活動データ
タイム
22:15
距離
16.2km
のぼり
2504m
くだり
2070m
活動詳細
すべて見る無事なことが奇跡的と思えるようなくらい過酷な条件の山行でした。 この日の天気は下り坂。午後からはかなりの降雪と強風が予想される厳しい天候。 厳冬の同時期にも同コースで1回登頂したことがありましたが、この時はとても条件に恵まれていましたので。 今回は厳しい環境下の中、行ける所まで行こうというチャレンジ山行。 登り始めは穏やかでしたが、7合目過ぎから天候は荒れ始め、8合目を越えると突風で吹雪く状況。 8合目手前で下山する2人組の男性にお会いしましたが、上から下までの降雪量を考えると私の下山すべきポイントもここでしたね。(時間的にこの方々も下山には相当なラッセル地獄に苦しんだ事と予想されます。) この条件の中で、9合目手前のルンゼをどうしても登りたい。そんなとても良からぬ欲が湧いてしまいました。 このルンゼは大岩に雪が層を作って付着し、斜度60度はある雪壁で、冬の黒戸尾根の核心とも言える場所。 足を踏み外すと100m以上ある谷底まで滑り落ち、恐らく助かりません。 吹雪く中での新雪がまとわりつくルンゼの登降は無事だったことが奇跡と思えるほどで、この行動には深く反省。 ルンゼを登りきった9合目で猛吹雪となり撤退を判断。 下山前半は、8合目上、7合目小屋上、五合目小屋跡上の梯子など、何度か滑落寸前の状況もあり、後半は雪と風からくる低体温に苦しみました。 9合目下山時から降雪と風で自分が登りで作ったトレースは早くも消えており、雪が雨に変わった2合目付近までオールラッセル。 9合目→8合目の下山は、岩稜に新雪なので、滑落の危険が最も高いポイント。冬の黒戸尾根で何かあるとしたらこの区間に起こる可能性が高い。とにかく雪庇を踏まず、谷底に落ちないないように気を使いました。 8合目→7合目の下山は、元々登りでもラッセルが厳しい区間で、踏み抜きは胸を越えて顔に達する深さでした。 もはやワカン程度でどうこうなるようなレベルの雪量ではありませんでした。 7合目→6合目の下山は、階段が全て雪に埋まり急斜だらけ。無雪期の核心ともいえるこの区間は、滑落の危険大でした。このあたりで滑落停止の動作を繰り返した際に、アイゼンが木や階段にぶつかり故障。チェーンスパイクに履き替えましたが、この場所からの装備チェンジはかなり厳しく危険でした。 5合目→3合目の下山でも降雪の勢いは激しく、股下までの踏み抜き。新雪にチェーンスパイクだと、刃渡りの通過には鎖にしがみつかなければ危険すぎて歩けませんでした。 3合目付近の登り尾根の下りは、木が多い上に視界が悪く、意識も朦朧としていた為、無意識に動物のトレースを辿ってしまったり、ルートファインディングに苦戦しました。 --------- 9合目に到着した際、それまで何となく見えていた山頂方面は突然ガスの中に姿を隠しました。 それはまるで「これ以上は来るな」という、厳しくも優しい修験の山の声が聞こえた気がして、私は撤退を決めました。 山頂直下の状況や下山の時間&雪量を考えると、ここでの撤退がギリギリでした。 私はこの山に生かされたのでしょうか。今はそんな事を考えています。 雪山は多く登っていますが、今回はとても反省点が多い山行になりました。 甲斐駒ヶ岳、黒戸尾根。好きな場所なのでまた来ます。 次は無茶はしません(>_<)
もしも不適切なコンテンツをお見かけした場合はお知らせください。