活動データ
タイム
07:20
距離
21.6km
のぼり
1870m
くだり
2139m
活動詳細
すべて見る大菩薩嶺に登るのは3回目になる。 最初に登ったのが4年前の震災直後で、印象深いものだった。 世間はまだ原発事故の話題で沸騰していた頃で、もしかしたら二度と東日本の山に登ることはおろか、住むことさえ出来なくなるのではないかと思われた。 幸いなことに最悪の事態は回避されて現在に至っているわけだが、現場で事故対応に当たった職員をして「日本には神がいる」と言わしめたほど、たまたま避けられたに過ぎない深刻な事態だった。 タルコフスキーの映画「ストーカー」に出てくる「ゾーン」と呼ばれる地域に化していても不思議ではなかったのだ。 そんな喧騒から逃げるように登りに行ったのが「大菩薩嶺」だった。 前日の降雪がトレースを消して、大菩薩峠から丹波に降る道では膝上まで積雪があり、暫くはラッセルをした。 裂石から丹波までの8時間余りを誰にも会うことのない静かな山行だった。 天気も晴天から小雪へと、まるで日本の未来を暗示するかのように感じられ、例えようもない不安が覆いかぶさってきたのを覚えている。 今回もその時と同じコースを歩いた。 笹子トンネルを抜けるまでは雲が低く、外れた天気予報を恨めしく思ったが、トンネルを抜けた瞬間、快晴が出迎えてくれた。 雪を戴いた南アルプスも鮮明に見える。沿線の桜並木とコントラストをなして美しい。 塩山駅からバスで裂石へ出て、そこから歩き始める。 上日川峠方面は未だゲートが閉じられていて車の進入はできない。 丸川峠へは高度を増すにつれ急登になり息が切れる。 崩れやすい土壌で落石の危険から道を付け替えられたところもあった。 丸川峠から先は少しずつ雪が出てきて、所々日中に溶けた雪が夜間に凍結し氷のようになっている。4本爪の軽アイゼンを持っていたのでそれを着ける。 コメツガが目立つようになると山頂は近く、間もなく三角点と山名表示の立っている山頂に飛び出した。 樹林に囲まれているので眺望はない。 雷岩まで来ると遮るもののない展望が開ける。電車からも見えた南アルプスの障壁が端から端まで余すことなく見渡せる。更には「乗鞍岳」も真っ白な姿を見せていた。 大菩薩峠周辺は、紅葉のシーズンともなると高尾山と変わらない賑わいを見せるが、今日は無人だ。 4年前と同様に、峠から丹波への道をとることにして下り始める。 上部は北側なので雪が深い。 しかしそれはほんの少しの間で、すぐに雪は無くなり、むしろ照りつける太陽のほうが暑くてかなわない。 4年前には間に合わなかった3時半のバスに乗る為、長い道を走るように下ると3時15分に丹波のバス停に着くことが出来た。
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