活動データ
タイム
07:06
距離
14.2km
のぼり
1064m
くだり
1063m
活動詳細
すべて見るある日ブルンベ平という名前を目にした。 綱附森から天狗塚の縦走路の途中にある開けた場所のことらしい。 「ブルンベ」とは島原の一部地方の方言で「ギンバエ」のこと。 高知大学山岳部に所属していたこの地方の出身者が、あまりのギンバエの多さに思わず「ブルンベ!」と叫んだことが名前の由来らしい。 戯れた由来がすっかり気に入ってしまったのでこの目で見たくなってしまった。 因みに三嶺の「さおりヶ原」も昔、高知大学山岳部の南沙織のファンによって名付けられたという。 古事や伝説に由来する山名も好きだが、石鎚山のラピュタ岩のように岳人達の間から自然と呼ばれるようになった名前には面白さと親しみやすさがあって自分好みだ。 てな訳で今日も元気にイッテキマース! ■弱い陽射し 天気予報では午前中はイイお天気とのこと。 早めに登って早めに下山しようと朝5時に出発。 高知市からは195号線を東へ、香美市大栃で県道49号線へと入り、クネクネと細い道を矢筈峠を目指して北進。 早朝なら車で1時間30分〜2時間くらいで矢筈峠、通称アリラン峠の矢筈山登山口駐車場に到着する。 30台駐車可能でトイレも完備されていてキレイな駐車場。 綱附森の登山口はここから未舗装の林道を少し進んだ先に、これまた広めの駐車スペースがある。 今回はウォーミングアップも兼ねて矢筈山駐車場からスタートするが、身体が温まる前に登山口到着。 綱附森は展望良好の稜線歩きが楽しめる山だが細かなアップダウンを繰り返すので帰りが楽じゃないところが玉に瑕。 出だしも急峻なので身体が温まっていないと少々しんどいのだ。 時刻は7時30分、いつもなら朝の陽射しと身体の中からの熱でポカポカしてくるころだが陽射しが弱い。 やだな、やだな(稲川淳二調)と恐る恐る振り返ると…早くも厚めの雲が! 今日は寒い一日になりそうだ。 ■寒い山頂 稜線まで出ると矢筈山、天狗塚、三嶺、白髪山、石立山、御在所山等の山々が一望できる登山道が山頂まで続く。 薄曇りではあるが眺望は抜群。 主に天狗塚、牛の背を愛でながらのトレイルがこのルートの魅力。 苔の道や笹原のスフィンクス岩など名所を楽しみつつ、山頂直下の急登を登り切ると綱附森山頂に到着する。 が、ゴウ!と尋常じゃない音をたてて風が吹き抜けていく。 眺めは360°名だたる名山が見渡せるパノラマビューが広がる展望場山としては屈指の名山だが、この強風はたまらん。 寒すぎるので休憩もそこそこに本日のメイン「ブルンベ平」を目指して笹原の急登を滑り降りた。 ■寂しい名所 山頂から天狗塚へはいきなり笹漕ぎのルートが待っている。 踏み跡は薄いうえに獣道が縦横無尽についているので、まっすぐ降りるほうが無難。 立木が生えている場所まで来るとテープがチラホラ現れるので、迷うことはないと思われる。 ずっと下って展望のいい鞍部を越えた先に1559mのピークがあるが、どうやらココが「ブルンベ平」らしい。 開けた場所で新緑の頃はそれなりに美しい場所って感じはするが、いかんせんこの季節に加えて食害も酷く赤茶けた景色に枯れた木立という絵は寂しすぎた。 長居をすると切なくなってきそうなので、今回の目的地堂床分岐を目指すことに。 ここから先はようやく笹から解放されて木立の中を行く気持ちのいいルート。 マーカーも多く、心強い。 細かいアップダウンはあるが木々の間から段々大きく見えてくる天狗塚がイイ感じ。 ■優しい選択 思いの外、あっさり目的地に到着。 木立の中は寒さもあまり感じないので少し長め休憩で行動食を取る。 辺りを見渡すと今日ずーっと見てきた天狗塚が目に入り、おいでと誘っている様な気さえしてきた。 ここから天狗塚までは参考タイムで行きが1時間半で帰りが1時間くらいで行けない行程ではない。 天狗塚までのMAPも一応用意している。 難所は行きも帰りも地蔵の頭直下のロープ場だけだが… う!これは某よっしーさんの様に心の女王様が行けとムチを振るってくるパターンと思ったが、自分の心の中に妬美・嫉美・辛美というネガティブな闇の三姉妹しか存在しないのでアッサリ却下。 そうそうに引き上げて綱附森でメシでも喰うべということで帰路につく。 しかし、このネガティブな選択が大当たり。 ここまで景色を楽しみながら余裕で歩いていたつもりだったが最初の登り返しで嫌な疲労感を感じる。 細かなアップダウンの繰り返しにそこそこ足を削られていたようだ。 もし、あのまま進んでいたらと思うと…。 自分に優しい選択も時はありだな。 良かったMぢゃなくて。 ■厳しい登り返し 一旦、疲労を感じるとなかなか足が上がりづらくなってくる。 行きで前方に目的地を見ながらの眺望を楽しんでいたが、帰りは軽くメンタルに響いてくる。 ああ、まだあんなに高く遠い…。 それは、笹の急登まで差しかかると疲労感と相まってうんざりする景色に変わってきた。 いかん!このままでは辛いだけだ。 ここは、しばてんさんの必殺技を使わせてもらおう! シバテーンフィールド全開! 説明しよう!シバテンフィールドとは、しばてんさんの得意技で長く辛い急登を登る際に自分の足元に意識を集中、1m先は見て見ぬふりをして辛いポイントをいつの間にかやり過ごすという自分を騙しメンタルを守るという高等テクニックだ! しかし、進むこと10分でたちまち笹の重みが身体にのし掛かってくる。 一旦フィールドを解いて辺りを見渡すと完全に踏み跡をロストし、目の前には壁のような笹の斜面で埋め尽くされていた。 しまった!この技はちゃんとした登山道でのみ効果を発揮するのか! 後悔先に立たずとはこのこと。 今さら見通しの効くところまで降りて踏み跡を見当つける気にもならない。 しかたなく、逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ!と呟きながら笹の急斜面を登ることになってしまった。 良い子は真似しないでね。 ■暖かい場所 地獄の笹漕ぎをどうにか登りきって再び綱附森山頂へと帰ってくるも、相変わらずの強風と寒さでメシなど喰えたもんじゃない。 しかたなく風のない場所まで降りていく事にする。 少し降りると風はましになるが周囲は笹と枯葉だらけの地面で、とても火など使える場所はない。 しかたがないので、さらにトボトボ進んでいるとチラホラ登山道脇に岩が現れる。 中でも平らな岩があったので触ってみるとほんのり温かい。 ばっちり登山道横で丸見えだが、この際贅沢は言えないとランチの準備に取りかかる。 コンビニおにぎりにごま油と醤油を垂らしてホットサンドクッカーで焼き上げると、辺りには香ばしい臭いが広がって食欲はもうピーク。 焼き上がるAs soon asガブリ! 口の中の香ばしさとノドを通る温かさがじんわり身体に染み渡る。 ああ、温かいモノが旨い季節がまたやってきたなあ。 ■ちょっとしんどい下山 少し暖まったところで時刻はお昼の12時半。 太陽はすっかり雲の中で、晴れ間は期待できそうもない。 こうなりゃとっとと下山して温泉に浸かるのが一番。 できれば2時くらいには駐車場に辿りつきたいところだ。 少々ペースを上げ気味に下山を開始するが、この山唯一の難点が牙を剥く。 細かなアップダウンが帰りも続くため足が削られるうえに、行きではあれほど眺望楽しめた登山道も帰りは見所が殆どない退屈な道。 おまけに今回は笹地獄で必要以上に体力を消耗していたため、そこそこ辛い下山になってしまった。 しかし温泉に早く入りたい一心でなんとか予定通りに下山。 今回は自分へのささやかなご褒美として、普段は割高で敬遠している湖畔遊で源泉掛け流しのお湯をたっぷり楽しんだ。 お湯に浸かっていると、あの笹地獄でさえイイ経験だと思えるようになってくるから不思議。 新緑の頃なら天狗塚までのピストン縦走もありだなあ。 今回も終わってみればいい山旅でした。ありがとうございます。 さて、次回は近畿からのゲストヤマッパーが寒風山に降臨。 マッタリ楽しみましょ。
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