天竜川は俺のモノ

2017.03.18(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
0
休憩時間
0
距離
0 m
のぼり / くだり
0 / 0 m

活動詳細

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ヤツはいつだって俺をペエロウなんて呼びやがるが俺にはしっかりした名前ってモンがある。 ペロ。Perrot。世界的に通用する立派な名前だぜ。 こんな立派な名前を付けてくれたのはオレの姉貴なんだ。彼女とママンは俺をコンクリートの冷たさから解放してくれた。俺はすごく感謝してる。だからいつでも彼女たちの力になりたいと思ってる。 姉貴の仕事は助っ人外人とかヤツが言っていたが一体どんな仕事なのかは俺には分からない。ただ彼女に仕事が入った時には家族皆んながワクワクソワソワしてるのが分かるんだ。何かとんでもないことが起きるんじゃないかって俺もドキドキしてる。 土曜日。彼女は助っ人の仕事で天竜川の河原に行くと言う。俺はスバヤク動き回っていつでも参戦OKだってアピールしたんだ。いつだって準備は出来てる。左右へ激しくステップを繰り返してスバヤク頭を下げる。いわゆるボクシングでいうダッキングってヤツだ。スバヤクなくちゃ意味がない。ノロマなやつは怪我するぜ。それに俺の口は彼女よりだいぶ大きいし鋭い牙だってある。危険な棘があるバラだって一本残して全部噛み切ってやったんだ。喜ばれはしなかったがそんなことは関係ない。とにかく俺はもう昔のオレじゃないし強くなったってことだ。自分でもそのことが分かるんだ。俺は彼女の助けになれる。 「ハイ出発、出発ダヨ〜」 ヤツの間の抜けた弱々しい声が耳に届く。クルマのドアが開くと俺はサッと助手席に乗り込む。動きに迷いはない。さっきも言った通りいつだって準備は出来てるからだ。姉貴は後ろで俺は前。背筋をしっかり伸ばしてあたりに敵がいないか注意深く監視しながら行く。左耳は前に、右耳は後ろに向けて360度全方位に集中して何かあればいつでも対応できるように臨戦態勢で向かうのだ。今日の俺はいつもの甘噛みちゃんじゃないぜ。ガブリだ。ガブリといって左右にフリフリだ。こいつは効くぜ。俺がどれだけ綿を撒き散らしてきたか。どれだけ高分子吸収シートを引き裂いてきたか。奴らの悲惨な姿といったら! やがて目の前が開け広大な広場が見えてきた。川も。なんて広さだ。俺は興奮してる。自分でも興奮してるのが分かるんだ。耐えきれずガハッと自慢の口を開いた瞬間、ガチャリとドアが開いて姉貴が飛び出していった。デカい荷物を肩から下げて走っていく。早く!早く!俺も行く!早く俺をクルマから降ろせ!見ろよ! あんなに相手が多くっちゃいくら姉貴でも持たないぜ!すぐ行くぜ姉貴!あいつら何か投げつけてきたり棒を振り回したりしてデカくて高い声で威嚇してる!クソッタレ!ヤツの手を振りほどくようにクルマを飛び出した俺はもう誰にも止められない!待ってろよォ姉貴ィ!このへん匂いチェックしたらすぐ行くから!あ、ココも匂いチェックしてちょっとマークするから!もうちょっと待ってください、すぐ行きます、もう出ましたんで!もうすぐですから!

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