初めての栗林公園、日本庭園の計算とは

【良庭なり、名園なり】 ・6月も下旬の晴れの日、午後からの用事の前に時間を作って栗林（りつりん）公園の駐車場場に滑り込む。ようやく念願が叶いそうで、子どもの時分のようにワクワク、ドキドキする。良い庭園なら春夏秋冬の適当な時期に見たいもの、それぞれに風情があ。今も蓮はまだだが睡蓮の良い時期である。 ・最近、足立美術館に行く機会が多く、最後は、雪の後だったので大いに期待して出かけた。しかし、庭は雪にスッポリ埋もれて庭とさえ思えない。素晴らしい雪の日本庭園の写真を良く見て美しいと感じていたが、タイミングが難しいものだ💦 ・栗林公園はその圧倒的な内容の割に他所より評価されていない（間違いあればご容赦を）気がする。此処は、歴史、植物、花、池、建物、石、水、規模（借景）、動物のどれも素晴らしい。 ・良く言う、〜大何々は、大概三、五、七なので、三ではたまたま栗林公園は漏れたのか知れない。とにかく三では間に合いそうもないので、新三大庭園が有っても良いし、五大や七大が有っても良い。そう言えば四天王やら御三家は増減できそうもないが、五大庭園、七大庭園なら納得出来そうだ。管理された自然の究極の形である庭園ではあるものの、自然（紫雲山）との一体感も非常に良い。他を押しのける必要はないが、今の三大に勝るとも劣らない名庭と言えるのではないかな。 【意表を突かれる朝市】 ・今回、栗林公園の東門から入ったが、そこには休憩所や物産展売り場がある。それだけでは驚かないが、建物のぐるりに朝市の様なものが立っており、新鮮な野菜や果物が並んでいたのに驚いた（喜んだ）。これから、今日、明日と仕事なので買い込むわけにも行かないが、それでも「桑の実」とプチトマトを衝動的に買ってしまった❗️桑の実は今まで見た事がないほど大きい。残念ながら、その分味は薄め。淡竹（はちく）も良さそうだがこれは無理なので断念。凛とした栗林公園との違和感も多少感じなくはないが、庶民感覚が悪くない。 【管理された自然の庭に取り込まれる】 ・人の手が全く入っていない、あるいは余り入っていない自然に触れたいこともあって山に行くが、そうするとこの様な人工自然の極みである日本庭園はどうなんだということになる。 ・しかし、語り尽くされていない様な気もするが（調べたことはない）、自然と対峙しない日本庭園の奥深さや妙がある筈という気もする。西芳寺や龍安寺に行って、暫くそこで過ごしていると中々得難い体験ができると感じた。特に龍安寺は最初、“これがどうした”という思いに囚われ愕然とした。しかし、三十分、一時間と過ごす内に、距離感ばかりか時間の感覚も尋常ではなくなり、天地も前後左右も不覚になってしまうことに驚いた。プロセスは、先ず自分と物との感距離感覚が不確実で朧になってくる。そうなると、時間の感覚も失われてくるのは当然の成り行きかもしれない。その内、自分が鳥に🦅なって大自然を俯瞰していたり、突然蟻や魚になって地面を蠢いたり泳いだりしている気がしてくるのだから、もう時空間移動も自由自在というわけ。座っているだけなのに自分は時空を超えて優雅に動き回っている。 ・山を余りせっせと歩くと得られない感覚だが、山で妙にのんびりした時に、その感覚の片鱗を感じている場合がある様な気がする。大雪の旭岳〜トムラウシ間縦走の泣きそうになる孤独感と恐怖が諦めに変わった時、ふっとクリアに見えて来た風景と自分の関係がそうだった様な気が今はする。そんな恐ろしく深い計算が日本庭園に仕組まれているとしたら、これはとんでもない人類の傑作だなどと妄想に耽る訪問となった。