幌尻岳 幌尻山荘〜とよぬか山荘 (第3日目)

2015.07.05(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
5 時間 21
休憩時間
1 時間 35
距離
10.6 km
のぼり / くだり
379 / 851 m

活動詳細

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山荘の電球が消えてから、山小屋の中にヒグマがいた。 グー、ウゴー、グアー、プシュー、グガ、、、、、。隣の隣のおっさんだ! とんでもないイビキだ。いや、イビキなんてモンではない。今まで経験したことがないレベル、いやラベルだ。 無呼吸症候群になっている。時より呼吸が止まってる。本人の自覚は無いんだろう。何時間が経ったろう、ついに隣の人が怒った。通じたのか、10分くらい止んだ。しかしながら、またヒグマが現れ、一晩中唸っていた。 全く眠りに就くことができない。明日は下山の渡渉が待っている。 かなりの人が眠れていないのだろう、ゴソゴソ寝が入りの音が聞こえる。 1階、2階もワンフロアーで繋がっている。ヒグマのイビキは大なり小なり山小屋に泊まっている全員に影響を与えている。 アイマスクとイヤーマスクは下の納屋のリュックの中にある。完全に失敗だ。一睡もできなかった。 ヒグマ! 眠れなかった人の宿泊代払ってくれ。ヒグマだけが気持ちよく眠れて、山小屋占領するなんてチョット変じゃない。ホントのヒグマの方が迷惑かけないぞ。 昨日のパーティは4時に下山するので、朝の2時半から寝袋から出て、支度を開始した。今日もご一緒させていただくことにした。 シリアル系の食事とソーセージを摂りながら、防水対策施含めたパッキングを行った。 一応、リーダーに『今日も最後尾につかせてください』とお願いした。『最後尾と言わず、どこでにでも入ってください』と言ってくれたが、『私は最後尾が気が楽でいいです』と応えた。礼儀の挨拶が上手くいったので、お互い気持ちがいい。 最後尾を歩いていると、後ろ向きにはなっているが、パーティの方々の写真を撮ることができる。無事下山できたら、請求書が来ても対応できないが、せめてものお礼にメールで写真を送ってあげようと考えていた。 4時丁度、幌尻山荘を後にして下山開始。 シャトルバスは11時に林道第2ゲートを発車するので、順調であれば1時間〜2時間はゆとりがある。 今までにリーダーはこの下山渡渉でいろいろな苦いガイド経験があり、バス時間に間に合わせるために十分な余裕をもった下山時間としているとのことであった。 日が昇ったあたりの時間帯の早朝の沢水温度はやはり冷たい。 登りで経験した岩や石の淀みの流れを掴みとり少し深くても流れに脚を取られにくい場所を選びながら、渡渉ルートを進んだ。 渡渉の回数を数え易くするする方法で、右なら右の回数だけ数え、後で倍にするといいよとリーダーの奥さん教えてくれた。 結局、渡渉は約20回であった。 下山開始の天候は少し曇っていたが、渡渉の中間あたりでは青空になっていた。今日、幌尻岳に登るのは逆に厳しいかもしれない。でも、天気がいいに越したことはない。何と言っても気持ちがいい。 水量が多かった時に渡るのがかなり厳しそうな場所にきた。とよぬか山荘にあったアルバムにグループの人達が肩に手を回して1列になって流されないように渡っていたような場所だ。幸い、今日はそれほどではない。 リーダーと奥さんはおもむろにザックから20mロープとカラビナを取り出し、木にロープを固定し今来た沢を渡り対岸の木で固定できる場所までの長さを確認した。少し足りなかった。次回の為の確認だ。 次回来る時はもう少し長いロープが必要だと言っていた。プロのガイドだ。 回収する時のロープワークも素早く、プロの技をマジマジと堪能できた。 渡渉が終わりに近ずいてきた。最後の最後で怪我をしてはもともこもない。 心の中で『慎重に、慎重に』と呟いていた。 『いよいよ最後です。皆さん一人一人が渡渉している姿を写真に撮りましょう。』と奥さんが言った。個人個人、わざわざ水の中に入りポーズを決める。とその時、その中のひとりがつまずいてしまい、頭から撃沈。笑いの渦が沢一面にこだました。 6時15分、ダム取水口到着。渡渉は終わった。後は林道をひたすら歩いていくだけだ。皆んなに安堵の表情がうかがえる。 登山靴に履き替え、簡単な食事をとり、30分位の長めの休憩をとる。 このまま行けば問題なくバス時刻に間に合う時間だ。 なだらかな林道をテクテク歩くと、大きなフキがあちこちにある。デカ目のフキを抜いて写真におさめる。昨日登った幌尻岳や渡渉の緊張感から解放され、たわいもないことで喜びを感じながら緩やかな下りの林道を歩く。 そう言えば、パーティの人はリーダー含めて沢靴ではなく普通のランニングシューズや運動靴で沢を歩いていた。奥さんにそのことを聞くと、わざわざ沢靴を買うことなく持っているランニングシューズですり足で歩けば問題ないとのこと。 僕はランニングシューズで渡渉していないので、沢靴とどれほど違うかわからないけど、プロが言うので大丈夫みたいです。 自分で使う場合は一度比較経験してみてからにしよう。山は自己責任。 因みにフェルト底の沢靴はホント歩き易かった。 今まであまり話す機会のなかったグループの方とも話をしながら歩いていたので、時間がたつのも忘れながら下山していた。 9時、林道第2ゲートに到着。 シャトルバス発車まで2時間ある。濡れたものを太陽にあて、避難小屋にもなっているバス待合室で靴を履いで身体を休めた。 小一時間もしない内に、1日目でお世話になったパーティも到着した。 僕はそのパーティにもお礼を言い、写真をメールで送る連絡をした。 僕を含めて、降りてきた全員が満足感と安堵感でハイテンションになっているのが分かった。 11時、シャトルバスに乗ってとよぬか山荘へ。 シャトルバスの中は知らぬもの同士が打ち解けあい、まるで小学校の遠足バスを思い出させる賑わいであった。 12時、とよぬか山荘にシャトルバスは到着。 それぞれの思いを抱いて、それぞれの車に乗って、お別れとなった。 またいつの日にか!

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