活動データ
タイム
07:06
距離
8.6km
のぼり
1052m
くだり
915m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る風邪ひいちゃってますが行って来ました、冷たい雨に打たれての修行系ハイグレードハイキング(笑)。 舟石駐車場を起点に、舟石新道で熊の平を経て進み、塔の峰へ南側からのドンピシャ尾根で登り上げ、東に伸びる尾根からやがて南東へ向かい、熊の平へ舞い戻って更に向山に上がってから戻るというコース。 舟石新道は、以前一部を歩いたが未踏部分も気になっていたので、探検がてら塔の峰へ行ってみた。 全線踏破となると庚申山麓までになってしまうので、今日のところは無理せず途中まで。 天気は午後から崩れるらしいし、スタートも遅いしね(笑)。 さて、冒頭の舟石新道だが、過去に登山道として活躍した道である。庚申川沿いの林道が整備される以前、既登山道に続き整備されたのがこの道。だから新道と言うらしい。 現在は訪れる人もほとんど無く、ワタシみたいな物好きか、獣達が利用する程度だろうか。まさに廃登山道そのもの。 ルート状態は場所場所で様子は様々。しっかり踏み跡の付いた幅の広めの作業道っぽい所、狭いながらも岩を削ったバンド状道、石組みなどや、獣道程度の所。かと思えば、踏み跡も怪しい道型にもなっていない笹の急斜面のトラバースなどバリエーション豊か。しかしかつての登山道、しっかり目印のブリキマーカーは頻繁にある。探せばすぐ見つかるが、意外と肝心な所に無かったりする。経年により目印の付いた木そのものが倒れたり、土砂で流されたりしたのだろうと思う。 当初、元登山道ならのんびりバイキングか? なんて高を括ってたら、意外と大変。なんといってもひたすらの登り調子。意外と高度を上げている。そして更に、先に記した様な笹のトラバースなんかあったり、ガレ沢渡りなんかあったりしてちっとも楽ではない。延々と山腹をジグザグに進むこの道、変化に富んで楽しいが目標に向かう手段としては、とっても非効率。よっぽど復路の尾根ルートで行った方がいい。効率で言うならば。ま、逆方向なら楽かも。所々の目印も舟石方向しか記してないし下り専用だったのかも。 しかし、一度は通ってみたかった道。 効率うんぬんより、こういう静かな道、消え行く過程の刹那的な雰囲気、往時の痕跡のノスタルジックな佇まいに強く引かれる訳です、ワタシとしては。 残りの部分もあるし、また季節を変え、方向を変え、何度も来ようとは思う。 そして斯々然々、日ケ窪峠に着いたのが11時、結構時間はかかった。さて、小休止と思ったが空模様は怪しい。ここまで、曇り勝ちながらもたまに日差しも出たりしていたが、いよいよヤバいか。庚申山方面もガスってるし、雨が降りだしてからのメシの準備じゃ大変だからここで済ますか。ということでランチ。ちょっと早いがしょうがない。 結構、ランチの時間はこだわりがあって、12時プラスマイナス15分が許容範囲。山行に限らず、普段からでどうも落ち着かったりする(笑)。 40分位でランチを済ませて、また行きますかね、で再出発。それにしてもさっきから度々、遠吠えの様な獣の雄叫びが下の笹ミキ沢の方から続いていて落ち着かない。熊じゃなければいいが。と、歩き出したとたんにポツリポツリ始まった。折角背負ったザックを下ろしてカッパを着込む。肌寒くもなってきた。 地図を取り出し確認。あと300m程このまま進み、尾根の突端部で取り付きだな、よし。更に先の尾根で西の平坦地へ出る案もあったが、諸々の雰囲気からして今日は止めとくか。風邪ひいてるし。けほっ。 そして予定地点から塔の峰へ。 登り始めはまずまずの歩き易さ、しっかり鹿道もありトレースして高度を上げる。あと250m位上げなければならないが、登り始めそうそう結構キツイ。やっぱり体調が万全でないからか、ここまでの新道が緩いながらも上り続きがボディーブローの様に効いているのかは不明。けほっ。 徐々に笹丈も上がり、気がつくと鹿道も怪しくなる。あえてピークに向かう獣はいないのか。そして白樺、カラマツの疎林が見えて笹は胸丈に達し、完全に薮漕ぎ状態に。 左の林へ方向を変え笹から逃れて、あと50m位か。ゴールは目前。 いつの間にか、気がつけば雨は止んでいたが山頂から望む庚申山方面はガス、更に右奥の盟主様は頭を隠している。 半年ぶりの景観を楽しむも、冷たい風がかいた汗を冷やし途端に手もかじかむ。 真新しい山名板をまじまじと眺め、後ろの文字も確認すると「...gare」は読み取れた。うむ。 ささやかな感じの板を入れて遠景撮影などを楽しみ、エコーを1本。コーヒー啜りながらさらにタバコに火をつける。 残念だなぁ。こうもガスじゃ、なんて思っているとまた雨が降りだした。 30分経った頃にはすっかり体は冷え、指先も鈍くなってきた。カッパのジッパーを上まで上げ、ザックを背負い東へ下り始める。 笹の中の踏み跡はまずまず明瞭だが、途中で左手の派生尾根へ向かうため、跡を外して腰丈の笹薮へ突入。前回も少し迷った場所だが、相変わらず分かりにくい場所だ。 そのまま踏み跡に誘導されて直進するとあらぬ方向に行ってしまうが、後で行ってみようか。 この頃から雨脚は強まる。 フードも被り、修行僧の面持ちで鈴を響かせ警戒レベルもアップしての尾根下降。 どうもフードは嫌いで、視界が狭くなるのも然りだが、周りの音が聴こえずらいのが不安を煽る。刺客はすぐそこだからね。 百均の鈴を付けたポールは、さながら金剛杖の様。勝道上人はこの道を通っただろうか。通ってないか。 降ったり止んだりを繰り返し、時折見える沢入山、ブナを紅葉の葉っぱ越しに眺めながら尚も下降を続けると、注意ポイントの尾根分岐を左に進む。更に今度は尾根型を外しての派生尾根方向へ暫く斜面を進むと、見覚えのある岩の点在する急斜面にでた。 ここを下れば熊の平はもうすぐ。 時計に目をやる。 予定より早いな。久しぶりの平坦地をのんびり歩き、木の上の熊棚なんかを眺めつつぶらぶら。 そういえば向山はまだ行ってなかったな。 時間的にも気分的にも余裕があるし行ってみるか、向山。 序盤から獣道があり、たどる。 ザレた岩っぽい斜面だったり、灌木帯だったりだがこれといった明瞭な尾根筋じゃないので、獣達も思い思いのルートをたどる様で、あっちこっちに複数の道が存在するが、通り易そうな所を選びつつ、時折変更しながら進む。 やがて別方向からの獣道が合流すると山頂はすぐそこ。 山頂付近はツツジの類の薮の中にポッカリ土が露出したハゲがあるだけで、ほかには何もなかった。なかったので、一応ケルンを積んでおく。それでも周りはそれなりに色づき、晴れていればなかなか気持ちいい場所かもしれない。さて、さっさと北東へ薮を分けて進むと、岩斜面の展望地へ飛び出た。 ここからは仁田元沢を見下ろせ、スリット堰堤も確認できた。普段見られない角度からの観察は得るものは多い。こうして次のルートに繋げる貴重な資料となる訳だ。 更に稜線上を100m程進んでから、進路を右にほぼ直角に変更し、南東の派生尾根を目指して下降を開始する。 しばらくは尾根型にはなっていない斜面は、天候具合も相まって薄暗い雑木林の地味な斜面。ほどなくすると尾根型は明瞭になりだし鞍部へ到着。70m程下ったか。 目前には登り返しの斜面が始まる。 地形図を確認する限り小高い丘程度ではあるが、岩マークが気になる。行けるだろうか? 登り始めてすぐ、ツツジ藪っぽい所を抜けると前方に突然岩ドームの様な岩峰が現れた。ドーンて感じで突然に。さて、どっちから巻こうか。右には踏み跡はあるが。なんて思いながら岩斜面を観察すると、意外にも順層というのか階段状にはなっている。高さも10m程度で行けそうだ。折角だから登ってみるか、向こう側は分からないがダメなら戻ってくればいい。現時点では雨は上がっているが、岩は当然濡れている。慎重に上がる。 頂上部に立つ。 うっほーい、なかなか良いじゃない。頂部は意外と安定した平らな部分もあるし。休憩にはもってこいだな。 周囲を見下ろす様な標高ではないが、360度見渡せる。雲に隠れてはいるが、奥には男体山、手前には赤倉山と半月山から社山の稜線、大平山。更に手前に横場山から中倉山に続く尾根の輪郭など新鮮な角度だ。当然南側も視界良好だが、あまり興味が無いのでチラ見程度(笑)。 なんて楽しんでいると、背中側から日差しが射し込み、仁田元沢辺りから虹が立ち上った。おおー、なんて歓喜してるとみるみる内に虹は伸び続け、気がつけば備前盾山側からも出現した裾と合わさり、最終的にはなんと円形に近い丸ーい虹。これは凄い、こんなの初めてだ。たぶん残りの人生でもこれっきりだろうな。なんて感慨深く拝み、自然の神秘を満喫したのでした。 一服したし、コーヒーも飲んだし、そろそろ行きますかね。とりあえずまたケルンを積んでみたりしながら帰路方面を観察し、この場からの岩峰下降ルートも思案する。 ここからはもうすぐ、このまま進んで鞍部経由かなとも思ったが、少しでも新ルートで行きたい冒険心は衰えておらず、従う事にする。岩からの下りも特に危険はなく降り立つち、その後なだらかな尾根筋をスタスタ進みんだ後、方向を右に変更。一部急な斜面をつづら折りでやり過ごし、住居跡地の石垣なんかをブラブラと散策しながら駐車場へと戻ったのでした。 今回、終日晴れていれば各展望地でももっと楽しめたかも知れないが、また新たな視点からの眺めや貴重な体験も加わり、修行ばりながらも得るものは多かった気がする。たぶん。
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