それは目的ではなく手段。

2017.02.15(水) 日帰り

活動データ

タイム

04:22

距離

7.1km

のぼり

860m

くだり

586m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
4 時間 22
休憩時間
24
距離
7.1 km
のぼり / くだり
860 / 586 m
43
6
8
10
16
4
1 7

活動詳細

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我ら長崎藪漕ぎ会。藪漕ぎ上等!なんてこといってますが、誰も好きこのんでウェアや手足を擦り傷だらけにしようとは思いません。僕だってそうです。まあコンパス片手にバッサバッサ藪を掻き分けて進むのは、ワクワクするのは確かですがw 藪を掻き分けて進むのは手段であって目的ではありません。 地形図をながめながら、「どっかイイ藪ねーかなー」なんて探すのは、よほどの藪マニアでもなければ、そんな人は少ないと思います。 地形図をながめ、等高線が画くステキな稜線や、深く長く山頂直下まで続く沢を自分の足で歩いてみたい。自分の目で見てみたい。でも、道がない。安全な、おりこうさん道だけでは見れない景色があります。むしろおりこうさん道では見れない景色のほうが圧倒的に多く、印象に残る景色に出会えることが少なくありません。 おりこうさん道を外れるということは、必然的に危険が増すことになります。地図読みやコンパスを使いこなす技術。自ら危険に飛び込むことへの責任。アクシデントを自分の技量でリカバリーできる自信。 そこで、昨日の山行です。 長崎の女神大橋をスタートして天門峰から稲佐山までを縦走する、比較的マイナーな縦走路です。夏はルート上でも結構な藪が生い茂り、アブの攻撃をかわしながら歩く面白いルートです。 順調に山行はすすみ、入船町に一度下り、ここから稲佐山へは民家を抜けて再び入山します。 しばらく登ると鉄塔のある尾根の先っぽに乗りました。通常のルートは、ここから少し西に歩き、247ピークを経由して稲佐山まで北上します。念のため鉄塔やピークにたどり着いたときは、コンパスで次の目標を確かめる為に地形図を取り出して確認をします。 そこで目に留まった面白い等高線の形。現在地から谷を挟んだ北東に、まるで前方後円墳のような面白い形の地形があります。ステージのように長く続くなだらかな尾根の先にあるピークには高さの表記もなく、もちろん山名もありません。実際に目してみると、地形図上ではなだらかな谷に見える地形も、現在地と古墳ピークの間は、結構急な崖になっています。 これに会長が食いついた。 あのピークがどんなトコか見てみたい!行こう!行こう!行ける!行ける!あのピークにコンパスセットして、真っ直ぐ最短距離で行こう! 足元の崖下を見下ろすと、急だけどロープが必要な斜面でもないように見えます。気合とやる気と度胸の問題です。目視で古墳ピークにコンパスをセットして、おりこうさん道からエイヤッと飛び出します。見たところ、目の前の急斜面を下りてしまえば藪の密度も低そうで、そう難儀することはなさそうです。 滑り落ちる身体を確保しようと、自分の腕ほどの木をつかむとボッキリと折れて危うく転がり落ちそうになります。藪の斜面はコレが怖い。長い時間誰にも触られることがない枯れ木は、どんな太さでも脆く折れます。慎重に崖を下り、谷の底へ。すこし藪を掻き分け、コンパスが指すほうへ真っ直ぐに進みます。 すると、なんかあるぞ。人工物が目に入りました。半分泥に埋もれかけた階段状のルートが薄く見えます。その階段状のルートは、まさにコンパスが指す方角へと延びています。こんなところにもルートがあるんだ!藪を漕いだ末に出会う既成のルートには、嬉しいような悔しいような複雑な気持ちになります。 階段に沿って進むというより、僕たちが進む方角に階段が伸びているって感じで谷を抜け古墳ピークへと登り返します。目印になるピーク下の鉄塔に辿り着く頃には、階段もなくなりズルズルのガレた斜面を必死で登ることに。そして鉄塔に到着。地形図を見るとピークまであと一息。 ここからが酷かった!どこの藪にもトゲトゲゾーンは付き物だけど、ここのトゲトゲは別格!木を掴みながら体を引き上げないとツライ急登なのに、掴む木が鬼の金棒状態!こんなにすべての木がトゲトゲの場所は今まで経験がありません!手のひらでは掴めないので、指先でトゲを避けるように掴みながら登ります。 背後で、港の船の汽笛がきこえます。あのデッカイ客船が出港するのかな!はやく見晴らしのいいピークに立たなきゃ!トゲトゲソーンをやっとの思いで抜け、斜面を駆け上ります。 そして名もなき古墳ピーク。360度、木々に囲まれ展望はゼロでした。でも地形図にあるとおりのこんもりとした立派なピークです。正規のルートから、このピークへ案内するテープをたどり正規の縦走路へもどります。ここでも、コンパスをしっかり次のポイント、稲佐山へセットするのも忘れません。 その後はスイスイと稲佐山へ。ここで今日の山行は終了です。 活動距離約7km、最高標高は稲佐山の332m。 街の生活音が聞こえるほどの里山です。 そんな低山里山で、藪を漕いで一直線に狙ったピークを目指す。 藪漕ぎは目的ではなく手段。 展望ゼロでも、苦労してたどり着いたピークでは最高の気分を味わうことができます。 今日の山行は会長の盛大な好奇心のおかげで、長崎藪漕ぎ会らしい会心の山行となりました。 さー!次はどこのピークを攻めようか!

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