南大菩薩 滝子山の歴史と伝説・大谷ヶ丸・金洞丸

2017.10.01(日) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
8 時間 47
休憩時間
1 時間 19
距離
15.5 km
のぼり / くだり
1493 / 1296 m
3 11
1 7
1 28
45
15
1 7

活動詳細

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大菩薩連嶺の最南端を飾る滝子山へ。 中央本線の初狩で車窓から望む滝子山の巨躯は高々と聳立し、なだらかな高原性の山並みが特徴の大菩薩連嶺に於いては珍しくアルペン的な風貌を持つ異色の山として昔から注目されていた。 昭和10年代には岳人たちが北アルプスを真似てピーク群にP1からP4まで番号を付け、沢も一ノ沢から四ノ沢と仮称していたという事からも、南東から見上げたこの山がいかに登高欲をそそる姿だったかが窺える。 3つのピークを持つ事から「三ツ丸」とも呼ばれたが、甲斐国志(松平定能 1814年編纂)に「タキコ山」とあるこの山の山頂付近では旱魃の時には雨乞いの神事が行われた。 山頂北の俚称「鎮西ヶ池」には平安時代末期の武将 源為朝とその妻「白縫姫」が隠れ棲んでいたとの伝説があって「白縫神社」が置かれている。 また、この山には「テントウ様の誕生日」なる行事の他、「天狗のお囃子」という伝説もあって興味深い。 今回は登山地図帳「大菩薩とその附近」(落葉松山岳会 山と渓谷社 昭和30年)及び、アルパインガイド「大菩薩連嶺」(山と渓谷社 昭和36年)に登路として紹介されていた南西稜を登った。 浜立山を経由するこの南西尾根は「バリエーションハイキング」という最近の本にも載ったらしい。 滝子山からは北へ、鎮西ヶ池を通って南大菩薩の大谷ヶ丸(大岩ヶ丸を目指す。 鎮西ヶ丸、アモウ沢乗越を経て北に続く緩やかな道はカラマツ林と天然林の界尾根を成し、ブナの大木なども見られる。 歴史の古い平ッ沢開墾地(東長久保・西長久保)をぐるりと巻くように付けられた登山道を辿り、大谷ヶ丸からは一転南下、コンドウ丸(古称は金洞丸か)を経て平ッ沢峠(曲り沢峠は誤称)からスミ沢沿いに下る。 昼から曇ってしまったのは残念だが、鎮西ヶ池から先では僅か一人にしか会わない静かな山旅となった。 山行日記 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1963061561&owner_id=12844177 目次 0、滝子山への興味 1、「寂ショウ尾根」に物申す 2、浜立山 3、滝子山と「鎮西ヶ池」の伝説 4、「大谷ヶ丸」の山名由来 5、大ブナと「金洞丸」の若鹿 6、平ッ沢峠から夜の笹子へ

滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 JR 中央本線 笹子駅。一緒に降りたハイカーは10数人。
JR 中央本線 笹子駅。一緒に降りたハイカーは10数人。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 甲州街道 「阿弥陀海道宿」。現在は海が取れて 大月市 阿弥陀海。由緒ありそうな地名だ。
甲州街道 「阿弥陀海道宿」。現在は海が取れて 大月市 阿弥陀海。由緒ありそうな地名だ。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 国道20号線沿いを東へ。
国道20号線沿いを東へ。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 秋らしい田園風景が広がる。
秋らしい田園風景が広がる。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 この景色なら車道歩きも苦にはならない。
この景色なら車道歩きも苦にはならない。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 大月市 吉久保。
大月市 吉久保。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 青年会ではなく「壮年会」。自分もここに住んでたら入ってたかも。
青年会ではなく「壮年会」。自分もここに住んでたら入ってたかも。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 南に本社ヶ丸、鶴ヶ鳥屋山などを見上げる。
南に本社ヶ丸、鶴ヶ鳥屋山などを見上げる。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 目指す滝子山が見えてきた。南東から眺めた隆々たる雄姿とはまた違い、南から見ると泰然として落ち着いた雰囲気だ。
目指す滝子山が見えてきた。南東から眺めた隆々たる雄姿とはまた違い、南から見ると泰然として落ち着いた雰囲気だ。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 見る角度によって3つのピークがある事から「三つ丸」との別称もあった。
見る角度によって3つのピークがある事から「三つ丸」との別称もあった。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 「姥神」
「姥神」
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 道証地蔵尊(文政三年・1820年)
道証地蔵尊(文政三年・1820年)
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 壮年会がいつの間にか「荘年会」に進化。
壮年会がいつの間にか「荘年会」に進化。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 「滝子山南西尾根」(通称「浜立尾根」)で浜立山を目指す。昭和36年のガイドブックにはこのルートが載っている。
「滝子山南西尾根」(通称「浜立尾根」)で浜立山を目指す。昭和36年のガイドブックにはこのルートが載っている。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 遠くに道志山塊。今倉山と御正体山を繋ぐ長大な尾根。
遠くに道志山塊。今倉山と御正体山を繋ぐ長大な尾根。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 この日一番の変形樹。太い幹は空洞となり下に腐葉土が堆積。幹の右側が丸く結合して向こう側に大きく反り返っている。なぜこうなったのか。
この日一番の変形樹。太い幹は空洞となり下に腐葉土が堆積。幹の右側が丸く結合して向こう側に大きく反り返っている。なぜこうなったのか。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 木の神秘を感じた。
木の神秘を感じた。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 南の展望が開ける。右奥は三ツ峠山。
南の展望が開ける。右奥は三ツ峠山。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 この岩壁を巻いて進む踏み跡に従う。
この岩壁を巻いて進む踏み跡に従う。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 錯雑としている。
錯雑としている。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 ルートを外れたところに大木を見つけた。
ルートを外れたところに大木を見つけた。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 さらにその先にはかなりの樹高のブナを見出だす。(上部)
さらにその先にはかなりの樹高のブナを見出だす。(上部)
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 幹は端整で太い。(下部)
幹は端整で太い。(下部)
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 大木に会うとうれしくなる。
大木に会うとうれしくなる。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 浜立山(1482)。この近くに俚称「仏岩」という展望地があるが今回は寄らず。
浜立山(1482)。この近くに俚称「仏岩」という展望地があるが今回は寄らず。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 滝子山南尾根と合流する。寂ショウ尾根との異称があるらしいが、民間の施設名を山のルート名にするのは不適切。
滝子山南尾根と合流する。寂ショウ尾根との異称があるらしいが、民間の施設名を山のルート名にするのは不適切。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 次のピークを見上げる。
次のピークを見上げる。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 ピークの露岩上から、太くて明瞭な南尾根を俯瞰する。
ピークの露岩上から、太くて明瞭な南尾根を俯瞰する。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 南西の山並みを望む。
南西の山並みを望む。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 中央左奥は甲府盆地。
中央左奥は甲府盆地。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 鞍部にはトリカブトが咲いていた。
鞍部にはトリカブトが咲いていた。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 山頂に着くと空は雲に覆われて陽射しは僅かに。
山頂に着くと空は雲に覆われて陽射しは僅かに。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 丹沢・道志方面はよく見えた。
丹沢・道志方面はよく見えた。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 大菩薩連嶺(小金沢連嶺)を北に望む。
大菩薩連嶺(小金沢連嶺)を北に望む。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 鎮西ヶ池の白縫神社。源為朝と白縫姫に纏わる伝説が残る。
鎮西ヶ池の白縫神社。源為朝と白縫姫に纏わる伝説が残る。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 昔は池だったというが…。
昔は池だったというが…。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 鎮西ヶ池 全景。
鎮西ヶ池 全景。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 滝子山北面は一部カラマツ林になっている。
滝子山北面は一部カラマツ林になっている。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 蛇。
蛇。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 登山道を外れて支尾根に入ると大ブナもある。
登山道を外れて支尾根に入ると大ブナもある。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 「アモウ沢乗越」の鞍部周辺には独特な雰囲気の木が散見される。また、動物の痕跡も多い。
「アモウ沢乗越」の鞍部周辺には独特な雰囲気の木が散見される。また、動物の痕跡も多い。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 生命の神秘。
生命の神秘。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 ザ・盆栽。
ザ・盆栽。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 腕を直角に曲げたり…。
腕を直角に曲げたり…。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 陽気に歩いたり…。
陽気に歩いたり…。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 露岩も点在。
露岩も点在。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 西はカラマツ林、東側は豊かな自然林。
西はカラマツ林、東側は豊かな自然林。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 ブナも健在。
ブナも健在。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 大谷ノ丸(1643)山頂の大石。山名は谷ではなく元は「大岩ヶ丸」(オオヤンガマル)だという。
大谷ノ丸(1643)山頂の大石。山名は谷ではなく元は「大岩ヶ丸」(オオヤンガマル)だという。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 流線型が見事。
流線型が見事。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 「平ッ沢開墾地」。東長久保・西長久保は明治に開墾された。人工物は見当たらないが、人の手が入っている。
「平ッ沢開墾地」。東長久保・西長久保は明治に開墾された。人工物は見当たらないが、人の手が入っている。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 この日 最も整然としていたカラマツ林。
この日 最も整然としていたカラマツ林。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 女性的なしなやかな姿の大ブナは、葉先から黄葉が始まっていた。
女性的なしなやかな姿の大ブナは、葉先から黄葉が始まっていた。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 防火帯には進まずに尾根を忠実に辿る。
防火帯には進まずに尾根を忠実に辿る。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 「金洞丸」が元の字らしい。
「金洞丸」が元の字らしい。
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 スミ沢(ズミ沢)
スミ沢(ズミ沢)
滝子山・大谷ヶ丸・笹子雁ヶ腹摺山 道証地蔵の場所に戻って下山完了。朝押した登山口のカウンターは「2227」から「2250」になっていた。
道証地蔵の場所に戻って下山完了。朝押した登山口のカウンターは「2227」から「2250」になっていた。

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