姫越山 北登山口から山頂へ、芦浜へ下り南登山口へ

2018.12.01(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
5 時間 38
休憩時間
1 時間 10
距離
10.5 km
のぼり / くだり
847 / 847 m
1 8
16
22
1 51
1 1
22

活動詳細

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 姫越山は、東紀州(三重県南部)の北の端、錦という漁港町の里山だ。津波の際の避難所にもなっている北登山口から、急な尾根に取り付く。灌木や羊歯の間にいばら饅頭※に使う葉っぱが混じっており、私が子供の頃遊んだ野山の匂いが懐かしい。暖地性の植生ということであろう、鈴鹿や台高など、県北や内陸ではお目にかからない。樹林も常緑樹、樫の類が多そうだ。  石が多く、いろいろな踏み跡が交錯するが、とにかく尾根に沿って急登すると、やがてしっかり踏まれたなだらかな尾根を登り降りし、頂上にいたる。頂上は南に展望が開け、芦浜、熊野灘を一望する。今日は暖かな晴天だが、空は靄っており、水平線もはっきりしない。  ずいぶん前に登った時は、登山口から頂上を往復したが、今日は頂上から東に芦浜まで下り、南登山口にいたる予定だ。頂上10時半。このまま降り、芦浜で昼食としよう。降りは、その名前に興味が湧き「唐人殺し峠」を経る事にする。途中、別のルート分岐には通行止めの表示があり、自ずと唐人殺し峠にむかう。その名にまつわる遺構など期待したが、何ほどのこともなく、中部電力の立ち入り禁止の看板があるのみ。  ここからは、急な斜面に刻まれたつづら折れの山道を下る。唐人殺し峠は、錦と隣の古和浦湾とをむすぶ峠であり、往時は何らかの交易が行われていたと思われる。そのための、馬も通れるような山道が設計されているのであろうか。この先南登山口までは、よく踏まれた幅のある道だ(一部崩れていたりもするが)。距離があるので、結構時間がかかる。  正午に芦浜着。芦浜湖の周辺などでは、ペットボトルや発泡スチロールなどプラスチックごみの多い事に呆然とする。おそらくは、台風の高潮などで運ばれてきたのだろう。最近よく聞くマイクロプラスチック問題も、なるほどと、あらためて実感する。  今日は海も穏やかだ。浜辺でゆっくり昼食とする。おにぎり、カップ麺、コーヒーとチョコクッキーをいただく。  ところで、三重県人なら忘れもしまいが、かつてここに原子力発電所を造る計画が持ち上がり、地元は賛成・反対で住民の亀裂を招くなど、大いに問題となったものだ。計画は立案から40年近くも住民を苦しめたが、町民、県民の多数が反対の立場を明らかにし、知事が県の責任も認めて白紙撤回に動いたことで落着した。3.11を経た今、こののどかな芦浜に原発があることなどまったく現実離れしており、ほっとした気持ちを抱く一方で、つい今にも南海トラフ地震が起きるような感覚に襲われ、一瞬背筋が寒くなったものだ。  さて、帰路につく。浜辺からなので、ルートは少しわかりにくいが、すこし探せば案内版に出会う。再度急登を少し頑張ると、すこし登り降りしながら山腹をたどる道に出る。途中、海側をたどる近畿自然歩道への別れがあり、行ってみたい気もするが、新しい石造りの遊歩道らしいのも興ざめなので、今回は見合わせる。やがて到着した南登山口には浅間神社が祀られており、ここも津波の避難所を兼ねている。町の背後には山が迫っているので、そこここに、避難階段が設けられている。そんな様子や、街並みを眺めつつ、住民の方々と話したり、干物を買ったりで、ゆっくり歩いて駐車場に到着した。 ※いばら饅頭〜餡子を小麦粉や米粉の皮でつつみ蒸しあげて、いばら(サルトリイバラと言うらしい)の葉で挟んだもの。私は子供のころからなじんだものだが、もともと伊勢・志摩地方の家庭で作られる郷土のお菓子らしい。

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