天女降臨@猿政山

2017.06.18(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
6 時間 6
休憩時間
1 時間 28
距離
9.6 km
のぼり / くだり
900 / 900 m
1 45
48
41
1 6

活動詳細

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どうしても見たい花がある。 その花の名はオオヤマレンゲ。 別名『天女花』『森の貴婦人』と呼ばれ、かの千利休もこよなく愛した花とか。 島根県レッドデータブックで絶滅危惧Ⅰ類に指定されるこの花に身近で出会えるのは梅雨時期の猿政山だけだろう。 しかしこの猿政山がけっこう厄介な山で、分県ガイドでは島根県唯一の☆☆☆の難易度である。 登山口までの長い林道のアプローチ、登山口からは藪漕ぎ、急登の連続で道標などの類いもほとんどない人を寄せつけない山である。 一昨年オオヤマレンゲを求め猿政山に向かったが、この時は撃沈。すでに花は終わっていた。 ネットで調べても今年のオオヤマレンゲの開花情報はなく、今回は他の花の今年の開花時期からオオヤマレンゲの開花時期を予測し、この日に決定。 はたして咲いているのだろうか… 空梅雨のおかげか普段の行いのせいか快晴の絶好のコンディションで迎えた当日、登山部の参加メンバーは大の花好きで今回2回目の登山で猿政に挑むDr.、猿政に登りたいし、オオヤマレンゲも見たい欲張りなウェルネス、レンゲと言えば中華、草花には微塵の関心もみせないが藪漕ぎ、悪路には異常にテンション上がる山猿。日頃から一度登ったピークには興味がないと豪語する山猿が猿政山は2回目。山名からしても何か望郷の念を深層心理に宿しているのか… 各々異なるモチベーションを秘めスタートする。 前回の反省を踏まえ車高短の車は避け内尾谷の駐車場に車を停め長い林道歩きが始まる。 林道終点に到着すると三重の赤テープ、猿政山への登山口だ。 稜線までの急登を登り、快適なブナの森を藪漕ぎしながら進むと、直線距離では山頂まで500mないこの地点から標高差にして200mの壁が行く手を遮る。 一昨年は小雨混じりのぬかるみの中喘ぎ登ったこの大斜面だか、今年は晴れていることもあり幾分登りやすい。そうは言っても斜度が緩むことはないので今年も結局喘ぎ登る。 山頂稜線に着くとここからはオオヤマレンゲモードに一変、呼吸を整え心弾ませる。しかし山頂手前の自生地に着くとそこにはまだ蕾の天女。 『早かったかぁ…来年もこれを登るのかぁ(゚o゚;;』 と壁を登りきった直後だけに一瞬ドン底まで蹴落とされた気分になったが、もう一ヶ所に期待を込めて足早に山頂を目指しザックをデポ、縦走路を下る。 途中ですれ違った方に 「咲いてますか?」と聞くと 「咲いてますよ。根っこを踏まないようにしてください」 とこれまでの疲れが吹っ飛ぶような感激の返答があった。 歩みを進めること数十m、そこには気品ある清楚な佇まいで俯き加減に咲く天女たち。正に貴婦人と呼ぶにふさわしい美しさ。 何枚も下手な写真を撮り、感動さながら山頂に帰り先ほどお会いした方々と話をすると、地元の方でオオヤマレンゲを保護するために活動してらっしゃる方々のようだ。 過去には持ち帰る人も多く、広島側の登山道は封鎖された経緯もある。この方々の地道な活動のおかげで絶滅を逃れ、こうして山猿以外の一般の登山者にも感動を与えてもらっていることを決して忘れてはならない。 『根っこは踏まないように』 感動と感謝の念でいっぱいの山頂を後にし激下りに向かう。 拙い足取りの下りの苦手なウェルネスを見ながら林道終点に到着。後は緩やかな下りだけ。 会話しながらゆっくり下る3人の前を足早に進む山猿。理由を問うと 「クライマーズハイになったみたいです。」 と返答が。 クライマーズハイ?過去に経験あるが登りの最中か縦走中にしかない。しかも下りでクライマーズハイ?やっぱりアイツは人とは何処か違う。 下山後、花好きも多い下山部に写真を送る。 「天女?私たちの事?」 部長『… …』 「匂いはどうだった?」 部長『匂い?そう言えば嗅いでない(゚o゚;;』 にわか花好きのツメの甘さを露呈し、来年は下山部と比較的楽な広島側から登ろうと固く決心する部長であった。

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