活動データ
タイム
24:06
距離
32.2km
のぼり
3715m
くだり
3707m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る5月10・11日(木・金)に休暇を取った。前回の出張で週末をつぶした分。10~12日までの天気は良好。連休中に登った山を振り返る。甲斐駒、鳳凰山(地蔵)、仙丈ケ岳。すっかり南アルプスがホーム化し愛着がわいてきてしまった。そして自分の勘違いもあり連休中に果たせなかった山行、それが「北岳」だ。言うまでもなく日本アルプス最高峰。中央道から甲府盆地へは行ってバーン!と目に飛び込んでくる白峰三山、あのお山の一番高いところ。北アルプスに行こうとも考えていたが、やはり残雪の南アルプス、北岳に行きたい。 ルートをいろいろ考えたが、夜叉神の森駐車場発で鷲の住山経由、あるき沢橋登山口から池山吊尾根ルートのピストンを選択。折角だからテント泊をやろう。こんかいは休暇をもらって余裕があるので2泊3日で。初日は行けるところまで行ってテントを張り、2日目は山頂へアタックしピストンでテン場へ戻る。3日目はゆっくりと夜叉神へ戻ってくる。2日目は特に天気が良いので一日北岳登山を楽しむ山行計画だ。 さて準備。この時期は夏用と冬用の装備が必要となるうえ、南アルプスではまだ小屋も営業していないので水が入手可能かどうかも分からない。よって荷物も必然的に多くなる。冬用装備と2泊3日分のドリンクと料理用の水合わせて4リットル。これに宿泊用テントとシュラフ、汗もかくだろうから着替えも。家を出るときの重量は20㎏。コンビニで食料・ビール等を買い足して登山開始時はおそらく22kg。この間の甲斐駒のときとあまり変わらない。だが今回は2泊3日だし水も持っていくのでこんなものか。 初日は朝5時ごろ出発。前日準備に時間がかかり、あまり眠れていない。途中のパーキングエリアで休憩していく。甲府昭和で高速を降りて、いざ夜叉神へ。ところが本日は平日。竜王~釜無川の橋を超えるまでズッポリ渋滞にはまる。まさかこんなところで...。結局予定より一時間ほど遅れて到着。現地はガスっており、出発時には雨が降り出した。9時、何か不安な出だし。ゲートのところで登山届を提出し、長さ1キロほどの夜叉神トンネルへ。今日は工事中だったのでシャッターも開いていた。工事個所も難なく通過できた。トンネルを抜けたら晴れていて、もう一つの観音経トンネルを抜けるとアルプスが見えた。頂部は曇っていたが、充分にアルプスの雰囲気を感じさせる。そして鷲の住山へ。いきなりの岩場でハシゴも出てきたりして、この先ずっとこんな感じなのか?と不安がよぎる。だが岩場は最初のみで、山頂からの下りは急ではあったが、危険な岩場はない。この山はイワカガミが群生しており、多少不安な気持ちが癒された。帰りはどんな気分でここを通るのだろう。山を急下り野呂川発電所のつり橋を渡る。結構揺れる。ストックを左手に持っていたが、それが気になった。復路はストックをしまって両手フリーの状態にしなければ。渡ったところで発電所勤務の方にあった。奈良田からの舗装道への行き方を教えていただく。舗装道を歩いてあるき沢橋の登山道へ。ここでお昼休憩。今日は池山小屋付近でテントかなと思う。もう少し先に行きたかったが、出発の遅れと荷物の重さを考えるとそんなもんだろ。緑のすばらしい、でも急な樹林帯の道を歩く。倒木とかがそのままになっていて、それを超えたりくぐったり(これが嫌だ)、スノーバスケットを付けたストックが植物に引っかかったりし、こういうのがジャブのように効いて疲労感が増す。広葉樹が針葉樹に変わり、地形が緩やかになってしばらく行くと池が見えた。15時半。なかなか穏やかでよさげなところ。ここにテン泊しよう!さっそくテントを張り、ビールで渇きをいやし、夕食はラーメンとおにぎりで。今日はすごく冷える。テントの中でバーナーを炊いて焼酎を飲んで19時には就寝。 2日目、3時半頃に目覚ましの第一声。うーん、もう少し...。夜中寒さで目が覚めたりした。4時前に起床。フライが凍ってるよ。ラーメンを食べ、今日の山行に必要な荷物をまとめ、4時半出発!しばし朝の快適な針葉樹林帯をあるき、急登して尾根へ。富士や白峰三山などの雰囲気を左手に感じながら尾根道を進む。昨日から気づいていたが、割と新しい踏み跡があった。城峰を過ぎたあたりから雪道となったが、はっきりとトレースがついていた。トレースとピンクリボンのマーカーを頼りにボーコン沢の頭目指して進んでいると、向こうから2人組の男性ハイカーとすれ違う。山頂から下山中とのこと。彼らのトレースだった。山頂まではほぼ夏道で問題なく行け、最後のアプローチの部分で雪面のトラバースがあるが、アイゼンとピッケルがあれば大丈夫、とのこと。トレースはつけてある、との言葉に北岳登頂が俄然現実味を増す。雪とハイマツの道を進みボーコン沢の頭へ。おーーーーー!!!なんじゃこりゃー!!!「北岳バットレス」、バーン!!!そして見渡すと間ノ岳・農鳥岳それにつづく南アの稜線、富士山、甲府盆地、鳳凰三山、八ヶ岳、甲斐駒...。もーワンダフル...。山梨に入ってから一度もその姿を拝むことのなかった北岳、いきなりこんなに近く、こんな大迫力で迫ってくるかー!それにしても一体全体こんなのどうやって登るんじゃー!?落ち着こう。確かに山頂までの壁はいくつもあるが、いきなり目的の大きさを感じてしまうのではなく、足元をシッカリ見て身近なものから一つ一つクリアしていこう。ボーコン沢の頭から八本歯のコルへと向かう岩とハイマツ中心の稜線を一歩一歩進む。ハイマツがスノーバスケットに引っかかって面倒だ。こういうちょっとしたところに夏・冬のギア選択に矛盾を感じてしまう。おや?このお方は雷鳥?初めて見た。「コツコツ」と鳴いていてカワいかった。そして八本歯のコルへ、ストックをしまい、グローブをはめて岩場へ臨む。意外といける。補助ロープを使わなかった。梯子を慎重におりて鞍部へ。大樺沢ルートが広河原まで一望できる。このルートきっと楽だな。最後ここまでの急登はキツイだろうけど。八本歯のコルの2段ハシゴを登る。疲れが足に来ている。これからまだまだ登らなければ。ゆっくりと北岳の南の肩へと向かう。今日は暑く雪の状態が気になる。緩いようだと雪面トラバースは諦めなくてはいけないかもしれない。だから緩む前に早く行って往復してしまいたい。肩の稜線に立った。途端に強風。こりゃ冬だ。ここで冬用アウターを着込み、アイゼン、ヘルメット装着。ピッケルに変えた。風のなか最後のアプローチへ。慎重に一歩一歩進む。そして雪面トラバース箇所。雪はまだ大丈夫そうだ。慎重にトレースをたどる。急斜面だ。落ちても死にはしないだろうが結構下までいくな、これ。トラバース最後の切り立った部分をピッケルのピックを使って体を上へ引き上げる。ふぅ~。後は山頂へ。北岳3193m!!ヤッタね!!ボーコンから北岳山頂見た時はとても登れそうにないと圧倒されたが、一つ一つを着実に進んで、登頂。やればできる。 仙丈がきれいに見える。北アルプスをバックに。甲斐駒と八ヶ岳。中央アルプス。少し南側に位置をずらすと間ノ岳・農鳥岳へと続く稜線。そして富士山!ここは富士山の容姿を拝める日本一高い場所だ。さあ下山。雪が少し緩まったのか、さきほどのトラバースのところでアイゼンが決まらない。ヤな感じだ。ピッケルで確保しながら雪面に張り付くようにカニのように少しづつ横へ移動し、なんとかクリアー。肩へ戻る。ここから先は風もなく春というか初夏の山、冬用のアウターを脱ぐ。一体何なんだこの急激な季節の差は。一応アイゼンはつけたままで八本歯のコルをクリアーし、お昼休憩。難所の往復をクリアーし、少し気が抜ける。ボーコンまでの稜線は暑さと岩場のアイゼン歩行でなかなか思うように進まなかった。アイゼンを外しても良かったのだろうがやはり雪がまだでてくるので外すタイミングが難しかった。これもこの時期の難しいところかと。ボーコンにつきもう一度眺望を確認。そして下る。結構疲れが来ていた。判断力も低下していた気がする。何回かコースアウトしてしまいそうだったが、ヤマップに往路が表示されていて、復路がそれた時に確認できるので助かった。最後は長ーい緩やかな樹林帯を延々歩き、テントへ到着。あ~疲れた。今日はなんだかんだんで活動時間は12時間程。2泊にしておいてよかったよ。お疲れビールを楽しみ、夕飯のラーメンを食し、焼酎とスルメで最後の夜を〆る。 3日目、4時半ころ目覚め、朝のチャーハン。水分が少なく食が進まない。でもなんとか掻き込み、残った調理用の水をがぶ飲み。残った水でコーヒーを飲んだ。テントを撤収し荷物をまとめ6時過ぎに下山開始。今日は夜叉神の駐車場へ戻るわけだがその過程は容易ではない。それは鷲の住山の400mの急登があるからだ。2泊して水と食料がなくなった分4~5㎏は軽くなったが、それでも疲れのたまった中での急登。これが嫌で奈良田温泉から延々歩くルートを選択する人もいるという。だから今日の目的は「鷲の住山登山をゆっくり楽しむ」という設定にした。今日は低山の登山を楽しむのだ。これも2泊3日という工程がもたらす余裕なのだが。延々と樹林帯を下る。緩かったり急だったり。最後の登山口近くのブナっぽい常緑樹のあたりで気分よく歩いていると、下から登ってくる若者2人組。聞くと奈良田から歩いて今ここに達したらしく、彼らの計画は「今から日帰りで北岳登山」とのこと。もう7時半過ぎ。「えっ今から??」。正直厳しいと思ったが、彼らは北岳4度目の挑戦とのことでヤマレコでも日帰りの記録があったのでその検証も含めて挑戦する、とのこと。山には慣れているだろうから決して無理はしないだろう。ほぼ夏道で行けて最後の雪面トラバースがあるのでアイゼンとピッケルは本当に最後だけ必要、ということを伝え、「お気をつけて」と言って別れた。本当に気をつけてくれよ。でもこの時期にこのルートで日帰りにチャレンジするって、男気があっていいじゃないか。さて、舗装道に入り発電所のつり橋を超えたところでスパッツと冬用ズボンを脱ぎ、鷲の住山急登に備える。急登はゆっくりと、あまり汗をかかないように。もうドリンクの量も限られている。アセビ、ヤマツツジ、そしてイワカガミ!を楽しみながらゆっくりと登る。登りごたえもあり植物もキレイだし、なかなかいい山だよ!そして最後の岩場を抜けて夜叉神への舗装道へ。ここでドリンクとVAAMのゼリーを一気に吸い込み、渇きをいやす。ここからはトンネルに備えてヘッドランプを準備して後は快晴の道をひたすら歩くだけ!最後の夜叉神トンネルを抜け到着!!正午前。「夜叉神の森」っでお風呂に入ろうと思ったがまだやっていない(やはりシーズン前なので)、ということで芦安の日帰り温泉に入って疲れを癒し、渋滞のない中央道を帰った。午後4時半前着。 決して楽ではなかったが楽しかった山行を振り返りながら、自宅前でアイゼンや靴を洗った。今回の収穫は無理なくほぼ計画通りに事が運べたこと。現地であわてなかったこと。かな。 今日も長文でスミマセン。
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