活動データ
タイム
36:25
距離
79.0km
のぼり
5125m
くだり
5841m
チェックポイント
活動詳細
すべて見るテントを背負い、奥深い紀伊の山々を越えて3泊4日。高野山から小辺路を歩いて熊野詣をしてきました。 今回は、最近小辺路を歩いた秀くん。さんのレポを大いに参考にさせてもらいました。 【ルート情報】 〇ルート難易度:基本Lv. 1 ところによりLv. 2 (崩落で危険な箇所あり) 〇水場:全行程で少なくとも7カ所。高野山から歩くと最初の水場(大股の伯母子岳登山口の少し上)まで6時間半。その後水場間が一番長いのは三十丁の水~西中バス停間の5:15. 〇宿泊場所:1泊目は萱小屋(水あり、トイレなし)、2泊目は三浦峠(水なし、トイレあり)、3泊目は観音堂(水あり、トイレあり)。ただし、2,3泊目の場所が本来野営していいところかどうかは知りません。 〇地図:今回は地形図、YAMAP地図、和歌山県観光連盟地図(https://www.wakayama-kanko.or.jp/walk/)、十津川村地図(http://www.vill.totsukawa.lg.jp/static/koheti_map.htm)の4つを併用。 CTはYAMAP地図 > 和歌山県観光連盟地図 ≒十津川村地図 ですが、YAMAP地図でもCT厳しめに感じました。普段より1.1倍くらい余裕を持った計画をお勧めします。 〇道中の商店:十津川温泉街に食料品店数店舗(小辺路を外れて2㎞ほど)、道の駅ほんぐう(本宮手前約1時間のところ。小辺路沿い) 【登山レポ】 出発時点のザック重量は、私22.7kg,妻12.5kg,息子10kg,娘5.2kgで3泊4日という日程の割に軽く済みました。途中水場が豊富なために、最初は水を少なめにして空のペットボトルを持参するなど水の重量が減らせたこと、3日目の夜以降の食料は十津川温泉街、道の駅ほんぐうで買う予定にして食料を減らせたことが効いたのだと思います。 〇1日目 3/29 高野山~萱小屋跡 24.0 km 電車・ケーブルカー・バスを乗り継ぎ、10日前に町石道で登った高野山へ。今回は一応その続きという位置づけです。 本来は金剛峯寺で拝んで出発する予定でしたが、とろつまが急に奥の院に行きたいと言い出します。確かにあそこの空気は特別…。奥の院は遠いので行程は遅れそうですが、やはりあそこの空気は特別…。結局行きたい気持ちの方が勝り、奥の院で道中の無事を祈ってからの遅い出発となりました。 この日は、山道をちょっと歩くたびにちょこちょこと車道歩きが入るというあまり癒されない行程で、ただひたすら宿泊地を目指して歩くという感じでした。 結局この日は大股集落から伯母子岳方面へ少し登ったところにある萱小屋跡で宿泊(小屋の裏に水あり、トイレなし)。秀くん。さん情報の通り、新しい小屋ができていて宿泊することができました。中には薪ストーブもあり、表に沢山置いてあった薪を少し頂いて、暖を取ることができました。こんな居心地のいい避難小屋はなかなかないと思いました。地元の方に感謝です。 〇2日目 3/30 萱小屋跡~三浦峠 19.5 km 朝5時頃気持ちよく目が覚める。こんなにぐっすり眠れた山の夜は久しぶりです(テントは狭くて私は体を伸ばしきれない)。とろつまとも「よく眠れた~」などと爽やかな朝を楽しむ会話を交わしていましたが、少し遅れて起きた娘の「この毛なんだろう?」の言葉ですべてが消し飛びました。 娘の寝床を中心に、あたり一面に散らばる大量の羽毛…。嫌な予感がして土間にあるストーブを見ると、外側にびっしりと焦げた羽毛…。娘のシュラフに目を移すと、足側が焼け焦げ、ぽっかり大穴が開いていました…。 しかも2枚重ねにしていたシュラフの2枚ともがやられているというショックな事実。高かったモンベルの900FPが…。2つで7万円と考えると泣けてきます…。火事にならなかっただけ、娘が火傷しなかっただけましだったのかもしれませんが…。 写真を見てもらえればわかると思いますが、ストーブはシュラフが当たるなんて思いもよらない位置にあります。娘の寝相の悪さを甘く見ていました。 シュラフがこの状態ではこの先の夜を過ごすことができないので、手持ちの細引きロープで応急補修にかかります。大きな穴が貫通したシュラフはこれ以上ダウンが出ないよう縛り、幸い大きな穴が表だけだったもう片方のシュラフの足元に被せました。丁寧に扱えばあと数夜くらいは持ちそうです。 この補修と散らばったりこびり付いたりしたダウンの片づけで大幅なタイムロス…。結局出発が1時間半くらい遅れました。 2日目の行程のメインは伯母子岳越え。桧峠から先の北斜面のトラバースには結構雪が残っており(アイゼンなくてもいけるレベルですが)、谷に落ちないように注意しながら進みました。また、伯母子岳避難小屋から山頂への登りもまだまだ雪が残っていました。 伯母子岳を五百瀬の集落に下り、そこから700mほど登り返したところが本日の野営地の三浦峠(トイレあり。水はないので登る途中の三十丁の水で調達)。一日の最後にはなかなかきつい登りでした。 〇3日目 3/31 三浦峠~観音堂 25.5 km 本日は今回の行程の中で一番つまらなそうな7㎞の車道歩きの日…。 しかも、三浦峠から車道の始まる西中まで下りた頃に予報通りの雨…。 それでも、せっかくの小辺路なのでバスは使わずに十津川まで歩きます。 しかしまあ、この車道歩きのきつかったこと。登山靴で歩くとどうしても足が痛くなってしまうんですよね…。この区間は全行程で娘が唯一「足が痛い」と泣き言を言ったところでした。 昼前に十津川に着くと、小辺路を外れて数km先の温泉街へ。そこで、夕飯、翌日の朝飯、酒を調達しつつ、昼飯を食べ、温泉で汗を流しました。 少々油を売り過ぎ(娘が食べるの遅すぎ、とろつま風呂長すぎ)、予定よりだいぶ遅れて小辺路に復帰。果無集落を通ってさらに果無峠を目指して登る途中の観音堂がこの日の野営地です(トイレも水場もあり)。この観音堂までの登りは今回精神的に一番つらかったです。雨は強くなるし、寒いし、日は落ちかけるし、腹は減るし、コースタイムで着かないし…。そんな状況の中、みんな根性で登り、日の入り ぎりぎりに観音堂に到着しました。 とろつまと娘は寒さでテント設営どころじゃなかったので、観音様にお願いして観音堂の中で雨宿り。冷たい雨が降りしきる中、息子と2人で素早くテント設営しました。こんな状況でも息子の手際は良く、とても助かりました。 〇4日目 4/1 観音堂~熊野本宮大社 11.8 km やはり寒い雨の日はテントの中が結露だらけ。じめじめしてあまり良く眠れませんでしたが、雨風を防いで眠れるだけでもテントのありがたみを感じます。 昨日からの雨は相変わらず。少し雨が弱くなるのを待ったのと、雨で片づけに時間がかかったのとで出発が大幅に遅延。その頃には雨が雪交じりになり、途中の果無峠付近では雪に変わりました。道理で寒いはずです。 本日はいよいよ最終日。観音堂から30分ほど登って果無峠に到達したのちは、熊野本宮までほぼ下りです。 果無峠を越えて南斜面に出ると急に気温が温かくなり、さらに中腹に差し掛かるとだんだんに緑が鮮やかになってきます。「熊野の神様の御神域に入ったのかな」などと話しながら気持ちよく歩けた道のりでした。 やがて車道に出て、道の駅ほんぐうにて昼食。ワンカップで完歩の前祝いをしつつ、おにぎり、めはり寿司、こぶ寿司、天ぷら、ソフトクリームでガッツリとエネルギー補給をしました。 最後再び山の中に入ると、三軒茶屋で1年前に歩いた中辺路と合流。そして14時半前に無事熊野本宮大社に到着しました。達成感でいっぱいで、皆でガッツポーズをして喜びました。 子供達もとろつまも本当に良く頑張りました。 本宮大社には、1年前に中辺路を歩いた時に出会って以来付き合いのある、近露の山登りじいじと笑いじいじが迎えに来てくれ、嬉しい再開を果たしました。 じいじ達と大斎原にもお参りに行き、本宮近くにあるじいじ達お勧めの蘇生の湯(診療所内にある。なんと200円)で汗を流し、笑いじいじの車で我々にとって4度目の近露へ行きました。 近露産の美味しい鹿の焼肉、美味しいワインや和歌山の酒を御馳走になり、じいじ達と楽しく話をしながら近露の夜は更けていきました。 〇4日目 4/1 畑仕事そして帰路へ 前日は山登りじいじの家に泊めてもらい、本日は恒例の農業体験。今回はジャガイモを植える準備をしてくれてました。いつも子供達を楽しませるためにいろいろ考えてくれて有難いです。子供達は今回も生き生きと楽しそうに畑仕事をしていました。 楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、やがて帰らなけらばならない時間に。 紀伊田辺駅までの1時間もの道のりを笑いじいじが車で送ってくれ、そこから大阪行きの高速バスで帰りました。 今回も近露のじいじ達には何から何までお世話になりました。長い山旅をしたその先にこうして温かく迎えてくれる人たちがいるというのはとても幸せなこと。じいじ達にはただただ感謝するばかりです。 ところで、今回小辺路の全行程を通して出会ったハイカーはたったの2組3人(中辺路合流以降を除く)でうち1組2人は外国人でした。小辺路は人が少ないだろうと思ってはいましたが、まさかここまで少ないとは驚きでした(3,4日目は天気が悪かったせいもあるかも)。中辺路に関していえば、人はもっと多いようですが、歩いているのは多くが外国人で、日本人はほとんど見ないそうです。こんなにいい道なのに少しもったいない気もします。 熊野古道はアルプスのような絶景があるわけではありませんが、歴史の息吹を感じ、森の緑に浸って静かな山歩きのできる道です。岩藪好きのへ〇たいさんたちはともかくとして、美しい自然を求めて山歩きをしている方ならきっと好きになるんじゃないかと思います。 そして、もし滝尻から中辺路を歩かれるなら、近露は宿泊にお勧めです。位置的にもちょうどいいですし、何よりとても人の温かい土地です。 ちなみに、山登りじいじと笑いじいじは近々「民宿たかだ」という民宿を引き継いで2人で切り盛りする予定だそうです。二人に会ってみたい方は是非そちらへどうぞ(笑)素泊まりだそうですが、近くの道の駅でめはり寿司、さんま寿司などの郷土料理を買うことができます(営業時間に注意)。
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