鹿島槍~五竜縦走(二日目:鹿島槍ヶ岳~八峰キレット~五竜岳)

2018.08.17(金) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
9 時間 25
休憩時間
59
距離
9.1 km
のぼり / くだり
1239 / 1176 m
4
28
1 31
1 55
47

活動詳細

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※一日目(柏原新道~爺ヶ岳~冷池):https://yamap.co.jp/activity/2263143 ※三日目(遠見尾根):https://yamap.co.jp/activity/2269265   山行二日目は、いよいよ『鹿島槍ヶ岳』を経て『五竜岳』に至る、此度の縦走の核心部『八峰キレット』に挑む。 北アルプス有数の難コースとされる八峰キレット。さらに前日、冷池山荘で得た情報によると、数日前に同所にて滑落による死亡事故が発生したとのこと。 ここから踏み込む場所が命懸けの山路である事を改めて戒めつつ、それでも止まらない憧れを勇気の糧に、いざ出発だ。     <注意事項> ・『八峰キレット』は落石・滑落の危険がつきまとうコースであるため、ヘルメットの着用を推奨。   ・冷池山荘~五竜山荘間のコースタイムは9時間40分にも及ぶため、登山計画の策定には慎重さが必要。場合によっては、後述の『キレット小屋』への宿泊も考慮すること。   ・『八峰キレット』は難易度が高めの岩稜帯であり、ワンミスで滑落死も有り得る箇所が複数存在する。不慣れな場合、絶対に単独で足を踏み入れてはならない。   ・前日の泊地である『冷池山荘』は、朝食を弁当で頼んだ場合、受け取りは夕方ではなく翌朝の4時以降になるため、早立ちする計画の場合はそちらを考慮すること。

鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 二日目は、未明の午前3時半頃に起床。支度を整え、小屋から用意して頂いた弁当をかっ込んだ後、4時半過ぎに未明の冷池を発った。
二日目は、未明の午前3時半頃に起床。支度を整え、小屋から用意して頂いた弁当をかっ込んだ後、4時半過ぎに未明の冷池を発った。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 早朝の天候は、昨日よりは改善してはいたものの、行く手はガスが立ち込め、相変わらず時折、強風も吹き付けてくる。
この時点では『鹿島槍ヶ岳』ないし、それより手前での撤退も考慮していた。
早朝の天候は、昨日よりは改善してはいたものの、行く手はガスが立ち込め、相変わらず時折、強風も吹き付けてくる。 この時点では『鹿島槍ヶ岳』ないし、それより手前での撤退も考慮していた。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 冷池山荘直上の幕営場を過ぎて、しばし歩いた稜線の脇に佇む、遭難者の慰霊碑。
筆者もしばし黙祷を捧げたのち、再び出発。
冷池山荘直上の幕営場を過ぎて、しばし歩いた稜線の脇に佇む、遭難者の慰霊碑。 筆者もしばし黙祷を捧げたのち、再び出発。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 しばらく歩くと、登山道はつづら折りの急登に。未だに抜けきらない寝起きの気だるさに抗いつつ、明るんできた霧の先を目指す。
しばらく歩くと、登山道はつづら折りの急登に。未だに抜けきらない寝起きの気だるさに抗いつつ、明るんできた霧の先を目指す。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 最初のチェックポイントである、『布引山』山頂へ到着。
ここまではスムーズに到達できたため、引き続き鹿島槍ヶ岳を目指すことにした。
最初のチェックポイントである、『布引山』山頂へ到着。 ここまではスムーズに到達できたため、引き続き鹿島槍ヶ岳を目指すことにした。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 布引山から鹿島槍ヶ岳へ向かう途中、出会った雷鳥の家族が道案内してくれた。
雷鳥は天敵に狙われにくい悪天候下で姿を現すことが多く、此度も先述の通りの気象条件であったため、朝食のため登山道に出てきたようである。
布引山から鹿島槍ヶ岳へ向かう途中、出会った雷鳥の家族が道案内してくれた。 雷鳥は天敵に狙われにくい悪天候下で姿を現すことが多く、此度も先述の通りの気象条件であったため、朝食のため登山道に出てきたようである。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 雷鳥親子と別れると、次のピークへ向けて再び急な登りに。
一歩一歩、登りつめていくごとに、ガスの中から頂がぼんやりとその姿を現してくる。
雷鳥親子と別れると、次のピークへ向けて再び急な登りに。 一歩一歩、登りつめていくごとに、ガスの中から頂がぼんやりとその姿を現してくる。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 山小屋を出発して2時間弱、今回の縦走における目的地の一つである『鹿島槍ヶ岳』の南峰に到着。
ここからの展望は360度の絶景とされているが、残念ながらこの時の気象条件の下では、それも望むべくもなかった。
なお、ここが本日の行程における最高点となる。
山小屋を出発して2時間弱、今回の縦走における目的地の一つである『鹿島槍ヶ岳』の南峰に到着。 ここからの展望は360度の絶景とされているが、残念ながらこの時の気象条件の下では、それも望むべくもなかった。 なお、ここが本日の行程における最高点となる。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 鹿島槍ヶ岳は先述の南峰と、もう一方の北峰からなる双耳峰であり、続いては北峰を目指す。
鹿島槍ヶ岳は先述の南峰と、もう一方の北峰からなる双耳峰であり、続いては北峰を目指す。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 鹿島槍ヶ岳の南峰と北峰は、『吊尾根』と呼ばれる瘦せ尾根で結ばれている。当初は、上述の気象条件次第でここの通過も危ぶんでいたが、幸いここにきて、風もやや落ち着き始めた。
鹿島槍ヶ岳の南峰と北峰は、『吊尾根』と呼ばれる瘦せ尾根で結ばれている。当初は、上述の気象条件次第でここの通過も危ぶんでいたが、幸いここにきて、風もやや落ち着き始めた。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 北峰と、今回の縦走の核心部『八峰キレット』への分岐点。ここから北峰へはピストンする形となり、往復でコースタイムは15分ほど。
北峰と、今回の縦走の核心部『八峰キレット』への分岐点。ここから北峰へはピストンする形となり、往復でコースタイムは15分ほど。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 しかる後に、鹿島槍ヶ岳北峰にも無事登頂。
山頂からの見晴らしは相変わらずであったが、ともかくここで、改めてこのまま『八峰キレット』に進むべきか否か、判断を迫られることとなった。
しかる後に、鹿島槍ヶ岳北峰にも無事登頂。 山頂からの見晴らしは相変わらずであったが、ともかくここで、改めてこのまま『八峰キレット』に進むべきか否か、判断を迫られることとなった。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 しかしながら、強風は既になく、雨も上がりつつあったため、予報通り、これ以上天候が悪化することが無ければ『八峰キレット』の通過は問題ないと判断。
当初の計画通り進むことを決心し、先程の分岐を北側へ踏み出した。
しかしながら、強風は既になく、雨も上がりつつあったため、予報通り、これ以上天候が悪化することが無ければ『八峰キレット』の通過は問題ないと判断。 当初の計画通り進むことを決心し、先程の分岐を北側へ踏み出した。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『八峰キレット』へいざ進出。まずは標高差にして300mほどの岩場を一気に下る。
『八峰キレット』へいざ進出。まずは標高差にして300mほどの岩場を一気に下る。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『キレット』とは、山の鞍部のうち、特に深くV字状に切れ込んだ地点を指す用語。外来語のようだが、実はれっきとした日本語で、漢字では『切戸』と書く。
『キレット』とは、山の鞍部のうち、特に深くV字状に切れ込んだ地点を指す用語。外来語のようだが、実はれっきとした日本語で、漢字では『切戸』と書く。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 先述の通り数日前の8月12日、この『八峰キレット』にて滑落事故が発生したそうで、後ほど調べてみると、それは『鹿島槍ヶ岳』に近い側の斜面でのことだったようだ。
筆者も慎重を期しつつ進んでいく。
先述の通り数日前の8月12日、この『八峰キレット』にて滑落事故が発生したそうで、後ほど調べてみると、それは『鹿島槍ヶ岳』に近い側の斜面でのことだったようだ。 筆者も慎重を期しつつ進んでいく。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『鹿島槍ヶ岳』からの斜面を下りきると、『八峰キレット』唯一のオアシスである『キレット小屋』に到着。
左右に断崖絶壁の崖が切れ落ちる驚愕の立地で、よくも斯様な場所に建てたものである。
『鹿島槍ヶ岳』からの斜面を下りきると、『八峰キレット』唯一のオアシスである『キレット小屋』に到着。 左右に断崖絶壁の崖が切れ落ちる驚愕の立地で、よくも斯様な場所に建てたものである。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『キレット小屋』にて、二日連続で私を追い抜いて行かれた方と再会したため、雑談しながらしばし休憩。
改めて彼を見送った後、筆者も再び出発である。
『キレット小屋』にて、二日連続で私を追い抜いて行かれた方と再会したため、雑談しながらしばし休憩。 改めて彼を見送った後、筆者も再び出発である。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『キレット小屋』からはしばし登り返した後、今度は『八峰キレット』の最深部へと進むことになる。
『キレット小屋』からはしばし登り返した後、今度は『八峰キレット』の最深部へと進むことになる。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 なお連日、先述の滑落者を回収するための作業が続けられていたそうで、この日も時折、ヘリコプターの飛行音が響いてきた。が、この天気であったためか同日も結局収容は断念されたようだ。
なお連日、先述の滑落者を回収するための作業が続けられていたそうで、この日も時折、ヘリコプターの飛行音が響いてきた。が、この天気であったためか同日も結局収容は断念されたようだ。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 稀に、雲が途切れて若干の展望が開けることもあるが、それも極めて僅かな間のことであった。
稀に、雲が途切れて若干の展望が開けることもあるが、それも極めて僅かな間のことであった。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『八峰キレット』最深部である『口の沢コル』へ到着。
ここはちょっとした広場になっているが、テント禁止の旨が岩にペンキで記されていた。
『八峰キレット』最深部である『口の沢コル』へ到着。 ここはちょっとした広場になっているが、テント禁止の旨が岩にペンキで記されていた。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『口の沢コル』を境に、今度は登り基調となる。
まずは小ピークである『北尾根ノ頭』へ。
『口の沢コル』を境に、今度は登り基調となる。 まずは小ピークである『北尾根ノ頭』へ。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 とはいえ、時折気の抜けない下りも。
とはいえ、時折気の抜けない下りも。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 思いのほか厄介だったのが写真のようなザレ場であり、比較的急な勾配だったこともあって、足元が滑らないよう、細心の注意が求められた。
思いのほか厄介だったのが写真のようなザレ場であり、比較的急な勾配だったこともあって、足元が滑らないよう、細心の注意が求められた。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『八峰キレット』は、同じ北アルプスの『大キレット(北穂高岳~槍ヶ岳)』、『不帰キレット(唐松岳~白馬岳)』と並んで、『日本三大キレット』の一つに数えられている。
なお、狭義には先の鹿島槍ヶ岳~キレット小屋の区間のみを八峰キレットと呼ぶこともあるそうな。
『八峰キレット』は、同じ北アルプスの『大キレット(北穂高岳~槍ヶ岳)』、『不帰キレット(唐松岳~白馬岳)』と並んで、『日本三大キレット』の一つに数えられている。 なお、狭義には先の鹿島槍ヶ岳~キレット小屋の区間のみを八峰キレットと呼ぶこともあるそうな。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 途中までは極めて順調だった二日目の山行だったが、中盤を過ぎたあたりからペースが落ち始め、後半はそれなりに苦戦を強いられた。
岩稜帯の歩行に関して、決して不安を抱えていた訳ではなかったのだが、『八峰キレット』の険しさはかつて経験がなく、みるみる体力を奪われていったのである。
途中までは極めて順調だった二日目の山行だったが、中盤を過ぎたあたりからペースが落ち始め、後半はそれなりに苦戦を強いられた。 岩稜帯の歩行に関して、決して不安を抱えていた訳ではなかったのだが、『八峰キレット』の険しさはかつて経験がなく、みるみる体力を奪われていったのである。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 やせ尾根上のチェックポイント、『G5』。
ここから、『八峰キレット』の北端である『五竜岳』へ向け、最後の登りが始まる。
やせ尾根上のチェックポイント、『G5』。 ここから、『八峰キレット』の北端である『五竜岳』へ向け、最後の登りが始まる。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 『G5』を過ぎてからの登りは、体力的に消耗していたこともあって、本日最大最後の頑張りどころとなった。
落石に注意しつつ、最後の力を振り絞って進んでゆく。
『G5』を過ぎてからの登りは、体力的に消耗していたこともあって、本日最大最後の頑張りどころとなった。 落石に注意しつつ、最後の力を振り絞って進んでゆく。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 長きに渡る難路であった『八峰キレット』も、ようやく終わりが見えてきた。
長きに渡る難路であった『八峰キレット』も、ようやく終わりが見えてきた。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 先程の分岐を西側へ折れたら、『五竜岳』の山頂は目前だ。
はやる気持ちを押さえつつ、最後の岩場を進む。
先程の分岐を西側へ折れたら、『五竜岳』の山頂は目前だ。 はやる気持ちを押さえつつ、最後の岩場を進む。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 そして遂に、『五竜岳』山頂へ到着。これにて念願の『八峰キレット』突破は無事完遂だ。
……ただし残念ながら、ここでも周囲の展望に恵まれることは無かった。
そして遂に、『五竜岳』山頂へ到着。これにて念願の『八峰キレット』突破は無事完遂だ。 ……ただし残念ながら、ここでも周囲の展望に恵まれることは無かった。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 雲が途切れた機会を見計らって、山頂から北東方面の尾根を撮影。
写真中央やや右寄りの赤い屋根は、本日の泊地となる『五竜山荘』。
雲が途切れた機会を見計らって、山頂から北東方面の尾根を撮影。 写真中央やや右寄りの赤い屋根は、本日の泊地となる『五竜山荘』。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 しかる後に、この日のゴールである『五竜山荘』へ向け下りに入る。
ここからは『八峰キレット』ほど険しくはないものの、引き続き岩場の下りも多く、最後まで気は抜けない。
しかる後に、この日のゴールである『五竜山荘』へ向け下りに入る。 ここからは『八峰キレット』ほど険しくはないものの、引き続き岩場の下りも多く、最後まで気は抜けない。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 ともあれ『五竜山荘』に無事到着。これにて、二日目の行程も終了だ。
ともあれ『五竜山荘』に無事到着。これにて、二日目の行程も終了だ。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 チェックインを済ませたのち、ビールを購入して一人で乾杯。
おつまみは、行動食の残りの柿ピーである。
チェックインを済ませたのち、ビールを購入して一人で乾杯。 おつまみは、行動食の残りの柿ピーである。
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 夕食は王道のカレー。一杯当たりのボリュームは控えめだが、当然お代わりは自由なので、筆者は3杯頂いた。
以下次回。
夕食は王道のカレー。一杯当たりのボリュームは控えめだが、当然お代わりは自由なので、筆者は3杯頂いた。 以下次回。

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