谷川岳

谷川岳 この美しい名前に心惹かれる 憧れめいた気持ちで いつもこの山の写真を眺めていた 大きく力強く、 それでいてどこか端整な印象の山 谷川土合口駅に立ち、 今自分がここにいる事を不思議に思いつつ 登山口へ向かう 木の根が複雑に絡み合う急な坂の道を進む 長く長く続く道 大小の砕けた岩が混じる道 未だ残る凍った雪の上を歩く道、 樹林帯、稜線、一枚岩、鎖場、雪渓 山はいくつもの違った表情を見せる 岩場の前で上を見上げ、一瞬怯む それでも 岩から下がる鎖をしっかりと手に掴み 足場を探し、窪みを探し、 手足を…身を投げ出して岩にしがみつき、 形振り構わぬ必死な形相で上がって行く この日私は どの場面でもごくシンプルに ただ一歩、前に進む そのことしか考えていなかったように思う 導かれる声に ただただ素直に従って 目の前の一歩を着実に踏んだ 進んだ先、上がりきった先の山頂の 四方の視界は真っ白であった ｢わぁー｣という歓声の方へ目を向けると 急速な勢いで流れ行く雲の間から 突如山並みが姿を現した その移ろいの迫力は言葉に出来ない だが直ぐに 再び雲が立ち上ぼり山を覆ってゆく 天候の変化とは別の次元の神秘 なんと荘厳で気高い姿なのだろう じわじわと胸に広がる感動に包まれながら 小雨の降る山を降りたが レインウェアを着た私の足取りは軽かった 「またこの山に会いに来たい…」 天神平駅から乗ったケーブルカーの窓越しに 眼下に広がる深い緑に目を遣りながら ひとりいつまでも名残を惜しんでいた カズ(元オヤジさん)隊長、 お世話になりました！ メンバーの皆さん、 素晴らしい１日を ありがとうございました！ 身体はキツキツガタガタですが 心はゆるゆるでした♪