活動データ
タイム
13:10
距離
24.7km
のぼり
1131m
くだり
1200m
活動詳細
すべて見るかねてより憧れていた八十里越えに行って来ました。 幼い頃より、「八十里はとんでもなくキツイ峠で、八十里もないのだけれど、あまりにも遠く感じたことから、昔の人は八十里越えと言ったのだ」と、教わってきました。この「八十里越え」も、学校の校歌の歌詞にあった「弥彦」、「守門」、「粟ヶ岳」と同様に、一度は行ってみたいものだと常々考えていました。 登山を始めたばかりの頃に、八十里越えに詳しい人に頼み込み、連れて行って欲しいとお願いをしたことがあるのですが、粟ヶ岳を登りで3時間切れないようでは連れて行けないと一笑に付されたことがあります。このことがとても悔しくて、いつか、粟ヶ岳を早く登れるようになるし、いつか、八十里越えも越えてやるのだと、強く心に誓ったのが今の山登りの原動力になっています。お陰さまで粟ヶ岳も3時間を切れるようになりましたし(しかも往復で)、八十里に一緒に行ってくれる仲間にも巡り合うことが出来ました。 というわけで、満を持して、会越国境、八十里越えにいざ参る! パーティーは当初は4人でしたが、諸事情で2人になりました。当日の朝は車の回収も視野に入れ、先に吉ヶ平山荘駐車場に一台停めておき、入叶津まで向かいます。 6:30 入叶津289号線工事ゲートより入峠。会津側から入る浅草岳登山口の先になります。 工事ゲートをくぐってから、1時間ほど舗装された道路をひたすら歩きます。自転車やバイクがあると便利だなと思いましたが、回収するのが大変ですので歩くしかありません。 軌跡を追っていただければ分かると思いますが、YAMAPの地図によると、トンネルの先、右側に峠の入り口があることになっていますが、トンネル手前に左に下りる未舗装の林道があり、そこが入口になります。道路からその林道の先に何かの看板らしきものが見えますので、注意していれば、迷うことはないと思います。 八十里と言うからには、相当なものだと覚悟していたのですが、1日目の田代平までは高速道路のような広く綺麗で平らな道が続き、汗をかくこともなく、6時間ほどで初日の行程を終え、幕営予定地の田代平まで到着しました。田代平手前の20分ほどのトラバースルートが結構大変でしたが、慎重に行けば問題ありません。道迷いの心配もまるでありませんでした。ただ、八十里越えは1合目、2合目、という標識も、頂上という目標もないので、モチベーションを維持するのが大変です。心構えを登山とは違うモードに切り替えることが重要だと感じました。特に、会津側は目印となるものが一つしかないので、若干、飽きやすいルートかもしれません。 今回は、キノコのシーズン真っ盛りということで、かなりのキノコたちと出会うことが出来ました。旅のもう一つの目的は、八十里越えでは、蹴散らして歩くほどある言われる「なめこ」をゲットして、酒盛りをすることだったのですが、入山してほどなく、第一なめこをいとも簡単に発見し、採取することが出来ました。キノコ獲りを取り締まる追っ手から逃れるために、会津から越後へと国境を越え、これで一安心。越後に入った時は「新潟づくり一番絞り」で乾杯をしました。 幕営地の田代平には「酒のなる木」という伝説があり、幸いにもその伝説の木で、菊水ふなくち1.5Lアルコール度数19%の上物を収穫することが出来ました。(というのは冗談で、同行者のH氏が3週間前に荷揚げしてくれていました。感謝!) 時間も早かったのですが、田代平を散策した後、15時前から夕食の支度を始めました。夕食はもちろん「なめこ鍋」。言うまでもなく最高でした! しかし、この田代平が今回の八十里越えの最大の難所となります。菊水ふなくち1.5Lは早々になくなり、持参した焼酎と日本酒、ワインを追加投入。オリオン座流星群どころではありません。 かなり楽しかったと思うのですが、翌朝は二人ともきれいさっぱり記憶がありません。かなり酷い二日酔いで、テントの撤収の作業も手間取ります。予定時間を2時間ほどオーバーして二日目は7時20分スタート。 いきなりの鞍掛峠で、八十里越えの真髄を知ることとなります。とにかく巻き道のトラバースルートがいやらしい。谷側も深いので、滑落すると結構大変なことになりそうです。足跡ひとつ分くらいの斜めになった崖をひたすら歩くのは精神的に参りました。それでいて、二日酔い。というよりも完全に酔っ払っているので足元もおぼつきません。やはり、鞍掛峠よりも最大の難所は田代平にありました。 三条側は会津側とはまるで違い、古道はことごとく崩壊しているので、高巻きやトラバースがやたらと多く、手間取ります。特にブナ沢周辺では大きく崩壊しているので、迷い道の危険も高まります。基本的にピンクリボンがありますので、ピンクリボンを探すような山でルートファインディングの経験が何度かあれば、迷うことはないと思います。万一、迷い道に入ってしまったら、無理をせず、すぐに引き返すことを強くオススメします。時代によって八十里のルートはいくつにも分かれているそうで、所々にそのまま進みたくなるようなキレイな踏み跡がたくさんあり、どこを進んでも合流できるのかもしれませんが、道迷いで遭難することも考えられますから、十分な注意が必要です。 番屋乗越までは終始、いやらしいトラバースルートが続くので、気が抜けませんが、番屋乗越の石碑まで辿り着ければ、あとは下り坂。椿尾根まで出れば吉ヶ平に着いたも同然。ありがたいことに刈り払いもしてあり、ルートが分かりやすくなっていました。この頃にはお酒も抜けており、時間も時間なので、「粟足」を発動。駆け足で14時30分に吉ヶ平山荘まで辿り着きました。 崩落によるトラバースはともかくとして、八十里越えは山ではなく、国道なので、極力アップダウンがないように道が敷かれています。なので、歩きやすいところは本当に歩きやすく、どこかの高原のハイキングのようで、あまり汗もかくこともありません。距離も24km、累計標高差も1000mちょっとと、言ってしまえばなんてことのないルートです。道迷いといやらしいトラバースの滑落だけを注意すれば、足に覚えがある人なら日帰りでも行けると思います。 静かで紅葉は美しく、キノコの魅力もたっぷりで、歩き応えもある八十里越えを自力で歩くことが出来たので、とても充実感のある旅になりました。
もしも不適切なコンテンツをお見かけした場合はお知らせください。