何かを登るものとして見られなくなりそうな程のヤバいプレッシャーを感じた笑 12時半頃、浅間山登山道の分岐に到着しそのまま登り始める。はじめは黄色い松の樹林帯の中、ゆるい傾斜を登っていく。しばらくすると高度限界を超え傾斜もやや急になったガレた道をひたすら登る。浅間山の斜面と空の作る斜めった地平線を目指してひたすら歩く感じ。遮るものが無いのでゴールがどんどん近づいてくるのがわかり、気持ち的には楽だった。途中5分程度の小休憩をとりながら1時間弱で前掛山の淵の入口に到着。いまだに入れない浅間山の方が前掛山の山頂より遥かに近そうに見えるので、何故浅間山には行けないのかと少し不思議。 しばらく歩くと写真で見た物々しいが頼りなさ気なシェルターが2つあった。もし今ここで噴火が起きたら、この狭いシェルターに多くとのハイカーが殺到し醜い争いが起こるのだろうと妄想。友人は数年前御嶽山が噴火した直前に登ったらしく、ニュースで噴火を見て恐怖を覚えたというトラウマから、今回わざわざヘルメットを買ってきていた。「ヘルメット?火山っすよ?必須っしょ!」というやり取りすら忘れ、ヘルメットを携帯せずヘラヘラする私の不心得を「山をなめてますよね。」と戒める。すみません。 前掛山山頂までの距離は意外と長い。シェルターから更に30分ぐらいかかった。その間のお淵歩きは、下から吹き上げてくる冷たい強風が凄まじく、寒い。たまらずソフトシェルと手袋を装着。せっかくの山頂も標識前で記念写真をとってさっさと撤退。 来た道を戻っている途中に、先程まで歩いていた外輪山側を見るとすごく小さく見えた。それほど、今立っている浅間山の質量と存在感がとんでもないのだろう。そして浅間山火口側を見ると岩と土だけの地獄じみた荒涼とした正に殺風景。感嘆の声しか出ない。 シェルターまで戻り、中で冷えた体にココア。五臓六腑に染みるやつ。10分程休憩し14時半近くになっていのでそそくさと下山開始。往路はひたすら下るだけで楽ちん。30分ちょいで登山口の分岐に到着。そのまま本日の最後の難関草すべりを目指し歩く。また黄色い松の樹林帯を歩くが、西日が射してきて先程とはまた違う風景になっている、外輪山の側面も浅間山の山肌も。このルート、歩いてて飽きない。そんなこんなで友人とこれから来る草すべりという激登りを拒むかの様に植物を愛で、写真を撮りまくった。しかし、そんな楽しい時間はそう長くも続かず、無情にも草すべり直下に到着。 草すべりを下から見上げると、登り始めこそ大きなトラバースでジグザグに人道的な傾斜で登っていくが、徐々にその間隔が狭くなりドンドンと傾斜がきつくなる様が見て取れ戦意喪失。あまりにも登るのが嫌で、一旦浅間山荘に下ってタクシーで高峰高原に戻る案が飛び出すぐらいに心が折れた。 しかし、時間も無いので覚悟を決め登り始める。 俯き、心を殺して黙々と足を動かし1/3地点ぐらいのところで、うんざりして後ろを振り返ると、夕日に照らされた浅間山がミルクチョコみたいでいつも通りのスィーツ感を放っているし、その横の牙山も西日で岩壁の陰影がくっきりして格好良かった。現実逃避して後ろを振り返るとこの素晴らしい風景。しかし正面にある急斜面という現実に向き合い、見上げてみると、ガスの中に、無表情で人を見下ろしている様なトーミの頭の不気味なシルエット。下から見ると本当に頭っぽいなとその名前に納得。FUCK現実!と心の中で叫びながらも諦めて登る。残り半分ぐらいからどんどん傾斜が急になり本当にキツかった。1時間をかけトーミの頭の稜線に到着。 トーミの頭で最後の休憩を取り。車坂峠に向けて下る。帰りは中道を通った。途中、楽だけどつまらない道でごめんねー!と友人に声かけるとキノコがたくさん生えてていい道じゃないですか!と思わぬ反論があり驚く。そういえば友人はインスタでキノコ専用アカウントを持っているほどのキノコ好きだった。人も色々だなぁと少しスピードを落として下る事にした。僕が森を見てても全然キノコを見つけられないが、友人は目ざとく見つけては写真を撮っている。キノコハンターや。 森の中に17時を知らせるビジターセンターの音楽が不気味に響くと同時に車坂峠に到着。事前に立てた最終防衛ライン8hぴったりである。まぁ何事もなく下山できたし良しとしよう。しかし、前回の谷川岳では20分ごとに休憩をしていたのに、今日は1時間に1回休憩のペースで歩いた友人はよく頑張ったなぁ。 ビジターセンターは閉まったので高峰高原ホテルの売店で浅間山バッチを購入。ロビーの巨大な石油ストーブの柔らかい暖気に冬を感じた。駐車場からは朝とはまた違う雰囲気の雲海を見えたが、既に頭には温泉に入りたい欲以外はなく温泉にGO! 今回は「あぐりの湯こもろ」という大衆浴場へ。 https://www.komoron.com/agrinoyu/ 施設は新しく綺麗で、お風呂の数も多くて良かった。外気が冷たくなるこの季節の露天風呂はいつまでも入っていられて最高。小一時間風呂に入って、大広間で打ち上げ。打ち上げの前にちょっと寝させてくれという友人の要求には驚いたが、まぁそういう人だよなと諦め、その間運転で飲めない友人に遠慮なく軽井沢ビールを2本空け完全に仕上がる。その後、温泉施設の美味くも不味くも無い定食を食べながら中年男女の冴えない話で盛り上がり、そして落ち込んだところで解散。 佐久平駅まで送ってもらって21時前の新幹線で帰路へ。上野まで1時間新幹線速い。11時前には自宅についてしまった。久しぶりの登山、楽しかった。少々仕事が忙しくても、合間みつけてがんばって山へは行くべきだなーと思った。
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