活動データ
タイム
08:08
距離
15.9km
のぼり
1109m
くだり
1100m
活動詳細
すべて見るこの秋楽しみにしていた山行、雄冬山に登って来た。 増毛山道が復活したことによって無雪期でも雄冬山に登れるようになった。 入林に関しては予め留萌振興局等に申請が必要となる。 増毛山道の会の会員でもあるIHさんのセッティングで今回の山行となった。 雄冬岬岩石公園を散策、岩尾温泉で夕日を眺めながら温泉につかった後、丹保旅館に前泊する。 事前に各自用意したお酒と宿の肴で登山祈願の宴を開く。 アイヌネギのギョウザ、イカゴロのルイベやら山の幸やら海の幸満載の美味しい料理で自然と会話も盛り上がる。 宴が終わって就寝となるがイビキの大合唱と布団の上のハエの死骸には興醒めしたが、その程度の事は山屋は気にしない。 予定通り5時起床し、各自サーモスにお湯を入れ宿を出発。 6:40頃、幌の林道最終地点に到着。無雪期だと大阪山の直ぐ傍まで車で上がれるのが嬉しい。 準備を整えて6:55林道最終地点を出発する。 山道と言っても最初は林道を進む。 林道を少し進むと「H-1」の番号標識が現れる。ここからが増毛山道となる。 番号標識は100の区間で区切られており区間距離は約3km程度とのこと。 幌から行くとH-○○となり岩尾-別苅から行くとIB-○○となる。 最初のうちの山道は標高が低いので木々に囲まれ眺望の無い笹地を黙々と進む。 天気予報は晴れだったが雲天で雨が降ってもおかしくない空模様だ。 山道を進んで行くとダケカンバが多く見られるようになる。 冬の厳しさからか腰の曲がったダケカンバがいい雰囲気を出している。 山道整備を兼ねて、飛び出した笹を折ったり、道に落ちている倒木を山道脇に寄せながら進んで行く。 C800mあたりで一等水準点8461の標識を見つける。 写真撮影などしながら休憩をとる。 C850mあたりから薄曇だが浜益の海岸が遠くに見えた。 このあたりから尾根ぽくなり多少眺望がきくようになり、ニセ御殿が見えてくる。 尾根を黙々と進み8:45、北海道で2番目に高い場所にある一等水準点8462に到着。 北海道で一番高い水準点は美瑛町にある二等水準点10778の1330.193mだが、一等水準点で一番高いのは、この8462になる。 ちなみにこの水準点を測量した技師の杉山正治は、日本で初めて太陽コロナの写真撮影に成功したことで知られている人だ。 なぜ測量技師と太陽コロナ?と思うかも知れないが、今でこそGPSの時代だが昔は天文観測によって経緯度を算出していたからだ。 水準点から進んで直ぐに浜益御殿山頂へ到着する。 冬ではお目にかかれない山頂標識と三角点を記念撮影し休憩をとる。 ここから雄冬山に向かって山道は緩やかに一旦下る。 鬱蒼と茂る笹地を切り開いた山道の中を進んで行く。 生い茂る笹は、かなり茎が太く山菜名人のSIさんが「いい根曲がり採れますよ」というとNHさんが「だからって、わざわざこんな所まで来ないでしょ」とやりかえす、ごもっともである。 「ほんとこの山道ときたら、何も無いね」とぼやいていたSIさんだが、木の裏に付いていたムキタケを目敏く見つける。 家にあるから、ほしいならどうぞというので、ありがたく頂くことにする。 棚ぼたで山のフカヒレをお土産にゲットした。 歩いている途中、スパッツのゴムが刈った笹に引っかかって何度か転びそうになる。 よく見るとゴムがボロボロになっている。刈った笹が剣山のように靴底のゴムに襲いかかった結果らしい。 少し晴れ間が差すようになり、天候が回復しつつあるようだ。 下りきったあたりから目指す雄冬山が顔を出す。 881ポコあたりから浜益岳が見える。このあたりから右手の眺望が良い。 雲も流れて、この分だと山頂からは良い景色が望めそうだ。 俄然テンションが上がってくる。 徐々に勾配がきつくなってくる。 C1000mあたりからきれいに見える群別岳や暑寒別岳の山並みを眺めながら上る。 山道はC1030mあたりから巻くように上って行く。 「400m先雄冬山山頂」の案内標識が見える。 ここから山道を離れて雄冬山までの登山道となる。 登山道は山道と変わらない笹刈りされた歩きやすい道で傾斜がきつく、山道とは違いペースがぐっと落ちる。 登山道で今まで見かけなかった熊の糞を発見する。 山頂に近づくと笹地から這松帯に植生が変わる。 11:10山頂到着。 山頂標識は無く、代わりに今年の9月に設置されたばかりという増毛山道開削の祖である伊達林右衛門の功績を称えて建てられた「林右衛門の座所」と彫られた記念標柱が出迎えてくれた。 山頂はガレ場になっており、遮るものが無い山頂からは360°絶景のパノラマが広がっている。 先月登った暑寒別岳が良く見える。 暑寒別岳から鋭角に見えた大ガンケは、雄冬山側からだとピラミッドっぽく見えた。 群別岳や浜益岳、登って来た浜益御殿と奥に見える日本海を写真に収める。 SIさんに記念柱と一緒に写真を撮ってもらう。 這松の奥に三角点があるというので拝みに行く。 これだけ眺望が良いので、みんなは当然一等三角点だと思っていたようだが、残念ながら雄冬山は三等三角点である。 行動食を摂りながら休憩していると男性2名が登って来た。 そのうちの一人はアルミの脚立を担いでいる。 登って来たのは増毛山道の会の方達でIHさんと親しく会話している。 山頂からの景色を満喫して11:50下山を開始する。 良く整備された道なので下山はズンズン下る。 上り返しもあったが御殿までは、あっという間に着いた。 歩き易いが距離はある。ここから林道までが長いこと長いこと。 尾根を過ぎると笹原の森に突入するので景色の変化も無く飽きてくる。 もうすぐ林道というあたりで光が当たった桂の木が黄金に輝いてきれいだ。 15:00林道最終地点に到着。温泉で汗を流して帰ろうということで車に乗車して一路浜益温泉に向かったが残念ながらボイラーの不調で臨時休業。 そのまま札幌に戻ることになる。 帰りの車の中でIHさんから聞いたところによると、今日登って来た増毛山道の会の2名が主要なメンバーで、私財を投げ打ってこの増毛山道復活に尽力しているとのこと。 最初は何も無い薮から昔の山道の痕跡探しが始まったということで、いくら薮になったと言っても微かな踏み跡が残っているとのこと。 だが3mを越す熊笹の中から山道を見つけ出すのは大変な労力だ。 しかしそれを見つけたときの喜びは宝探しに近い感覚なのかもしれない、その地道な繰り返しでついに27kmに渡る増毛山道の再生を完了した。浪漫を感じずにはいられない話だ。 ブラタモリでよくタモリが「歴史は隠せないんですよね、ちゃんと残ってるんですよ」と言うが、これもそうだろう。 おかげで無雪期でも雄冬山からの素晴らしい景色をみることが出来た。感謝感謝だ。 機会があれば別苅側からも登ってみたいと思う。
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