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槍ヶ岳ソロ 氷と雪崩にヒヤヒヤした二泊三日間

シュンさん YAMAP Meister Silver

  • YAMAPマイスター:シルバー
  • 自己紹介:はじめまして。
    北南アルプス、奥秩父など関東を中心に登ってます!
    春~秋はわいわいと、冬はしっぽりと。
    思い出の山は初テント泊をした瑞牆山。
    最近は積雪期のソロテント泊に進出しています。

    直近では、夏→奥穂、春・秋→妙義、冬→赤岳あたりに行ってます。

    ソロ/パーティー比率は半々くらい。
  • 活動エリア:
  • 性別:男性
  • 生まれ年:1988
  • 出身地:
  • 経験年数:10年未満
  • レベル:中級者
  • その他 その他

穂高岳・槍ヶ岳・上高地

2016/03/21(月) 08:55

 更新

槍ヶ岳ソロ 氷と雪崩にヒヤヒヤした二泊三日間

公開

活動情報

活動時期

2016/03/19(土) 09:10

2016/03/21(月) 08:53

アクセス:677人

軌跡・時間・距離

軌跡データをダウンロード
累積標高上り 3,957m / 累積標高下り 3,956m
活動時間20:18
活動距離25.28km
高低差1,975m

写真

動画

道具リスト

文章

電池がガリガリ削れるため、活動地図は飛び飛びです。

【コース】
[一日目]新穂高温泉0915発~白出沢出合1100~槍平小屋1500
[二日目]0200起床。槍平小屋発0315~奥丸山0420くらい~千丈乗越(中崎尾根経由)700~槍の肩1010~槍~槍の肩1100~槍平小屋1615(中崎尾根を途中で飛騨沢に降りる)
[三日目]0400起床。槍平小屋発0515~新穂高温泉0845

【記録】
雪山の締め括りに、2泊3日で槍ヶ岳へ。荷物を軽くしたこともあり、体力的には問題なく、しかし危険箇所続きで精神的には疲弊しました。

体力そこそこ、登りが遅く下りは強い。ルートファインディングに難ありと、自分の今の立ち位置を再確認できました。

道間違いは主に3回。
ひとつ目は出発直後の新穂高小屋へ向かう前に早速、右に折れるところを見落とし小屋の裏まで出てしまいました。50メートルほどルートを外れ直登しましたが、ほぼラッセルで体力を消耗。

二つ目は、二日目の千丈乗越に出る直前。先行する猛者の後をなにも考えず着いていった結果、少なくとも70度はある切り立った氷の斜面を30m程直登することに。生きた心地がしませんでした。

三つ目は、千丈乗越~槍の肩の間にて。大きな岩を右に巻くところ、岩の左の氷と岩の斜面ををこれまた直登してしまいました。今度は一人で進む勇気がなくなり引き返し、30分以上のロスに。

・一日目
初日は意気揚々と新穂高を出発。これから雨が止まないどころか強まるとも知らず、無邪気に小雨の中を歩きます。
9時過ぎ発で、全面ラッセルの可能性も考えて17時槍平着を最終期限としていました。
途中コースを迷いながらもラッセルはなく、白出沢出合をコースタイム通りに通過。いい感じ。

今回はエネルギー切れ対策として、全食料のカロリー中3/4くらいを行動食にし、歩きながらも1時間に150キロカロリーを計画的に摂取していく作戦を採りました。
お陰で疲労によって足が止まることは殆んどありませんでした。
荷物も、2月の八ヶ岳でポールが曲がったテントは持たずツェルトのみ。最大で20kgちょっとかなり軽量化したため、全工程を通じて体力には余裕がありました。

白出沢出合からしばし歩くと、雪崩のデブリをトラバースする箇所に出くわしました。30mくらいの谷間をヒヤヒヤしながら通過しほっとするもつかの間、また次の雪崩跡が。
合計5箇所あり、たまに後ろから聞こえる雪崩の轟音は、強まる雨足と共に精神をガリガリ削ってくれます。

心理的要因に加え、腐った雪に足を取られながらの登り。滝沢避難小屋から槍平小屋まではコースタイムを大幅にオーバーし、出発から6時間近くかけながらもなんとか小屋が見えて一安心。15時頃に槍平に到着しました。

冬季小屋の中には先客6名(4人パーティと二人パーティ)がいらっしゃり、そのテントを横目に僕は雑魚寝の体制を整えます。
その後ソロの方(以降、猛者と称します)がひとり到着。1245新穂高着のバスに乗ってきて、3時間半でここまできたとのこと。すごすぎる!

雪を溶かして水を作ったり、外の景色(夕方の終わり際にやっと晴れた!)を眺めながら8人で和気あいあいと翌朝の計画を練ります。

結局、荷物を担いで槍の肩まで上がり小屋泊する翌日のプランは変更することに。皆さんに合わせて槍平小屋に荷物をデポしてピストンすることとしました。
主な理由は、①ラッセルとトレースを共有するため、②雪の状態が良さそうなこと、③明日の天気が安定していて終日行動できそうだったため。
流石にここに来るだけあって、色々な経験を積まれている方ばかり。お話していてとても楽しかった!

明日は猛者と僕のソロ組と、明日中に下山する二人パーティの4人が先行。4人パーティの方はその後を行く取り決めになっています。

2時起きといっても19時に寝ればたっぷり7時間睡眠。2月の赤岳でも余裕のスペックを見せつけてくれたMY寝袋、イスカair1,000は暑いくらい。熟睡です。


・二日目

予定通り朝2時に起床。気温はそこまで低くなく、寝袋をしまう作業で体は十分に暖まります。
荷物をある程度片付け、猛者の5分後くらいに小屋を出発。今日一日は時間との勝負。槍平小屋への最終帰着期限は18時と定めての行動です。
二人パーティの方々も僕の5分後くらいに小屋をでたらしく、下から追ってくるヘッドランプになんとなく対抗しながら黙々と尾根を目指して登っていきます。

中崎尾根へ出る登りを先行ラッセルしている猛者には流石にすぐ追い付けるかと思いきや、奥丸山頂上まで追い付けませんでした。なんて体力だ。
奥丸山にて僕と二人パーティの片割れ(Iさん)がようやく猛者に追い付き3人で今後について相談。二人パーティのもうお一人は遅れており、残念ながら断念。Iさんは千丈乗越まで登り詰め、槍を拝んで帰ることに。

中崎尾根を辿る道中に日が昇りはじめ、山々の稜線から裾野が徐々に白日のもとにさらされ光輝いていくさまに、まだ見えぬ雪化粧の槍への期待が高まります。
その意気込みが変な方向に走ったのか、中崎尾根から千丈乗越まで乗る途中、本来巻くべき氷の急坂を直登してしまう我々。なんなんだ、これは。
少なくとも70度はある氷壁を登る自らに興奮しつつも、一歩でも誤れば数百m滑落。自らの命を託すのは、いつ剥がれるかわからない氷にアイゼンとアックスの爪のみ。恐怖に身が震えました。

そんな震える体も、なんとか千丈乗越へあがると姿を見せた槍の姿に奮い立ちます。
Iさんとはここでお別れ。槍をバックにお互いの写真を撮り合い、FBで連絡先を交換し、7時半に千丈乗越を二手に別れて出発です。

槍の肩までは、一度ルートを間違えて引き返すもそれほどの危険はなく到着。肩から眺める目前に控えた槍。夏の荒々しさとはまた違う、上品な立ち振舞い。この頂のため、文字通り必死にここまで来たのだという思いに涙が出ました。

そんな思いに浸りながら槍の肩を眺めていると、ちょうど猛者が降りてきているところ。氷でガチガチだという情報を貰い、大喰岳経由で下るという彼を見送った後、10時にいざ穂先へ出発!

槍には、情報通り雪はほぼなく氷と岩のミックス。ピッケルとアイゼンの刃が3cmほど刺さる程度の氷で、所々に顔を出している岩に気を付ければサクサク登れます。ダブルアックスだともっと楽なんだろうな。

最後のはしごを登ると先行の方が一人いて、1030頃、恐らく自分が本日3人目の穂先登頂者に!
先行の方が降りられると、冬の穂先を独占します。360度、何にも邪魔されることのない自由な視界。もう、なにも言うことはありません。

風は殆どなく、動きたくない気持ちはあったものの、下から上がってくるスキーヤーの方と、広がるガスが千丈乗越をも飲み込む急速さを見て下山を決意。スキーヤーの方はストックの先に刃がついたダブルアックスで、ベテラン臭ぷんぷん。いま振りかえると、この日穂先に登れたのはこのソロ4人だけだったのかも知れません。

氷壁のクライムダウンも今日一日で馴れたもの、さっくりと穂先を降りて、先ほどの方と情報を交わし、中崎尾根経由で自らつけたトレースをたどり返すのが正解と判断。ガス中の道迷いは洒落にならないのです。

11時過ぎに寝袋の待つ槍平小屋に向け下りはじめ、急いだものの、槍の肩から千丈乗越への途中でガスに巻かれて視界は10mもなくなります。しかも、気温が上がって雪が腐り、氷の上に15cmほどの雪が積もるという最悪の状況に。アイゼンは氷に届かず、蹴り込めば雪の層ごとすべってしまう。結局お尻をつけて引きずりながら、ずるずるゆっくり下ることに。
視界がなく孤独で気持ちとしてはここが一番辛かったかもしれません。

中崎尾根に降りる途中、小屋で一緒だった4人パーティとすれ違い情報を交換。彼らの持ち時間が大丈夫か気になりましたが、自分の心配でいっぱいいっぱい。
その後、中崎尾根上では登ってくるパーティと2回すれ違い、不安が和らぎました。
そのうち1パーティは尾根上で一泊して明日アタックするとのこと。根性あるなぁ。

ここから雪は本格的に腐り、坪足ラッセルの強行軍に。下山後に足を見ると、脛がアザだらけでした。つらかったものの、補給を欠かさなかったお陰か体力的にはまったく問題ありませんでした。
中崎尾根の半ばで雪崩はないと判断し、霧中に尾根から滑落するよりはと飛騨沢に降りてラッセル。ガスで終止視界がない中、1615に槍平小屋に到着してようやく力が抜けました。

槍平小屋には明日アタックするというソロの方が二人いて、明日槍に登る/今日登ったという興奮に話が咲きました。そのうちのお一方は2月に2回同じルートで敗退していて、今度こそとのこと。
やはり今日の登頂は運があったんだなぁ。

お二人から猛者が13時前に槍平に降りたことや、穂先で僕の後ろにいたスキーヤーさんとすれ違った話を聞き、自らの未熟さを反省。いつか彼らのようになりたいものです。
一方で、なかなか帰ってこない4人パーティの方々。心配していましたが、18時前に帰ってこられました。タイムオーバーで穂先までは行けなかったと残念がられていましたが、無事でおられて何よりでした。

ソロのお二人は12時に起きて翌日中に下山するとのことで、早めの就寝。やることのない僕も、ジェットボイルで雪を溶かして山専ボトルに詰めれば、これが山中最後の晩餐、臭いを気にせずカップヌードルカレー味を存分に楽しみさっさと就寝することとします。軽量化のためコッヘルさえ置いてきたので我慢していたのです。臭いが着くことがわかっていても持って来ざるを得ない。そんな魔力がカレーには宿っているわけです。

4人パーティの方は明日6時起きとのことでしたが、雪崩が怖い小心者の僕は4時に目覚ましをセット。
目を閉じても、日焼けと雪目の痛みと瞼の裏へ焼き付いた槍の映像がなかなか寝付かせてはくれませんでした。


・三日目
三日目は、5時過ぎに小屋を出て下山開始。

途中から雪溶かし水に猛烈に飽きて、コーラを飲みたいという欲望しか考えられなくなりながら、さっさと下山しました。

予想通り、日が出る前だと雪崩テブリのトラバースも怖さが殆どないのです。

下山後は下山届けを出して温泉へ。冷えきった手と足がなかなかお湯につけられません。また、二日目ゴーグルとサングラスを殆ど使わなかったせいでひどい雪目に!
ウサギみたいな見た目は、いいサングラスを買うことを強く決意させるのに十分なインパクトがあります。こんな切っ掛けでもないとオークレーには手を出せないし、いい機会。

温泉に浸かりながら、昨日の二人は無事穂先に行けたのだろうか、もう下山中だろうかなどと既に遠き槍ヶ岳に思いを馳せ、11時には帰路につくのでした。


【情報】
・新穂高温泉~白出沢出合までは危険箇所なし。
・白出沢出合~滝谷避難小屋まではブドウ谷、チビ谷を中心に4箇所雪崩のデブリを渡る。槍平小屋で聞いた話によると、二週間前からデブリがかなり増えているとのこと。日が昇りきる前の通過が望ましく、その場合新穂高温泉を朝4時頃出る計算になる。僕は出発が遅かったため、随所で雪崩の轟音が背後に響いて恐ろしかった。
・中崎尾根は日が出る前は足がそこまで沈まなく歩きやすい。昼以降は飛騨沢も含めて坪足ラッセルが続き難儀する。
・中崎尾根~千丈乗越に上がる道中は要注意。大きな岩の壁を右に巻いて上がるのが正解。
・千丈乗越~槍の肩まで、所々で氷結した箇所が出てくる。
・槍の穂先は雪は少なく、全面的に凍りついている。ピッケルとアイゼンが刺さらない箇所はなく、それぞれの刃が3cmくらい刺さる程度。梯子も必要な箇所は氷が落としてあり問題ない。僕を含めシングルアックスで登る方が3人いたが、ダブルアックスが安全か(他に見かけたのは刃付きストックのスキーヤーさんのみ)。
・僕を含め中崎尾根経由のパーティが多かった。猛者は大喰岳から降りていったが、かなりの経験かつ健脚。飛騨沢経由の方も見かけたが、下山途中に途中から飛騨沢に降りたところ、雪崩のデブリが所々に。要注意。

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