室戸貫歩に初参加。高知大学から室戸岬まで歩いた。

2018.11.24(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
22 時間 30
休憩時間
2 時間 36
距離
91.8 km
のぼり / くだり
764 / 759 m
20 45
1 45

活動詳細

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室戸貫歩に参加した。これまで単独で、勝手に歩いてきたが、こういう大会ははじめて。以前、遍路したとき当然、室戸岬から高知市内まで歩いていたが、今度は逆に高知市内から室戸岬まで歩く。約90km。30時間以内。 条件:24時間でゴールできなければリタイアする。それ以上、時間をかけても歩き切れる自信がないから。 目標:20時間以内のゴールを目指す。そうすると平均時速4.5キロ以上となり、100キロ24時間以内踏破が見えてくる。 作戦:とにかく眠くなる前にできるだけ距離を稼いでおく。 南国市内に前泊して、高知大学に8時45分についた。高知大学の前にはテレビカメラと出発を待ち構えるアスリートたち。気合いの入れ方がやばい。マラソン大会に来ちゃったかな。 受付を済ませ、便をひりだして(おなかの具合が不安要素)、後ろの方につく。周りは学生さんばかり。 「うわ、ドキドキしますね」 「そんなん言えるのは今のうちだよ。一年生しかいないよ」とか言って、キャピキャピしてる。 まあ、急ぐわけではない。順位を狙いたいとは思わない。近年、トップは日が暮れる前にゴールしているというが、そんなのについていった日にはきっと20分ももたない。出発してから10分くらいは学生さんたちに混じって歩いたが、身内や仲間同士の和気あいあいとした、学生さんのいかにも学生さん!といったペースに合わせられないので、ぼちぼちペースを上げていくことにした。 鏡川河畔で集団を追い抜いていく。サンタや着ぐるみやド派手なアフロかつらをかぶっている学生さんがいて、あれで明日まで歩くのかと感心する。前の方に行くほど年配になっていく。みな、きっと、体力のあるうちにゴールを狙っているのだろう。 とりあえず、道もよくわからないし、前の人についていくことにしたら、大幅に推奨コースからコースアウトしてしまった。五台山の方まで来てしまった。別に推奨コースを歩かなくてもいいらしいから、懐かしの遍路道をちょっと歩くことにした。とはいえ、寺まで寄っていると、体力を削るだけだ。先は長い。高知空港を経由し、赤岡駅に出て、推奨コースである国道55号線に合流することにする。 途中で、おばちゃんに 「あんた歩いていくのか」と声かけられた。 「はい」 「テレビでやってた。どこまで行くのか」 「室戸岬まで」 「ひゃあ」 そりゃあ、ひゃあ、ですよね。 高知空港のわきの公園で、相方と合流。お弁当。1時間半ほどゆっくりする。きれいなトイレあり、東屋あり、理想的な野宿遍路スポットだね。家族連れが多く訪れ、活気がある。関空より間近に飛行機が飛んだり、降りたりするのを眺める事が出来る。これは楽しいよね。 赤岡駅に出る。ここから先、定期的に駅があり、トイレがある。トイレの心配が減るという事はとても良い事だ。国道に出ると学生さんが数人ずつの塊でゆったりと歩いている。推奨コースを歩くよりも、3キロほど遠回りをしてきたようだ。 日が暮れないうちに、安芸市に入っておきたかった。駅と道の駅には必ず立ち寄り、トイレを済ませ、時速5キロを目安にした。芸西村の国道では軽トラのおっちゃんに 「みんな歩いていくが、なんかあるのか」と声をかけられる。高知大学から室戸岬まで歩くイベントなのだと答えると「へえ」と驚いている風だった。まあ、ここから室戸岬までだってかなり距離があるよな。 じゃっかん、膝に違和感を覚えたが、テーピングの効果なのか、すぐに目立たなくなった。6月に右ひざを強打して以来、長い距離を歩くと膝が痛み出してきたが、今回はこれまでになく長い距離を歩くので四段階の対策をした。 ①テーピングして予防する。 ②バンテリンを塗る。 ③シップする。 ④痛み止めをのむ。 歩ききるまで①だけで済んだのが幸運だった。 安芸に入って間もなく日没。55号線に合流して、はじめて追い越される。足をひきずりながらも走っていくお兄さんに追い越されたが、その後、無事にゴールできたのだろうか。日没後、足の痛そうな様子の人が目立ち始める。先頭はもうゴールした頃合いだろうが、こちらがまあ普通だよね。 歩きながら、遍路しているときに、これにぶつからなくて、ほんとによかったと思った。休憩できるところにはすべからく疲弊した参加者がいて休むスペースが開いていなかったり、国道沿いで野宿していてもひっきりなしに横を人が通って行って落ち着かなかっただろうから。まあ、歩き繋げていかなければならない遍路と違って、こちらは泣いても笑ってもぶっとおしで歩けばいい。一回の距離は長いが、やることはとてもシンプルだ。 奈半利で、うしろからペタンペタン音がするから何かと思ったら半ズボンにサンダルつっかけてかばんを肩にひっかけたおっちゃんだった。信じがたいが、あの恰好でここまで歩いてきたようだ。でも、100キロウォークの参加者のブログにサンダルで歩いている人がいるとはよく出ている。この人か。 日付が変わるころまで抜きつ抜かされつつだったが、日付が変わったあたりで疲れが出た。食料をとり、だいたい速力半減といったところで1時くらいに羽根岬につく。炊き出しをやっていて、おにぎり、いもてん、トン汁をいただく。身体の芯にしみわたる。もう、これだけのために来年もトライしたいなと思わされる。 のこり25キロ。減速はもうしかたがない。稼いだ時間を取り崩しながら、歩ける速度の範囲で歩く。仲間の支援のためか、駐車場という駐車場に車が止まり、学生さんたちがたむろしている。こうした支援を期待できるから、ほとんど空身なんだなとわかる。リタイアを想定して、夜明かし装備ももっていると、その重さがしんしんと応えてくる。まあ、常に20キロオーバーの荷物をかついでいた遍路の時よかずっとずっとましだけど。 室戸市に入る。室戸市に入っても先は長い。室戸岬までなお歩かなければならない。ラジオは入らない。単独者は孤独だ。孤独はストイックになる。なんでこんなストイックなことしているんだろう。追い越したり、追い越されたりする学生さんたちをみると、まだお話をしている。スタートしてから十数時間、まだ話し続けられるのか。人間は、やはり、ホモ・ロクエンス(話す人)なんだな。 浮津あたりで、高知大学の学生さんとしばらく一緒に歩く。サークルで参加しているが、それぞれのペースでバラバラに歩こうということで、一番が1時15分、2番がいましがたゴールしたという。時刻は5時くらい。さすがに早い。 漁港あたりでスタミナ切れ。朝日で山の向こうがどんどん明るくなっているのを見る。車から、犬の散歩している人から、がんばれよ、もうすこしだと声かけられる。ゴールは結局、目標時間を大きく超えてしまったが、条件はクリアできた。 順位は百十番台。思っていたよりも良かった。朝、相方に乗せてもらい、高知方面へ向かった。車から歩く人たちの姿が見えた。足をひきずりながら、なお前へ向かって進んでいる。サンタも着ぐるみも歩いていた。あの恰好で歩いているとはさすが学生さんだ。 学生さんのイベントに混ぜてもらった感じで、なんだかアウェー感がハンパなかったが、参加させてもらってたいへん楽しかった。毎年、企画されている高知大学の空手部の人たちには頭が下がる。 と、同時に歩きやすさでは、四国は群を抜いていると改めて思った。誰でも休憩できるスペースが充実している。お遍路さんだけでなく、地元のおばあちゃんもそこで休んでいたりしている。誰でも休むことのできる。これって旅人にとっても、また身体が弱った時でも、とても助かる事ではないか。一度も休まずに、いつも歩いていることはできない。人間には休むことが大事なのだと道が教えている。そんな気がした。

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