試練の似虎谷と感動の栂海新道

2017.10.07(土) 3 DAYS

チェックポイント

DAY 1
合計時間
1 時間 45
休憩時間
0
距離
5.8 km
のぼり / くだり
440 / 112 m
DAY 2
合計時間
11 時間 39
休憩時間
7 時間 5
距離
4.0 km
のぼり / くだり
808 / 263 m
DAY 3
合計時間
12 時間 52
休憩時間
5 時間 58
距離
8.8 km
のぼり / くだり
1163 / 1386 m
3
38
36
23
1 13
1 15

活動詳細

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似虎谷(ねごや)。 その独特の名前から、当山岳会のメンバーを長らく惹きつけてきた魅惑の沢である。 噂によれば、遡行の難易度はかなり高い。 昨年は、天候不順により断念。今年も9月の三連休に予定されていたが、台風のためまた断念。 そして10月の三連休に持ち越された。参加予定メンバーは4名。 しかし、2週間前に釜谷での同行者の滑落事故(幸いにも無傷)があり、重苦しい雰囲気に。 私は滑落現場を目撃していたので、正直、山に入るのが怖くなっていた。 だが、仲間から励まされ、似虎谷へのチャレンジを決意。 そしてとうとう入渓の日がやってきた。 噂通り、似虎谷は厳しかった。 それでも、メンバーで力を合わせ、次から次へと現れる滝をどんどん突破していく。 しかし、標高1000m付近で時間切れとなり、谷中でビバーク。 不安な夜を過ごしていたが、ふと空を見上げると満天の星。 あまりにも美しい夜空に感動し、気づけば不安を忘れていた。 翌日は無事に似虎谷を抜け、北又谷源流へ。 ここはまさに桃源郷。天国のように美しい世界が広がっていた。 青空のもと、楽しみながら遡行し、ついに栂海新道の登山道に合流。 鮮やかな紅葉の稜線は、厳しい遡行を乗り越えたビクトリーロード。 間違いなく、これは人生で最高の山行となった。

白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 14時20分、大平の発電所先のゲートより林道を歩き始める。
14時20分、大平の発電所先のゲートより林道を歩き始める。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 メンバーは、抜群の安定感を誇る大ベテラン3名と新人である私の計4名。とても心強い。
メンバーは、抜群の安定感を誇る大ベテラン3名と新人である私の計4名。とても心強い。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 30分ほどで、滝淵の発電所を通過。
30分ほどで、滝淵の発電所を通過。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 林道のそばを流れる境川。明日は、この川を遡行するのである。
林道のそばを流れる境川。明日は、この川を遡行するのである。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 時折、霧雨が降る。
時折、霧雨が降る。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 15時50分に入渓地点に到着。取水施設がある。標高430m。
15時50分に入渓地点に到着。取水施設がある。標高430m。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 ツェルトを設営し、夕飯の支度をする。明日の遡行に向け、豚キムチ鍋でエネルギーをチャージした。。
ツェルトを設営し、夕飯の支度をする。明日の遡行に向け、豚キムチ鍋でエネルギーをチャージした。。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 翌朝。5時に取水施設を出発する。まだ辺りは真っ暗である。月が出ていて、天気は良さそうだ。
翌朝。5時に取水施設を出発する。まだ辺りは真っ暗である。月が出ていて、天気は良さそうだ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 似虎谷の下部は穏やかな流れが続く。
似虎谷の下部は穏やかな流れが続く。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 美渓である。
美渓である。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 しばらくは次々と堰堤が出現する。
しばらくは次々と堰堤が出現する。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 多くの堰堤には梯子がついており、容易に乗り越えられる。
多くの堰堤には梯子がついており、容易に乗り越えられる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 ここまではまだ沢の美しさを楽しむ余裕がある。
ここまではまだ沢の美しさを楽しむ余裕がある。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 彼方に犬ヶ岳の頂上が見える。果てしなく遠く感じる。
彼方に犬ヶ岳の頂上が見える。果てしなく遠く感じる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 堰堤は全部で7つ。最終堰堤は、高巻き必須。懸垂下降で河原に降りる。
堰堤は全部で7つ。最終堰堤は、高巻き必須。懸垂下降で河原に降りる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 スタートから2時間で、やっと全ての堰堤を越えた。これから先、人工物は一切ない。
スタートから2時間で、やっと全ての堰堤を越えた。これから先、人工物は一切ない。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 標高は530m。入渓地点から100mしか上がっていない。
標高は530m。入渓地点から100mしか上がっていない。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 しばらくはゴーロ地帯が続く。
しばらくはゴーロ地帯が続く。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 標高670m地点、3mほどのスライダー滝。フリーで容易に突破可能。
標高670m地点、3mほどのスライダー滝。フリーで容易に突破可能。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 そしてすぐに10mはある大きな滝が行く手を阻む。
そしてすぐに10mはある大きな滝が行く手を阻む。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 左岸を見ると一本のルンゼ。ここを詰めて高巻く。
左岸を見ると一本のルンゼ。ここを詰めて高巻く。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 高巻きの途中から見た滝。立派な滝である。
高巻きの途中から見た滝。立派な滝である。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 再び河原へ。
再び河原へ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 そして、また滝。滝壺が深く、泳ぐ羽目になるので、直登はパスし、高巻きを選択。
そして、また滝。滝壺が深く、泳ぐ羽目になるので、直登はパスし、高巻きを選択。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 後ろを振り返る。立派なV字谷になっているのが分かる。
後ろを振り返る。立派なV字谷になっているのが分かる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 高巻きのスタート地点は足場が悪い。岩にハーケンを2枚打ち込み、始点を作る。
高巻きのスタート地点は足場が悪い。岩にハーケンを2枚打ち込み、始点を作る。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 30mロープ2ピッチの後、懸垂下降して河原へ降り立つ。高巻きに1時間以上要した。運が良いことに、次に控えていた10mほどの滝の上部に出た。
30mロープ2ピッチの後、懸垂下降して河原へ降り立つ。高巻きに1時間以上要した。運が良いことに、次に控えていた10mほどの滝の上部に出た。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 次の滝はYさんがフリーで突破し、フィックスロープを張ってくれた。ロープ伝いにプルージックまたはユマールで登る。
次の滝はYさんがフリーで突破し、フィックスロープを張ってくれた。ロープ伝いにプルージックまたはユマールで登る。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 標高760m地点にて休憩する。
標高760m地点にて休憩する。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 続いて現れるのは10mほどのスライダー滝。標高は800m手前。
続いて現れるのは10mほどのスライダー滝。標高は800m手前。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 ここもYさんがまず空荷で突破を試みる。
ここもYさんがまず空荷で突破を試みる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 つるつるの岩で滑りそうになりながらも、何とか突破し、フィックスロープを張ることに成功。
つるつるの岩で滑りそうになりながらも、何とか突破し、フィックスロープを張ることに成功。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 2番手、3番手はプルージックまたはユマールで登り、Yさんのザックを引っ張り上げた後、4番手を引き上げる。
2番手、3番手はプルージックまたはユマールで登り、Yさんのザックを引っ張り上げた後、4番手を引き上げる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 険しい谷の奥へさらに潜入する。
険しい谷の奥へさらに潜入する。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 徐々に傾斜が急になるも、しばらくはザイル不要で進める。
徐々に傾斜が急になるも、しばらくはザイル不要で進める。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 標高850m地点まで来た。厳しそうに見えるこの滝もフリーで突破可能。
標高850m地点まで来た。厳しそうに見えるこの滝もフリーで突破可能。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 続いて、この5mほどの滝。登れそうに見えるが、濡れるのを嫌い、高巻くことに。
続いて、この5mほどの滝。登れそうに見えるが、濡れるのを嫌い、高巻くことに。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 だが、この滝の高巻きは容易ではなかった。
だが、この滝の高巻きは容易ではなかった。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 草付きの滑りやすい斜面を登り、潅木帯で支点を取る。
草付きの滑りやすい斜面を登り、潅木帯で支点を取る。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 高巻き途中から谷の下部を振り返る。
高巻き途中から谷の下部を振り返る。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 斜面をトラバースするようにロープを使いながら移動し、懸垂で河原へ。やはり高巻きに1時間以上要した。
斜面をトラバースするようにロープを使いながら移動し、懸垂で河原へ。やはり高巻きに1時間以上要した。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 続くこの滝は、左岸の岩を登って容易に突破できる。
続くこの滝は、左岸の岩を登って容易に突破できる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 13時、標高890m地点。ここで谷は二手に分かれる。左は直接犬ヶ岳山頂へ突き上げ、右は犬ヶ岳〜初雪山の稜線の1270mコルへ向かって突き上げる。
13時、標高890m地点。ここで谷は二手に分かれる。左は直接犬ヶ岳山頂へ突き上げ、右は犬ヶ岳〜初雪山の稜線の1270mコルへ向かって突き上げる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 一休みし、右の谷に入る。
一休みし、右の谷に入る。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 左は大滝が連続する困難なルート。時間的にも厳しいため、左へ行く選択肢はなかった。
左は大滝が連続する困難なルート。時間的にも厳しいため、左へ行く選択肢はなかった。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 ここから、谷はますます傾斜を急にし、似虎谷の核心部に入る。
ここから、谷はますます傾斜を急にし、似虎谷の核心部に入る。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 ガスがかかって視界が悪い。
ガスがかかって視界が悪い。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 すぐに現れる滝。
すぐに現れる滝。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 左岸のルンゼを登り、高巻こうとする。
左岸のルンゼを登り、高巻こうとする。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 このルンゼはガラガラで足場が不安定であり、難儀した。トップのYさんによれば、フィックスロープの支点は岩に打ち込んだハーケンで取ったが、いつ抜けるか分からず、ヒヤヒヤしたと言う。
このルンゼはガラガラで足場が不安定であり、難儀した。トップのYさんによれば、フィックスロープの支点は岩に打ち込んだハーケンで取ったが、いつ抜けるか分からず、ヒヤヒヤしたと言う。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 フィックスロープ上部付近の草を束ねて支点を取り、シュリンゲを伝って慎重に2mほど降りることで、無事に滝上部に出た。この上はさらに険しくなる。
フィックスロープ上部付近の草を束ねて支点を取り、シュリンゲを伝って慎重に2mほど降りることで、無事に滝上部に出た。この上はさらに険しくなる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 突如ガスが晴れ、青空が広がる。幻想的である。
突如ガスが晴れ、青空が広がる。幻想的である。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 奥は栂海新道の稜線。明日の帰り道だ。
奥は栂海新道の稜線。明日の帰り道だ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 先ほどの滝の高巻きをトップで進んだ空荷のYさん。この後、一度降りて自身のザックを回収して再度登ってきた。
先ほどの滝の高巻きをトップで進んだ空荷のYさん。この後、一度降りて自身のザックを回収して再度登ってきた。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 晴れも束の間、再びガスに巻かれる。奥に滝が見える。
晴れも束の間、再びガスに巻かれる。奥に滝が見える。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 登れそうに見えるが、手掛かり足掛かりが小さく、容易ではない。
登れそうに見えるが、手掛かり足掛かりが小さく、容易ではない。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 Yさんが突破を試みる。
Yさんが突破を試みる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 なかなか上手くいかない。
なかなか上手くいかない。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 この先にどうしても行けず、直登は諦め、右岸の尾根に入ることにした。尾根に上がり、この先谷に降りるべきか、尾根をしばらく進むか協議した。1ピッチロープを伸ばしたが、先が見えない。日没も近い。
この先にどうしても行けず、直登は諦め、右岸の尾根に入ることにした。尾根に上がり、この先谷に降りるべきか、尾根をしばらく進むか協議した。1ピッチロープを伸ばしたが、先が見えない。日没も近い。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 ベテラン陣による協議の結果、本日はここで行動をストップすることに。付近をよく観察し、少し開けた隣の谷の中でビバーク決定。
ベテラン陣による協議の結果、本日はここで行動をストップすることに。付近をよく観察し、少し開けた隣の谷の中でビバーク決定。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 岩を移動して整地し、付近の草を刈って敷き詰める。その上から断熱マットを敷いて寝床とする。
岩を移動して整地し、付近の草を刈って敷き詰める。その上から断熱マットを敷いて寝床とする。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 お湯を沸かし、晩ごはんとする。メニューは尾西のアルファ米シリーズと味噌汁。晩ごはんを食べ終わったら、ツェルトをかぶってすぐに寝る。
お湯を沸かし、晩ごはんとする。メニューは尾西のアルファ米シリーズと味噌汁。晩ごはんを食べ終わったら、ツェルトをかぶってすぐに寝る。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 19時過ぎ、ツェルトから顔を出すと満天の星。人生で見た中で間違いなく一番の星空だ。明日の不安を忘れ、無心で星を眺めた。再び目を覚ますと時刻は0時を回っていた。今度は月が出ている。星と月に見守られている安心感の中で再び眠りについた。
19時過ぎ、ツェルトから顔を出すと満天の星。人生で見た中で間違いなく一番の星空だ。明日の不安を忘れ、無心で星を眺めた。再び目を覚ますと時刻は0時を回っていた。今度は月が出ている。星と月に見守られている安心感の中で再び眠りについた。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 翌朝は4時半起床。ビバークにしてはよく寝れたと思う。朝ごはんも尾西のアルファ米シリーズと味噌汁。
翌朝は4時半起床。ビバークにしてはよく寝れたと思う。朝ごはんも尾西のアルファ米シリーズと味噌汁。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 5時を過ぎると東の空が少し明るんできた。
5時を過ぎると東の空が少し明るんできた。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 6時、ビバーク地を出発する。ここはまだ標高1000mよりやや低い。目指す1270mのコルまで標高差で300m近くある。何時間で抜けられるだろうか。
6時、ビバーク地を出発する。ここはまだ標高1000mよりやや低い。目指す1270mのコルまで標高差で300m近くある。何時間で抜けられるだろうか。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 昨日入りかけた尾根を進む。それなりの斜度があるため、ロープを出す。2名1組でザイルパートナーを組みながら、効率よく伸ばしていく。
昨日入りかけた尾根を進む。それなりの斜度があるため、ロープを出す。2名1組でザイルパートナーを組みながら、効率よく伸ばしていく。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 我が山岳会一のベテランNさん(72歳)。行動待ちの時間で、様々な知恵を伝授してくれた。
我が山岳会一のベテランNさん(72歳)。行動待ちの時間で、様々な知恵を伝授してくれた。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 ビバーク地から4,5ピッチ伸ばしたところで、尾根は緩む。標高は1100m。
ビバーク地から4,5ピッチ伸ばしたところで、尾根は緩む。標高は1100m。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 そこからはノーザイルで尾根を進んだ。もう険しい谷の中に降りることは考えなかった。
そこからはノーザイルで尾根を進んだ。もう険しい谷の中に降りることは考えなかった。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 ぼちぼちと紅葉している木々が現れる。
ぼちぼちと紅葉している木々が現れる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 標高が上がっていることを実感できる。
標高が上がっていることを実感できる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 やや急な泥付きの斜面に苦戦する。沢靴の底がフェルトなのでよく滑るのだ。腕で潅木を掴みながらどんどん標高を稼いだ。この辺りが一番しんどかった。
やや急な泥付きの斜面に苦戦する。沢靴の底がフェルトなのでよく滑るのだ。腕で潅木を掴みながらどんどん標高を稼いだ。この辺りが一番しんどかった。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 8時30分、標高1200mを突破。急斜面の藪漕きで消耗したが、もうあと少しだ。
8時30分、標高1200mを突破。急斜面の藪漕きで消耗したが、もうあと少しだ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 8時50分、ついに...。
8時50分、ついに...。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 似虎谷を抜け、1270mのコルに到着。感無量だ。ここは今年の正月にも通過した地点である。
似虎谷を抜け、1270mのコルに到着。感無量だ。ここは今年の正月にも通過した地点である。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 しばし休憩とする。やっと電波が繋がったので、下界と連絡を取った。
しばし休憩とする。やっと電波が繋がったので、下界と連絡を取った。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 コルから犬ヶ岳方面に向かうのだが、稜線上は猛烈な藪となっている。そこで、尾根から離れ、似虎谷と反対方向にある谷に向かって一旦降りる。
コルから犬ヶ岳方面に向かうのだが、稜線上は猛烈な藪となっている。そこで、尾根から離れ、似虎谷と反対方向にある谷に向かって一旦降りる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 その谷の名前は北又谷。圧倒的な水量を誇る日本有数の名渓である。その源流を遡行して犬ヶ岳方面に向かうのだ。
その谷の名前は北又谷。圧倒的な水量を誇る日本有数の名渓である。その源流を遡行して犬ヶ岳方面に向かうのだ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 9時15分、コルから標高で50mほど下げ、無事に北又谷源流に降り立つ。
9時15分、コルから標高で50mほど下げ、無事に北又谷源流に降り立つ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 似虎谷とは一味違う雰囲気が漂う谷だ。
似虎谷とは一味違う雰囲気が漂う谷だ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 狭い谷ながらも太陽の光が差し込んで開放的だ。
狭い谷ながらも太陽の光が差し込んで開放的だ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 小さな滝が現れる。Sさんがトップで通過し、上からお助けロープを垂らす。
小さな滝が現れる。Sさんがトップで通過し、上からお助けロープを垂らす。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 写真では上手く表現できないが、うっとりするような美しい谷である。
写真では上手く表現できないが、うっとりするような美しい谷である。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 険しい似虎谷を抜け切った後だからだろうか、天国のように思える。
険しい似虎谷を抜け切った後だからだろうか、天国のように思える。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 びっくりするほど清らかな水。
びっくりするほど清らかな水。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 こんな天国のような場所があるなんて、谷は来てみないと分からないものだ。
こんな天国のような場所があるなんて、谷は来てみないと分からないものだ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 似虎谷と比べれば、このような滝も可愛いもの。
似虎谷と比べれば、このような滝も可愛いもの。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 Yさんがトップで通過。
Yさんがトップで通過。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 それからも数mの滝がいくつも出現するが、直登可能。滝を登る楽しささえ味わえる適度な難易度だ。
それからも数mの滝がいくつも出現するが、直登可能。滝を登る楽しささえ味わえる適度な難易度だ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 「沢登りってこんなに楽しいんだ」と初めて思えることができた。
「沢登りってこんなに楽しいんだ」と初めて思えることができた。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 次から次へと現れる滝を軽やかに突破していく。めちゃくちゃ楽しい。
次から次へと現れる滝を軽やかに突破していく。めちゃくちゃ楽しい。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 美景と美渓を楽しみながらの遡行は続く。
美景と美渓を楽しみながらの遡行は続く。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 標高1300m付近で、やや難易度の高い8mの滝。これもYさんがトップで突破。
標高1300m付近で、やや難易度の高い8mの滝。これもYさんがトップで突破。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 3点支持で確実に登れるため、どんどん進む。
3点支持で確実に登れるため、どんどん進む。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 標高1370m、ルート工作が必要な5mほどの滝。
標高1370m、ルート工作が必要な5mほどの滝。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 岩にハーケンを打ち込みながら、トップでYさんが行く。
岩にハーケンを打ち込みながら、トップでYさんが行く。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 この後、無事に突破。フィックスロープを張り、全員のザックを引き上げた後、後続がプルージック、ユマールで登る。
この後、無事に突破。フィックスロープを張り、全員のザックを引き上げた後、後続がプルージック、ユマールで登る。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 続いてすぐに、新たな滝。私がビレイヤーとなり、トップのSさんを確保。一度滑ったものの無事に突破することができた。
続いてすぐに、新たな滝。私がビレイヤーとなり、トップのSさんを確保。一度滑ったものの無事に突破することができた。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 1270mのコルが低く見える。だいぶ標高を上げた証である。
1270mのコルが低く見える。だいぶ標高を上げた証である。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 しばし休憩して、奥を目指す。
しばし休憩して、奥を目指す。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 斜度は急になるが、大きな滝はなくスムーズに進めた。
斜度は急になるが、大きな滝はなくスムーズに進めた。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 犬と初雪を繋ぐ稜線の紅葉が素晴らしい。
犬と初雪を繋ぐ稜線の紅葉が素晴らしい。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 最後のいやらしい滝。Yさんがトップで登り、お助けロープを出す。
最後のいやらしい滝。Yさんがトップで登り、お助けロープを出す。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 左奥の山が初雪山である。
左奥の山が初雪山である。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 標高1450mを越え、沢は枯れ始めた。
標高1450mを越え、沢は枯れ始めた。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 12時30分、標高は1500mを越えた。稜線まであとわずかのはずだ。
12時30分、標高は1500mを越えた。稜線まであとわずかのはずだ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 境川の河口部が見える。S字を描く似虎谷も。
境川の河口部が見える。S字を描く似虎谷も。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 この藪を抜ければ...。
この藪を抜ければ...。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 12時45分、ついに栂海新道の稜線に合流した。長い長い沢登りがついに終わった。
12時45分、ついに栂海新道の稜線に合流した。長い長い沢登りがついに終わった。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 栂海新道上はこれ以上ない紅葉に染まっていた。
栂海新道上はこれ以上ない紅葉に染まっていた。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 険しい谷を登り切った後のビクトリーロードだ。
険しい谷を登り切った後のビクトリーロードだ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 しばらくしてYさんとNさんも稜線上に出た。4人で喜びを分かち合う。
しばらくしてYさんとNさんも稜線上に出た。4人で喜びを分かち合う。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 どこを見ても山肌は紅葉に包まれている。
どこを見ても山肌は紅葉に包まれている。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 人生で見た一番美しい紅葉であった。
人生で見た一番美しい紅葉であった。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 13時、犬ヶ岳頂上に到着。ハーネス類を外し、大休憩とする。
13時、犬ヶ岳頂上に到着。ハーネス類を外し、大休憩とする。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 やがて付近はガスで包まれる。ガスが湧く前に絶景と紅葉を堪能できて良かった。
やがて付近はガスで包まれる。ガスが湧く前に絶景と紅葉を堪能できて良かった。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 13時40分、栂海山荘。
13時40分、栂海山荘。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 ちょっと中に入ってみる。
ちょっと中に入ってみる。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 無人小屋だが、とても綺麗で快適そうな小屋だった。
無人小屋だが、とても綺麗で快適そうな小屋だった。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 あとは下山あるのみ。白鳥山方面へ長い稜線歩きだ。
あとは下山あるのみ。白鳥山方面へ長い稜線歩きだ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 霧のブナ林は非常に幻想的。
霧のブナ林は非常に幻想的。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 15時10分、菊石山。
15時10分、菊石山。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 15時55分、下駒ヶ岳。
15時55分、下駒ヶ岳。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 17時15分、白鳥山。
17時15分、白鳥山。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 日没が近い。ヘッドランプをつけてラストスパート。
日没が近い。ヘッドランプをつけてラストスパート。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 山姥洞方面へ。
山姥洞方面へ。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 真っ暗闇の中を、ヘッドランプの明かりだけを頼りに下山する。周りが見えないため、体のバランスを取るのが難しい。
真っ暗闇の中を、ヘッドランプの明かりだけを頼りに下山する。周りが見えないため、体のバランスを取るのが難しい。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 18時25分、山姥洞。
18時25分、山姥洞。
白鳥山・下駒ヶ岳・犬ヶ岳 18時45分、登山道始点。2泊3日の長い旅が終わった。4人で固い握手を交わす。全員無事に帰ってこれたこと、天気に恵まれたことに感謝する。感動に包まれたまま帰路に着いた。
18時45分、登山道始点。2泊3日の長い旅が終わった。4人で固い握手を交わす。全員無事に帰ってこれたこと、天気に恵まれたことに感謝する。感動に包まれたまま帰路に着いた。

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