カムイエクウチカウシ山 頂上テン泊

2016.07.16(土) 2 DAYS

チェックポイント

DAY 1
合計時間
14 時間 44
休憩時間
4 時間 30
距離
16.4 km
のぼり / くだり
1734 / 267 m
DAY 2
合計時間
12 時間 8
休憩時間
3 時間 41
距離
16.6 km
のぼり / くだり
286 / 1759 m

活動詳細

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カムイエクウチカウシ山 この山の意味は、アイヌ語の「熊(神)の転げ落ちる山」というようだ。その名前からもかなり急だということが想像できる。 【北海道の山】という本で、唯一体力度4、危険度4と両方がMAXの山。昔その本を見た時に、いつかは登りたいと漠然と思っていた。そして今までにいろいろな経験を積んできた。また、今回はこの山を登るために、ヘルメット、澤靴、その他いろいろなものも追加で装備した。 カムイエクウチカウシ山(通称カムエク)を登頂するには、登頂前後の天候が良くなくてはならない。理由は川の中をずっと歩いて登って行かなくてはならないからだ。もし雨が降ると川が増水して渡渉するのに危険度が増してくる。最悪、帰ることが出来なくなってしまう。幸いにこの7月の3連休はあまり天気の崩れがないようだが、最終日は降水確率が高くなっている。できるだけ前半の2日以内に登頂して戻って来なければならない。 出発は札内ヒュッテから。しかし、札内ヒュッテから7の沢出合までは雪崩の関係で通行止めになっている。そこで何度か役場に連絡して通ることができるか確認した。すると、「みんな釣りや登山のために自転車や徒歩で通ってますよ〜」「では、通行は出来るのですね?」「それは何とも…」と、歯切れが悪い。『何か事故があっても通行止めにしているから、こちらは責任を持ちませんよ。自己責任でお願いします。』ということらしい。本来なら通行したらダメなので、札内ジャンクションピークから登頂しなければならないが、そうすると3日以上かかってしまう。雨予報も出ているので、今回はヒュッテから出発することにした。 札内ヒュッテから7の沢出合まではかなり新しいトンネルと覆道が2つずつある。片道7kmということで自転車を使う人が多いが、何とモンキーバイクで通行しているツワモノもいた。荷物2つと奥さんを運ぶため、3往復するという。 7の沢出合から8の沢出合までは広い札内川を渡渉しながら進む。行きは川の中をそのまま登って行ったが、帰りに川岸にいくつも脇道があることを発見した。しかし、増水していなかったら川の中を歩いた方が早いかもしれない。実際、帰りにその脇道を歩いていたら、熊の唸り声が聞こえてきた。 長い2時間の渡渉が終わったら、8の沢出合のキャンプ場に着く。ここには3連休ということで、たくさんのテントが張られていた。70過ぎのおばあちゃんから「昨日はいい天気だったのよ〜、今日も大丈夫だから頑張ってね〜」と、声をかけられる。すごい体力だなと感心する。ちなみにカムエクのガイド料は58000円だそうだ。これだけあれば最高級テントが買えると思ったが、年配者にはカムエクに登れるとすると安いのかもしれない。自分はここにはテントを張らず、もう少し見晴らしの良いところに張ろうと考え、重いザックをもう一度担ぎ直した。 8の沢出合からは倒木だらけの荒れた川を上がって行く。ここからがルートを見失いやすい。毎年川が氾濫して、ルートが変わるからだ。まあ、川を登ればいいだけだが、ルートにはピンクテープではなくて石が重ねて置いてある。また、急なところや、滝があるところには巻き道があるので、よく見てから登るといいかもしれない。しかしながらかなり長い!なかなか三股の滝が姿を現さない。それまでにかなり体力を消耗する。 やっと滝までたどり着く。三股の滝の下で澤靴から登山靴に履き替え、澤靴はそこの木に掛けておいた。滝は真ん中右側の急登を登る。ここからが本番。1000mの標高を一気に登る。テン泊用ザック20kgの重さがかなりこたえる。石狩岳のシュナイダー尾根も同じようにテン泊ザックを担いで登ったが、多分その倍くらい大変だった。すぐ隣が滝なので、一歩足を踏み外すと滑落は避けられないだろう。この日はかなりの登山者が入っていたが、自分を含めて事故が起きない事を願った。かなり危険なところにも鎖や紐がない。 急登を登りきったら、やっと8の沢カールだ。カムエクの頂上はガスがかかってあまり見えない。カールは平坦で水が豊富。しかし、ここは熊の巣とも言われている。1970年に3人の方が熊に襲われて亡くなっている。真っ先にその事故のレリーフに手を合わせる。ここでテン泊する気にはなれないので、6Lの水を補充し、この上の稜線でテン泊することにする。ザックの重量は26kgになった。 重くなったザックが肩に食い込む。やっとピラミッド峰が間近に見える稜線に出た。そこにテントを張ろうと思ったら、1張分のテン場はすでに張られていた。仕方がないので頂上にもテン場があるそうなので、ザックを上げることにした。ここからはハエマツだらけ。重い荷物を背負い、両サイドが切れている稜線を登る。コースタイム30分位の距離を1時間半近くかかっただろうか?やっと頂上直下のテン場にザックを置いた。 するとどうだろう。ずっと曇っていた山頂のガスが晴れてきたではないか。ザックを置いて身軽になった自分は走って山頂まで行った。まだ半分くらいは雲がかかっていたが、カールや登ってきた札内川の源流がはっきり見える。日も差してきた。重たい思いをしてまでザックを上げてきたご褒美かもしれない。今日、登頂した人はみんな雲の中だったと言っていた。しかし、30分位でまた雲に覆われてしまった。 テントを設営して、夕食を食べた。日没の時間になったので夕焼けを見ようとしたがまだ雲の中。それから間もなくして睡魔に襲われた。後でカールに泊まった方に聞いたのだが、その日は満天の星空だったようだ。残念なことをしたが、疲れで起きることができなかった。 日の出の時間は4時11分。3時45分に目覚ましをかけておいたので、すぐにテントから2分の山頂に行く。すると360度の展望が開けていた。少しすると真っ赤な朝日が雲海から上がり、日高の山々を赤く照らした。幌尻岳、戸蔦別岳、イドンナップ、1839、ピラミッド峰。みんな赤くなっている。素晴らしい眺望。頂上直下でテントを張って良かったと思える瞬間である。 しかし、気になるのが下山。かなりの距離、急坂を歩き、何度も渡渉をしながら、さらに雨の心配もして下山しなければならない。5時30分には準備して下山。しかし、すぐに小雨が降ってきた。カールまでは大丈夫だが、その下の急坂は登山靴では滑る滑る。澤靴をデポしてきた事をかなり後悔した。何度も滑ってザックの下をぶつけたので、ザックカバーに2カ所穴が開いた。でもザックが無かったら、自分のお尻を何度もぶつけただろう。長い長い距離を歩いてやっと7の沢出合まで着いた。もう川を渡ることはない。やっと安心して札内ヒュッテまで移動する。着いた時はやり遂げた達成感でいっぱいだった。総移動距離32.6km、8186kcalを消費。自分の山行で、1番苦労した山になった。【体力度4、危険度4】はダテでは無かった。まず、無事に帰って来れたことに感謝したい!

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