ヴルフガング・トレック IN 大山

2017.03.19(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
6 時間 20
休憩時間
1 時間 23
距離
7.7 km
のぼり / くだり
1000 / 1001 m

活動詳細

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 かれこれ15年ほど山登りをやってますが、何故登るのかなんて…はっきりした理由はありませんでした。「そこに山があるから…」なんてことは夢にも思いません。「そこに海があるから…」「そこにスキー場があるから…」森羅万象にはキリがありませんから。  率直にはただ登りたかったから登っただけ…山中の光景や山頂から眺める下界の風景などにしても、全くどうでもよかった訳ではないけれど、ほとんどはどうでも良かったのです。  では登山中に何をしていたかというと、それは「考え事」でした。でも「考え事」のネガティブな副産物は、ずばり孤独感だと気付いて早々に身を引き、登山を一旦はやめました。  さて、一度鎮火した情熱を再燃焼させるには、十分な理由が必要となりました。  その期間に生涯のパートナーとして出会った妻は、そもそもアウトドアとは積極的に無縁の女性で、そのような妻を迎えた僕のアウトドア生活は、そうしてある意味一つの結末に向かいかけていたのです。  しかし僕たち夫婦は、ボーダーコリー犬のサニーという新しいメンバーを家族として迎えたところから、それ以降の成り行きに適応する必要が生じ始めました。  最初の頃の彼は気に入らないものには吼え続け、噛めるものはズタズタになるまで噛み続け、そして何でも無い時は「俺のかあちゃんを出せ!」とばかりに唸り、我々はひと月ばかり途方にくれたのです。  しかしテレビ番組で観た、ある有名なドッグトレーナーの一言…「運動、規律、愛情の三つを正しい順番で過不足なく与える事」という言葉が我々にはとても響くものがあり、その言葉をベースにして、書籍その他の様々な情報の海を自分たちなりに探り、サニーの躾方を模索していったのです。  その言葉を実践する為には、絶対服従を要求するのと同時進行で、好ましい行為を褒めるというシーンをふんだんに見つけ出す必要がありました。  だけど物事を褒めながら絶対服従なんてそんな芝居じみたシーンが、人付き合いやコミュニティーの達人でもない我々にとっては、街中やまして家の中にごろごろ転がっているはずもなく…そのように思いつめた上で、それならばいっそ山中でもうろついてみようじゃないか…という流れで「山」に戻って行ったのです。  妻の側から見ると、一度は自分の哲学に反する行為だとして登山自体を散々ディスった上で葬ったものの、サニーが自分の故郷として山を走る様を見て、アウトドアの意味合いを始めて発見したように感じたかもしれません。  登山と言う行為は、登って下りる行程の中に「生活」の縮刷版が詰まっていました。  ある時は平坦な林道をそぞろ歩き、ある時は急峻な崖をよじ登り、そしてパートナーを助け、またある時は足元の不安定なトラバースで他人様と道を譲り合い、そして休憩したり食事をしたり。つまりこれらに犬を同行させる事は、奴らにとっては擬似的な「狩猟生活」そのものだったのです。  山は考え事の為の場所なんかでは決して無く、生活の場所でした。  つまりそういう実践的な意味合いにおいて自分たちを、その原初的な擬似生活体験から得られる充足を求める「訪問者」だったと理解し、妻は妻で、山を単なる安上がりのアトラクションのように考えていたところへもってきて、僕と同じ事に気付き、急速に全員で熱中していったのです。  サニーを伴って山を突き進む時、我々は彼らイヌ属が友となる以前の姿…獲物を求めて山野を駆け巡り、群れの規律を守り、そしてじゃれ合って友情を交換し、狭い穴倉で眠る…に思いを馳せてしまいます。  そしてかたや人の世界に生まれた我々は…日々労働し、ルールを守り、隣人を愛し、そのように毎日を積み重ねて行きます。  九割方は同じなのだと理解できてしまうと、愛犬と自分たちの生を、同じカロリーで燃焼する事は可能だと思えてくるわけで、それが今の原動力となっています。このような想いをこめて、我々は自分たちの事を「ヴルガング・トレッカー」と名乗っていますことを、先ずは宣言します。  しかしながらこのような宣言をしたからと言って、一般世間の皆様が街中の公園あたりで目にするかもしれない…すれ違いの人や犬に半狂乱の体で吠えまくり、何処そこ構わず糞尿を撒き散らすような家庭犬たちとは違って、我が家の愛犬は躾のレベルが段違いに高いから、どんな場所でもまかり通ります…という傲慢さを持っている訳では無い事も、あわせて言いたいのです。  我が家のサニーは、主人二名がトレースする足跡を忠実に四足で踏みしめ、人のようにポールの先端を大地に突き刺す事もありません。すれ違いの方々を無駄な吠え声で驚かす事もありません。ヒノキの抽出液を体中に噴霧する事で、その地域に存在しないダニの類を持ち込む事も、持ち出す事もありません。糞尿に関しては必ず、入山の前に行う準備運動としての散歩中に全て済ませ、山中での排泄は(大小問わず)極力行わないように勤めています。  「嫌いな人もいますから…」という類の忌避反応に対しても、「好きな人もいますから…」などという口答えで応戦する事無く、極力配慮いたします。  ショッピングモールやディズニーランドを、愛犬と一緒に楽しみたいなんて言っている訳ではないのです。(そのような場所に我々も用事はありません…)  日本国土にある雄大な大自然の懐、そして百名山と言う名の格付けで承認された名峰を、ブルフガングトレックで旅したいという思いは、一般登山者の方々と同じです。  どうかよろしくお願いします。

活動の装備

  • サーモス(THERMOS)
    山専用ステンレスボトル FFX-900
  • モンベル(mont-bell)
    アルパインスノーポン
  • エムエスアール(MSR)
    レヴォアッセント 男性用22インチ
  • ブラックダイヤモンド(Black Diamond)
    レイブンウィズグリップ
  • ソト(SOTO)
    MUKAストーブ

メンバー

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