活動データ
タイム
05:06
距離
6.9km
のぼり
891m
くだり
901m
活動詳細
すべて見る火曜日なのに晴れの予報で、あちこち行きたい所に想いを馳せていたが、名神集中工事と会社の歓送迎会が行く手を阻む。しかし、そんなことには屈しない。火曜の晴れはそれほど貴重だ。 渋滞を下道で回避。ついでに銭湯で多少の疲れを癒してから眠気の限界まで目的の山に近づく。 東海北陸道に入るといつものように空いていたが、どこのサービスエリアで止まったか覚えていないくらい眠気に襲われていたので仮眠することにした。 数時間後、空が明るくなったのに気付きゆっくり起きた。今日はやっちゃった感はない。まだ6時前だ。しかも山行時間は約5時間。10時から登り始めてもいいくらいだ。歯を磨き顔を洗ってから、もうナビも使うことなく走ることができる慣れ親しんだ穂高への道を走り出す。 9時過ぎに焼岳登山口に到着。駐車場には既に5台の車が停まっていた。6人くらいのパーティが登って行くのが見える。新緑が輝いている。暑くも寒くもない。 今日は歓迎会帰りなので、服はTシャツにスケスケでクシャクシャのシャツにデニムのパンツにスニーカーという出立ち。上から下まで着替えたので少し時間がかかった。軽アイゼンにしようか12本爪にしようか迷ったが、丁度軽アイゼンを積み忘れたらしいので、夏靴用の12本をザックの一番上に入れ出発した。 道は雪解け水が溜まっていて泥道となっていた。幸い阿蘇の根子岳のようなぬかるみではない。程なく歩くとよく見る捨てられた自動車が現れた。底面を上に向け、錆びついたブレーキドラムやサスペンションがむき出しになっている。走って来られる道はなかった。上から落ちてきたのか?だとするとペシャンコになった車内には人が閉じ込められていた可能性がある。疑問が消えぬまま歩くと急登なので、考える余裕もなくなった。 急登で汗をかいたが、斜度が緩くなった辺りから雪が増えてきたので少し涼しくなった。 小さな広場に出ると、これも見たことのある木の塊が右手に見えてきた。映画「犬神家の一族」で湖に足だけを突き出して殺されていた死体のようだと誰か言っていたような気がするが、二本の尖がった物が左右に突き出していた。 斜度がほとんど0度に近くなり広い森の中に入った。秋になればダケカンバとナナカマドが美しいだろう。木々の密度は高くない。ピンクのテープは途中で見失ったが雪のトレースは森の真ん中を通っているのでそれに従った。ルートは左側とはわかっていたが景色に引きずられ右側に逸れていった。すると人工物が目に入ってきた。近づいて見ると気象庁の観測機器とアンテナだった。ここからの景色は申し分ない。左手に焼岳南峰、北峰。右手に霞沢岳。正面に穂高連峰。この贅沢な景色を前に立ち止まらずにはいられない。ちょっと休憩することにした。7月に海の上でサーフボードにまたがり、プカプカ浮かびながら雨に打たれた時のようだった。全身が水に溶け込んでいく感覚。今は大地にと言ったところか。 おにぎりとライチ味のジュースというアンマッチな選択に少し後悔しながら12本爪のアイゼンを用意した。このアイゼンを使う時はかなりハードな山が多い。雪渓や岩と雪のミックスなどに登場する。 名残惜しい気持ちで出発した。この後は雪の急登が待っている。クライマックスだ。 谷間には大小様々な岩が転がっていた。拳大から大人が膝を抱えて丸まったくらいの大きさまである。左右の斜面には岩が落ちそうな場所がいくつもあるため、谷の中央部のフォールラインは避けて中間くらいを歩いた。いつ岩が落ちても良いように上を見てキックステップでアイゼンの前爪を刺していく。危険を感じつつも心地良い。やはり2300メートル付近になると空気が薄いのか息が上がり堪らず立ち止まる。 山頂付近になると硫黄臭が時折強くなる。噴出するガスの音も聞こえてくる。地球が自分は生きていると誇示しているようだ。ようやく雪渓を登りきり稜線の向こう側を覗くと岩が黄色くなり勢いよくガスが噴出していた。南峰の下には火口湖と思われる池が青く潜んでいた。ここは金星か。更に右手に進んで岩場を越えると雄大な穂高連峰と上高地が現れた。それを見ながらすぐ近くの山頂に到着した。 はぁ…とため息が出た。こんな角度からの穂高は初めてだからだ。いつも河童橋や西穂などの向こう側からここを見ていたがそれがここだ。大正池に帝国ホテル河童橋に西穂高山荘も見える。残念ながら槍は雲の中だった。 帰りはわざわざカッパのズボンを履き、シリセードで下りた。前を歩いていた2人組の山お姉さんがフォールラインを歩いているのが見える。その瞬間南側から黒いものが二つ横切ったように見えた。しかし山お姉さんは何もなかったかのように下山していった。さっきの場所まで下りて見ると、半俵くらいの岩とバスケットボールくらいの岩が雪の上を滑るように止まっている。雪の上で落石した音がしなかったのか…恐ろしくなってスピードを上げて下山した。 完 アイゼンは無くても大丈夫ですが、あった方がらくです。 ピッケルはいらないと思います。 踏み抜きはさほどありませんでしたが、こう気温が高いとかなり溶けると思われます。2回スネを打ちました。 ヘルメット装着をオススメします。
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