『四国遍路3巡目』4日目はへんろ転がしと神山の春

11番藤井寺までチャンネルカンのご主人に送ってもらいます。九州からのおじさま、初遍路の住職、私の3名。歩くと小一時間かかるので助かる。これから「へんろ転がし」と言われる山道を行くので、無理せず体力温存。 12番焼山寺まで12kmと少し。3つの峠を越えて行く道のり。お遍路さんが転がるほど険しい道ということで「へんろ転がし」。 焼山寺へ向かい歩き始めるお遍路さんたちと逆方向、つまり山から下りて来る地元のお年寄りが何人もいる。あるおじいさんは、「もう30年、最初の休憩小屋まで散歩するんよ。小屋の周りの草を刈っといたからゆっくり休みぃ」とお元気。そしておじいさんありがとう！こうして地元の人たちが遍路道を守ってくれているから、私たちが旅をさせてもらえる。山道を毎日登り下り！地元のお年寄り侮れない‼︎ 「ここが僕のトレーニングコース」と言ってトレランしてる男性ともすれ違ったな。 1周目のお遍路の時はまだ山行デビュー前だったので、慣れない山道はすごくキツくて膝が震えた記憶だけど、ここ1年ほどの山行の成果が現れたのか、今回はそんなにキツくありません。むしろ楽しい！最高に‼︎ 毎日たくさんの地元の方々やお遍路さんが通るので、道は踏み固められとても歩きやすいです。道しるべもたくさんあって安心だし、途中のお堂でお参りもできる。ベンチで一息ついたり、歩き遍路同士でおしゃべりしたりも。こんな道が近所にあったら最高なのにー。 一本杉庵から左右内（そうち）集落へ下りてくると、素晴らしく美しい集落の風景が目に飛びこんできた。苗木の出荷作業をするお父さんたちの声や、プロパンガスのポンベを運ぶ軽トラックのエンジン音が山間の静けさに響いてる。日向でそれを聞いているのが心地よく、座り込んでしばらくボケ〜っと過ごしていると、作業していたお父さんがこちらに歩いて来た。「焼山寺へ行くん？あと1時間くらいやな」「バスは1時過ぎがあるけ、250円な！」 こういう何気ない会話がたまらない。お寺をお参りしている時よりも、優しくて楽しいこの時間を味わいたくて四国へ来るのを止められません。 町石の数字が、9、8、7…と減っていくのが何だか寂しくてたまらない。もう楽しい山道歩きは終わりなんだな…。 無事に12番焼山寺に到着。ここからは町営バスで今夜の宿まで向かう予定。 お経をあげおわって、ふとバスの時間までギリギリなことに急に気づいて慌てました。予定していたより早いペースで登って来たため、途中で余裕かましてのんびり休憩を取りすぎた！バス停はここから4km下りたところで1時間以上かかります。残された時間はジャスト1時間！バスは日に3往復で、逃すわけにいかない！ 脚に負担になるのを覚悟ですごい速さで坂道を下りました。結果45分で下りて来た！少し膝が…（涙）でもバスには間に合ったから良し。 （とりあえず、この日の遍路旅はここで終了で、YAMAPアプリも終了。この先はおまけ） なぜ歩かずにバスで下りてきたのかというと、花見をしようと思ったから。神山町は枝垂桜で有名なところ。今夜の泊まる神山町の寄居から13番へ向かう遍路道を歩くと、明王寺という桜の名所があります。ここへ行くための時間と体力を残しておきたかった。 バスの運転手さん、宿の目の前で停車してくれました。出会う人、出会う人、本当にみんな親切で、お遍路しているときは自分まで良い人間になったような気がしまう。 宿にザックを預けて、鮎喰川沿いの道を行きます。この川の水が透き通って本当に綺麗です。川沿いの側溝にも澄んだ水が流れています。山の湧き水かな？と不思議におもって草むしり中のおばあちゃんに話しかけてみたら、「ああ、これはな、そこの川から取り入れて田んぼに流す水や。きれいやろ」 あー！なるほど！あんまり綺麗だから湧き水かと思った！ おばあちゃん親切。そして阿波の方言がめちゃめちゃ可愛いくてキュンキュンします。東京で知らない人に話しかけたら不審者扱いされるのに、ここは皆んなオープンハートです。 少し川の上流に、板を渡しただけの橋があったのでそこから川の流れを少しの間眺めてました。 大好きな田舎町の風景。田舎の家ってどうしてあんなにキレイに手入れされているんでしょう？玄関前から庭先はいつも掃き掃除してあって、庭木にはキチンと手が入れられていて、庭だけじゃなく家の前の通りまでいろんな種類の花で飾られていて…。 40分の道のりをゆっくり60分かけて明王寺へ到着。大きな2本の枝垂桜はほぼ満開。たくさんの人たちが花見を楽しんでいました。デイサービスのお年寄り達は手を引かれながら、奥様グループはおやつを広げ、小さな子供はカメラの前でポーズを決めて…、ひたすら平和な風景。 山の春を満喫した一日、大満足。