滑落多発...木曽駒ヶ岳

2019.02.10(日) 日帰り

活動データ

タイム

02:22

距離

1.4km

のぼり

209m

くだり

209m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
2 時間 22
休憩時間
1 時間 30
距離
1.4 km
のぼり / くだり
209 / 209 m

活動詳細

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雪山を始めてからいつも意識したり周りからも心配される「滑落」 今回の木曽駒ケ岳は漠然とイメージしていた滑落を目の当たりにし、感じたことや学んだことのレポートです。 記憶が鮮明なうちに覚書として残したいため長文です。不快に感じるかもしれませんので読み飛ばしていただいて結構です。 ***************** 2月の三連休の中日、雪ダルマ先生(=完全SNS顔出しNGなので雪ダルマ先生とお呼びします)が木曽駒ヶ岳に連れて行ってくれるということで予定を調整し車に乗せてもらいました。 風は強い予報でしたがお天気の予報で、ロープウェイ内から見える景色もすでに最高の眺め! 今日は楽しい山行になること間違いないと確信してワクワクでいっぱいでした。 千畳敷駅に到着する前のアナウンスで、前日宝剣岳で滑落事故があったこと・救助ヘリが来る予定なこと・救助隊が待機していることなどが知らされました。 前日の滑落で今日救助ということは・・・聞かなくても最悪の結果だということは想像つきました。 しかし今日の目的地は「木曽駒ケ岳からの伊那前岳」 宝剣には行かないから、と特に気にはしていませんでした。 千畳敷駅に到着し、アイゼン装着している間山岳救助隊の方々が登山者全員に 「稜線部分はかなりアイスバーンになっています!大変危険です!少しでも怖いと思った方は引き返してください!!」 と繰り返し呼びかけていました。 私は救助隊の方に 「稜線部分というのは具体的にどこのことを言っているんですか?」 と聞きました。 「そこに見える稜線(乗越浄土の部分)ですが、そこよりも下もかなりのアイスバーンです。オットセイ岩横あたりからガチガチなので必ず怖いと思ったら引き返してくださいね」 とのこと。 私はオットセイ岩が分からず・・・そういう岩があることを始めて知ったのでいまいち場所がピンとは来ませんでしたが、それを雪ダルマ先生に伝えると、 「木曽駒はカットして伊那前岳だけにします。無理せず安全に行きましょう」 と余裕ある行程に変更してくれました。 千畳敷駅を出ると案の定すばらしい木曽駒ブルー♡ 駅裏の展望台からは南アルプスに富士山が鮮明に見えます。早く高いところから見たいっと期待十分です。 駅近くにある駒ヶ岳神社で無事の下山を祈願し10時スタート。 しばらくは快調に登ります。 多くの登山者で蟻の行列状態。時折強い風が吹きつけ上を見上げると稜線上は雪が舞い上がっています。相当風が強いのが分かりました。 しばらくトレースをたどり階段状になった部分を登っていましたが、30分ほど登ると突然雪質が変わるのが分かりました。 アイゼンやストックがあまり刺さらずペースががくんと落ちます。前にいる方々もそれほど離れないので皆さん苦労されていたのではないかと思います。 雪ダルマ先生について登っていましたが、次第にストックでは怖くなってきました。 「雪ダルマ先生~ピッケルに変えたいです。横にずれてもいいですか??」 ・・・とは言ったものの、横にずれるのすら超難しいぞ。というか周りガチガチだぞ。 そんな私を見かねて誘導してくれてた雪ダルマ先生が下りてきてくれ、私の下部に回りこみ滑り落ちないように身体を支えながらピッケルを出してくれストックをしまってくれました。 そんな感じでモタモタしていた時、突然ざわついたような気がしました。 顔を上に上げたのと同時に「ワーー!キャーー!」という悲鳴と「ラーーク!!!」という声が。 その先につるつるの氷の上を制御不能で滑り落ちてくる人が見えました。 (どうしよう!どうしよう!!) (こっちに来る!え、でもすぐ動けない!!) (とりあえず少しでも横に移動しなくちゃ!!) 完全パニックです。声も出ません。 一人、また一人と次々滑落してきます。。。 とにかくぶつかって巻き込まれないようにしないと、ということだけが頭の中にあり落ちてくる方がどこに向かってくるかを必死に見てました。 三人目の方がほんとにすぐ自分の横を通過しました。左足を頑張って少しだけ右によけたところを。 怖い!怖い!怖い! 連続の滑落は落ち着いて、まわりもざわついています。 ここで帰ろう、というグループの声もあれば気にせず登っていかれる方々も沢山いました。 雪ダルマ先生から 「大丈夫ですか、どうしますか」 と聞かれましたが、私は迷わず 「怖い、無理。歩けません。下ります」 上を見上げるとすぐそこに乗越浄土があります。ゆっくりでももしかしたら登れるのかな、と一瞬頭をよぎりましたがここからさらにアイスバーンがひどくなる中、集中力を保つことも、登りきれたとしても安全に下山する自信もなく・・・ 何よりも震えが止まらない。 サングラスの奥では涙も止まらない。 落ちてくる方をじっと見てる時に見えた、迫ってくるアイゼンの恐怖や必死な表情が脳裏に鮮明に残っていて。 周りを見回してもみんな普通だな・・・ あからさまに動揺してるの私だけ??恥ずかしいな・・・でも怖いよ。 雪ダルマ先生はそんな私を察してくれたのか、ガチガチでなかなか刺さらないアイゼンやピッケルの刺し方をレクチャーしてくれゆっくり後ろ向きで下りるように指示してくれました。 一歩一歩ゆっくり下りるのでかなり時間がかかっています。ログを見たら1時間半も。 雪ダルマ先生よく付き合ってくれたな(笑) やっぱり緊張しているのですごく疲れます。泣いてるし。 何度か立ち止まり呼吸を整えますが、その度に私のアイゼンの下に雪ダルマ先生は自分のアイゼンを刺してくれて土台になってくれていました。脚も支えてくれたり。 特に会話していませんでしたが、それが一番の恐怖心の支えになってくれて雪ダルマ先生がいてくれて大変心強かったです。 雪が柔らかく滑る心配のないエリアまで下りてこれた時はほっとして泣き崩れました。 私のメンタル雪山向きじゃない(笑) 雪山入門で真っ先に出てくる木曽駒でこんなことになるの!? 最高の登山日和でも気を緩めてはいけないということを体験し、これからも登山を続けていく上でもこの恐怖心は忘れられないし忘れてはいけないことと肝に銘じます。 快晴のすっきりとした青空。眺望も最高。しばらく座って写真を撮ったりボーっと眺めたりして雪ダルマ先生とまったり過ごしてからのんびり下山しました。 駒ヶ岳神社でお礼参りをすませ、レストランに行こうとしたとき再び滑落者が。。。 その方は救助されており、周りの登山者はしばらく動けなかったようで団子状態になっているのが見えました。 もしかしたら自分がそうなっていたかもしれないし、自分が滑落して他の方を巻き込むかもしれないしなどなど考えたらやっぱり引き返してよかったんだって思いました。 今日登れなかったら次また登りに来ればいい 元気に下山しないと次登ることができない 雪ダルマ先生の言葉が心に染みます 【生きて帰る】【山は逃げない】を念頭に今日の体験を教訓として登山を楽しみたいと思います。 私が見た滑落された方々は命に別状はなかったようで幸いでした。 この日お亡くなりになられた3名の方のご冥福をお祈りいたします。。。

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