「高天神城」を記す

〈15世紀後半〉 この地の強い勢力が詰の城として 活用していたとされている （発掘調査により器などの年代が 　ちょうどこのくらいなため） 〈16世紀初頭〉 この地に入った今川氏の家臣 福島助春を城代として土方の城に駐屯させた 〈1536年〉 福島氏は花倉の乱により没落し 今川氏に服属した小笠原氏が城代となった 〈1560年〉 今川義元が桶狭間の戦いにて討ち死 これにより今川氏は衰退していく 〈1569年〉 武田信玄は三河の徳川家康と同盟し 駿河侵攻を開始し、今川氏は滅亡する 当主、小笠原氏興、小笠原氏助父子は 徳川氏の家臣となった しかし、武田・徳川は敵対関係に入り 駿河・遠江の国境近くにある高天神城も その角逐の舞台となってゆくのであった 〈1571年〉 武田信玄は「高天神城」や「足助城」 「野田城」「吉田城」の攻略を開始した 〈1574年〉 武田勝頼も25000もの大群で 高天神城を包囲し攻撃を加えた この時の籠城兵は10000 城主である小笠原氏助は援軍を期待したが ついに送られることはなかった 武田の猛攻をうけ　堂の尾曲輪が落ちた このとき本間氏清・丸尾義清らも討死　 残すは本丸・二の曲輪のみとなった やがて兵糧もつき 高天神城は開城した しかし　大河三郎だけが 武田への降伏に反対したため 本丸下にある「石牢」に幽閉された （第一次高天神城の戦い） 徳川家康は高天神城奪還のため 大須賀康高に馬伏塚城の改築をさせた 〈1575年〉 武田氏は長篠の戦いで大きな損害を受ける これを好機とみた徳川家康が 二俣城、犬居城を奪取している 上杉謙信没後の御館の乱において 北条氏との甲相同盟が破綻し 武田氏は跡継ぎとなった 上杉景勝と甲越同盟を結んだ この頃、高天神城の拡張を行い 縄張りを西側の峰にまで広げ 城代として今川氏の旧臣である 岡部元信が任命された 〈1576年〉 諏訪原城も徳川方となってしまったため 補給が極めて困難になってしまった 〈1576年〉 相良城を築城し高天神城を なんとか維持できる状態となった 〈1578年〉 家康は横須賀城を築き始め 更に小笠山砦をも築いた またこの年には 小山城へ攻撃を仕掛けている その後も麓では 小競り合いが続いていた 〈1579年〉 家康は更に城を取り囲むよう 砦をいくつも構築し 兵5000を動員して兵糧攻めの準備した 〈1580年〉 徳川軍、高天神城を攻撃 （第二次高天神城の戦い） 岡部元信は千人ほどで抗戦するものの 兵糧攻めにあい　兵の士気が大きく下がった 勝頼も援軍を送ろうとするが 東西に敵を抱える状況でそれは敵わずにいた 〈1581年〉 覚悟を決めた元信は 城兵に最後の酒を与え、宴を開いた その夜、大久保忠世の陣に斬り込んだが 徳川勢は自陣前に「堀」を築いており 688の死体で埋まったとされ 高天神城は落城した このとき、横田尹松が西の尾根より 脱出に成功し甲斐に落城の知らせを届けた また、生き残った城兵は助命されたが 孕石元泰のみ、切腹を命じられている 今川氏の人質時代　孕石に嫌がらせを 受けていた事を遺恨に思ってのことであった 石牢に幽閉されていた大河内源三郎は 関節が曲がらず　歩行困難になっていたが 8年振りに救出されると 徳川家康から忠義を賞賛され 厚待遇を受けて遠江国稗原を知行した （のちの小牧・長久手の戦いで討死した） 　 〈1582年〉 この攻防戦に援軍が送れなかった勝頼は 家臣たちの信頼を一気に低下させ 木曾氏や保科氏などの豪族が寝返っていく 理由となったといわれている 　　　　　　　　　　『信長公記より』 この後、高天神城は廃城となったが 山頂に高天神社があったため 山自体が、地元のシンボルとして 役割を継続することとなった 北側にある当時の搦手が この時から　神社の参道になっている 〈西南戦争・日清戦争後〉 本丸には、麓にある土方村の住民が 戦争に出征した記念碑がいくつもある このことから　この山が地元の人々にとって どんなものだったのかを知ることができる 〈太平洋戦争前〉 戦国期に天守が建つことはなかったが 模擬天守が建造された 〈第二次世界大戦中〉 軍の基地となったため 上空から目立つ天守は爆破された 〈近年〉 国の史跡になり 地元の方々によってよく整備されている 〈2017年　1月15日〉 はんぺんフライ 大手門跡より登城を開始する 各曲輪を見て回り 堀切の急坂を降りているところ 足を滑らせる… 西の丸付近（激戦区）で 何かを感じる！！？ （地元では有名？な心霊スポット） 〈2017　1月19日〉 ここに高天神城の新たな記録を残す